気象予報士試験対策 学科 一般知識 気候変動
気候変動など中長期的な地球大気の問題についての話です。
地球大気のところで温暖化について若干触れました。
一部復習となります。
大気による温室効果で地球は約33℃温められています。放射平衡のところでも触れました。温室効果としては水蒸気が最も多いのですが、水蒸気量の地球レベルでの顕著な増加はないので、温室効果ガスとして議論するときには除外されます。
大気の中で温室効果ガスと呼ばれる代表は二酸化炭素です。
二酸化炭素以外では、メタン、一酸化二窒素、オゾンがあります。
冷媒として使用されているフロンは温室効果は二酸化炭素の4000〜8000倍という大きな悪影響をもたらしているほか、後述するオゾン層の破壊にも関係しています。
二酸化炭素は、植物の光合成によって大気から取り除かれ固定化されます。このため北半球の9月頃は二酸化炭素濃度が最も低く、逆に3月頃が最も高くなります。この記述についても試験に出ています。
地球の温暖化について、直近の約100年間において約0.68℃上昇したと言われています。
🔵エルニーニョ現象
ペルー沖では冷たい海水が湧き上がっていますが、この冷たい海水は通常ならば貿易風によって西に運ばれます。ところが、ペルーの西側の海域の貿易風(東風)が例年よりも弱くなることがあります。
貿易風が弱まるとペルー沖への冷たい海水の湧き上がりが弱くなります。その結果、ペルー沖では通常時と異なって海面水温が暖かくなります。このような現象が1年以上継続するとき、エルニーニョ現象と呼びます。ペルー沖の海面水温の変動が世界的規模で気候に影響を与えます。
高くなる⇨ エルニーニョ現象⇨西部太平洋で小雨。 日本では冷夏。
低くなる⇨ ラニーニャ現象 ⇨西部太平洋で降水活性化。日本では猛暑。
(ウォーカー循環)赤道付近での東西方向の風の循環。
エルニーニョ現象 ⇨ 太平洋西部(ダーウィン)で気圧上昇。中部(タヒチ)で気圧低下。
ラニーニャ現象 ⇨ 太平洋西部(ダーウィン)で気圧低下。中部(タヒチ)で気圧上昇。
この気圧の東西方向への変化を南方振動といい、エルニーニョと合わせて
ENSO(エンソ)と言います。El Nino-Southern Oscillation
🔵オゾンホール
9〜10月の南極上空(南極の春先)にオゾンの量が少ない領域が出現します。オゾン層に穴が空いたような状態であることから、オゾンホールと呼んでいます。
冬季の南極上空は低温であるために、氷晶でできた極成層圏雲と呼ばれる雲ができます。春先にフロンが極成層圏雲の氷晶で塩素原子になり、この塩素原子が触媒となってオゾンを分解します。(オゾンは酸素分子が紫外線による光解離で生成されています)
春先なので太陽光は弱く、オゾンを生成するよりも塩素原子による破壊の方が卓越するためにオゾン濃度が低下して穴が空いているようになります。
🔵ヒートアイランド現象
都市部では舗装や建築物などが太陽放射をよく吸収するために都市周辺部と比べて気温が高くなります。高温域が都市を中心に島のような形に見えることからヒートアイランド現象と呼ばれるようになりました。夏季は特に冷房による放熱で人口集中地域では特に高くなります。
特にヒートアイランド現象が強く観測される時期は、冬季の晴天で風が弱い夜間です。
🔵黄砂 ちょうど黄砂がくるシーズンですね(執筆時点)
東アジアの砂漠地域から強風に吹き上げられた砂塵が上空の強風に乗って日本付近まで飛来して被害をもたらす現象を黄砂現象と呼びます。
春先から初夏にかけて観測されます。新しい気象衛星ではこの「黄砂」も観測できるようになりました。
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