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気象予報士試験対策 学科 一般知識 中層大気

本日は、中層大気(成層圏から下部熱圏までの気層)の話。
昨日までは、対流圏に出現する現象を見てきました。この分野の出題は稀ですが、たまに出題されているので、要点を押さえておきましょう。

🔵中層大気の気温の分布
 下図は東京大学大学院の佐藤薫先生の研究室のウェブサイトから引用しました。7月の緯度高度断面における東西平均気温を示したものです。
特徴は、夏極(この場合は北極)の成層圏界面付近が高温になっていることです。このポイントは試験に出ます。7月の夏極では白夜の状況になるので、大気が24時間温められることによるものです。
 また、オゾンの動きとして、赤道上空の対流圏界面付近から高緯度方向に流れている循環も重要です。
対流圏界面付近で気温が低くなっていることもポイントです。
 中間圏では夏極の上空が最も気温が低くなっています。図中には「極中間圏雲」ができるとも書かれています。この温度分布も試験に出ますので覚えておきましょう。
(1)成層圏では夏極の成層圏界面付近で最も気温が高い
(2)中間圏では夏極の中間圏界面付近で最も気温が低い
(3)中間圏では冬極の中間圏界面付近で気温が高い

東京大学大学院 佐藤薫研究室ウェブサイトから引用
凡例)青と水色の間は−120℃、黄色とオレンジの間は−40℃、赤とピンクの間が0℃。

風の分布(ここも試験に出ます)
下図は同じく7月の中層大気の風の強さを示しています。正が西風、負が東風です。
等値線は15m/sごとです。過去問では1月の状況で出題されることが多いです。1月の場合は7月の正反対なので慌てないようにしましょう。
7月、夏極の中層大気の高度90km以下では東風が卓越しています。
    冬極の中層大気の高度90km以下では西風が卓越しています。
       夏極の中層大気の高度90km以上では西風が卓越しています。
    夏極の中層大気の高度90km以上では東風が卓越しています。

東京大学大学院 佐藤薫研究室ウェブサイトから引用

参考までに、対流圏で赤道付近の下層から上層にかけて東風になっているのは貿易風が東風であったことを思い出せば、試験で色分けされていなくてもいずれの部分が東風か判定できます。緯度30度以上の高緯度の領域では偏西風と関連づけておけば試験会場で急に思い出せなくなっても慌てることはないでしょう。

🔵成層圏の気圧分布
 試験にたびたび出ます。夏極では気温が高いので東風が卓越します。7月の北極では等高度線と等温線ともに同心円状になっています。逆に冬は複雑な等高度線・等温線となっていて北極上空は低圧部となっているので容易に判別できます。

🔵成層圏突然昇温
 冬の北極の成層圏では、低気圧による風の循環で北極を中心とする渦ができます。この渦を極夜渦と呼んでいます。
 春先に対流圏からプラネタリー波が成層圏に伝播することによって、極夜渦が崩れて、断熱下降運動が生じて成層圏の気温が数日間で40℃近く上昇することがあります。この現象を成層圏突然昇温と呼んでいます。気温の上昇は、成層圏上層から下層に向かって伝播してきます。
 なお、南半球ではプラネタリー波が弱いので南極上空では大規模な成層圏突然昇温は観測されていません

🔵準2年周期振動
 赤道付近上空の成層圏下部において26ヶ月周期で東風と西風に入れ替わることが観測されています。この変化も上層から始まり下層に向かって現象が進行していきます。上記の太字の部分も試験に出ることがあります。

頑張りましょう!!
最後までお読みいただきましてありがとうございました。

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