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バンガローにて

サーファーがバンガローを借りて1泊の飲み会をやった。

真夏の土曜日の晩だった。

サーファーの悪名は広がり もうこの地元で、場所を提供してくれる店や宿泊施設はなかった。

あまりにもひどい結末が多かったからだ。

しかし、まだバンガロー施設までは手が回っていなかった。


いつもの仲良しサーフチーム員の飲み会である。

このときはスペシャルゲストとして、酒乱のヤス君が、芸達者な友達(!?)を連れて来るという話だった。

酒が大好きで、飲むといろいろ面白い(!?)ヤツらしい。


その友達(チー)と一緒に宴会が始まった。

サーファーは 飲むピッチが早い。チー君もあわてて飲んでいる。大丈夫だろうか・・・

一通り酔いが回ったところで、ヤス君が「オイ、チー そろそろ何かやれ!!」

チー君は物真似をやり始めた。

(似てねぇ。みんな顔を見合わせた。)

すると、ヤス君が「そんな面白くね~のをやりやがって!! 罰だ これ飲め!!」と言って、ウイスキーの原液の入ったコップを出した。

チー君は それを一気に飲み干し、また、次の物真似を始めた。・・やっぱり似てねぇ。

ヤス君は「お前 何考えてんだ!! 取りあえず、また飲め!!」と コップを差し出している。


それを見ていたノザワ君(ヤス君の相棒)が、「そろそろ面白くなって来ますよ!」と俺に耳打ちした。

そのコップも一気に飲み干し、チー君は また次のネタを始めた。

面白くも無いネタのワンマンショーである。


そのうち 異変に気付いた俺・・・

「アッ 声が裏返っている」

チー君は酔っ払いすぎて、声が変になっていたのだった。

そして やたらしゃべりまくり、テンションも上がって来た。

似てる似てないよりも、それが可笑しい。

みんな大笑いを始めた。

「そうか このオモチャはこうして遊ぶんだ

俺はやっと気が付いた。


受けたことに気を良くし、彼はみんなに「まあ 飲め飲め・・」と勧められ、ガブガブ飲んでいた。

そして次々と芸をしている。

今日のターゲットは君に決定!!

みんな心を一つにした。

1時間も過ぎると、チー君の動きが鈍くなってきた。

急に動きが止まり、噴水のようにゲロを吐いた。

1メートルぐらい上がっただろうか・・・。

そして、完全に動きが止まった。


「おい ヤスと野沢、 お前らの友達なんだから、なんとかしろよ」

俺が言うと、2人は別のバンガローに彼を連れて行った。

壊れたオモチャはもうイラナイ

サーファーは結構冷たい。

10分ぐらいすると、2人は戻って来た。

「どうだった、大丈夫か?」一応心配するフリをしてみた。

真夏なので、放って置いても 死ぬことはないだろう・・・

「ああ、何とか・・。でも いつものことですから、心配ないです。」

おい、いつもあそこまで飲むのか・・ていうか、あそこまで飲ませるのか?!

しばらくして、俺は心配になり、そのバンガローに行ってみた。

チー君は、トイレの便器を枕にして寝ていた。

髪の毛は寝ゲロでカピカピだ。

んっ 臭い、これは・・・ウンコの匂いだ。

こいつ 寝グソしてやがる!!!!!!

慌てて戻った俺は、ヤス君に「あいつ・・ 寝グソしてたぞ!!」と言ったら、「そうみたいですね」と平然と答えた。

なんだ お前ら知っていたのか・・

「たぶん替えのパンツ持って来てるはずですから・・」

野沢君が続けて答えた。

ナッ ナニ、あいつは いつも寝グソするのか!?


次の朝、みんなで朝飯を作っていると、チー君が「やあ、おはよう 皆さん!」とニコニコしながら起きて来た。

短パンを履き替えている。

髪の毛は、ドリフの爆発コントになっていた。


アッ オモチャが直った

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