15年前に観た、最後が最初のマシンガンズ

一度、たった一度だけマシンガンズのライブを観た事がある。

それは2009年2月9日、今から15年近く前の太田プロライブでのことです。時期的には滝沢さんが結婚され金髪になり、それからM-1ラストイヤーの挑戦が終わり、年が明けてからNGKでのM-1リターンズの翌週のライブになります。皮肉にも最後のM-1を終えた直後のマシンガンズが私にとっての最初のマシンガンズだったのです。

(今回この文章を掲載することについて半年以上悩みました。「古参の懐古自慢」「老害が昔を懐かしんで」など不快に思われる方がおられたらどうしよう…などとすごく迷いました。ただ後述しますが、私は2010〜THESECONDまでのマシンガンズの活動をほぼ知らず(地方在住のためテレビくらいでしか応援することができなかった)、お二人がよく言われる「ぎゅっとしたら6分ネタ2本分」程度のファン歴なのです。古参だなんてとんでもない!)

昔からずっとマシンガンズを応援していた皆さま、そしてTHE SECONDからファンになった皆さま、全てのランボー様に敬意を称して書き進めていこうと思います。

********

2008年、当時の私は東京から遠く離れた地方都市の冴えない大学生でした。
幼少の頃からテレビっ子、深夜のバラエティやお笑い番組をVHSに録画しては学校帰りにチェックするという中高時代を経て、晴れて大学生になりましたが、日々鬱屈沸々悶々ととした気持ちで「モテたい…他人にちやほやされたい…でも世間に迎合はしたくない…」と色んな感情をこじらせていた、面倒な若者だったように思います。あまりにも暇すぎて地元の劇団の手伝いをするも何の出会いもなく…とにかく典型的なくすぶり系女子でした。

マシンガンズのことはテレビのネタ番組で初めて見て、すぐファンになりました。こちらの鬱屈を晴らしてくれるような早口の大声と剣幕の応酬、スカッとする内容をとにかくまくしたててくれる所にワクワクが止まりませんでした。

当時すごく好きだったのが居酒屋のネタのワインのくだりで(うろ覚えですが)

西「ん〜このワインとってもフルーティー!」
滝「うるせえな!」
西・滝「ワインは元々ぶどうだろ!!」 

というのがあって、お腹が痛くなるくらい笑った覚えがあります。
大学生、と言いつつ学費をケチって通信制大学への進学を選んだ自分にとって、結成のいきさつが"養成所の学費が高すぎてカルチャースクールに"という点も非常にシンパシーを感じ、テレビにマシンガンズが出るととにかく手を止め見ていました。

今のようなライブ配信文化が普及していない時代、地方都市に住む私にとってお笑いとはテレビで楽しむもの、生で見るとするならばごくごくたまに市民会館での催しや町の祭りのゲストに登場するか、もしくは競艇場などの営業か…とにかく情報の取り方もよくわかっていなかった時代です。

そんな中所用で東京に行く機会があり、当時流行していたmixiで知り合ったお笑いの趣味が似ている(当時GYAOでやっていたオードリーの「そらみな」、鳥居みゆきの「社交辞令でハイタッチ」のヘビーウォッチャーでした)マイミクのお姉さん(以下マイさん)から
「せっかくだから東京でお笑いライブを見ませんか?」とお誘いいただき、いくつか候補をあげていただいた中で日程の合う太田プロライブに一緒に行くことにしました。


さて…ここでひとつ大きな問題が。
当時の私は感想を全くメモしておらず、頼るべくは自分の脳内の記憶なのですが…
アラフォーの脳みそには限界があるということで、せめて記憶の糸口を見つけるべくネットで当時のライブレポを探そうとするも…

ない!?ない!??ない!????

いろんなワードでYahoo検索かけたり、mixiに十数年ぶりにログインしても全く情報が出て来ず…
頼みの綱お笑いナタリーにすがるもヒットせず(Wikiによるとお笑いナタリーは2009年8月から稼働開始とのことでそもそも情報がなかった)、完全に暗礁に乗りあげてしまった。これはヤバい。


以下、思い出しうる限りの記憶を綴ります。


【思い出しうる限りの記憶】
・会場は大きくてきれいなホール(記憶が雑!)で、マイさんも「こんな広い会場で色んな芸人さんが一気に見れるライブ中々ないよ、よかったね!」とおっしゃっていた。(検索の結果、おそらく新宿安田生命ホールだったと思います)

・開演前に何かのCMがスクリーンに流れ、太田プロの芸人さんが何組か出てきた中にマシンガンズもいてテンションが上がる。(CMのメインは柳原可奈子さん、だけど当時は多忙すぎて今回のライブの出演はなかった)

・トップバッターは本日は晴天なりさんのAKBオーディションのネタ(「これが東京のお笑い…私が初めて生で見るお笑い…」と唾をごくりと飲んだ記憶が残っています)

・他の出演者で印象に残っているのが、どきどきキャンプ、トップリード、キングオブコメディ(どきキャンは「虎の門」でやっていたネタが好きで、でも当時はジャックバウワー全盛期だったので「そうだよなやっぱり24だよな」と思いつつも楽しく観た記憶。トップリードとキンコメは「エンタの神様」や「爆笑オンエアバトル」で好きだったので、本物だー本物が見れたと興奮した。まさか2組ともあんな形で見れなくなる日が来るなんて…)

・あとザブングルも出演していて、加藤さんがネタの後のコーナー(?)で爆笑をさらっていた 。すごく波に乗るというか勢いがあった。

・肝心のマシンガンズ…すみません!これが何のネタをやったか全く覚えていない。とにかくトップリードやキンコメのとき以上に「本物だ!本物のマシンガンズがおる!!」と興奮して、めちゃくちゃ笑ってあっという間に終わってしまった。
・一つだけ覚えているのが、開演前のCMについて「どうせ俺たちは柳原のバーターだからよー」と悪態をついていてみんな爆笑していたこと。

(これを読んでいる皆さん、特に若い方に声を大にして言いたい!楽しかったライブはSNSやら紙やら文やら写真やら絵やら…とにかく記録することをお薦めします。どんなに楽しい記憶、いや楽しかったことほど歳をとると忘れます。若い時の楽しい経験は年をとってから力や糧になります。きっと老後を豊かにしてくれるはず。)


さあ、ライブレポがないとがっかりした皆さん!ここからが今回の肝になるのでもう少しお付き合いの程を。

ライブ終了後、ロビーには物販コーナーができており、そこでマシンガンズのDVDを見つけました。これはぜひ東京土産に買わねば。しかも1500円!安い!と購入するとそこにはなんとマシンガンズのご両人が…

「お!俺らのDVD買ってくれたんだ!ありがとうな!」

こちらこそ生で漫才を見れただけで超絶ハッピーなのに、DVDまで買えてしかもご本人と直接お話ができるなんて…

すごく恐縮しつつも地方都市から観に来たことを伝えると
「えー!!!◯◯から来てくれたの?!」と
びっくりしつつもお二人は喜んでくださいました。

そしてマイさんが気を利かせてくださったのか、お二人が言ってくださったのか曖昧ですが、(自分発信ではない事は確か。何故なら繰り返しになりますが、生でライブを観られた時点でお腹いっぱいの満足感。そこに加えDVD購入で別腹もパンパンの中、ご本人にお会いでき満腹中枢が完全にバグってしまった状態だったから。)マイさんのデジカメで写真まで撮ってもらいました。「おう!せっかくだから撮ろう撮ろう!」と西堀さんに漫才の勢いよろしく言っていただいたのをめちゃくちゃ覚えています。

後日メールで送ってもらった1枚の写真、ビジュ爆前夜ではあるものの私(162cm)と同じ顔の高さまで屈んでくださる優しい滝沢さん、顔の表情やポーズまでつけてくださるサービス精神旺盛の西堀さん…今でこそファンサの滝沢と言われていますが、15年前からファンサのマシンガンズでした!当時芸風のせいか怖いとか女子供の人気ないとか言われていたけれど、マシンガンズは昔からずっとマシンガンズだったよ!

最高にホクホクな気分で帰路に着いたのは言うまでもありません。自宅に帰った後はウキウキでDVDを再生し、その後もむしゃくしゃした時など何度も見返しました。ただ…そうです。例の特典映像です。刺激的強めの映像(長机とパイプ椅子、バナナ、ピンク色の○○、雑多な歓楽街…)を他人と共有するにはまだ恥じらいのあったうら若き私は自宅でこっそり観てはこっそり棚にしまう日々を繰り返すのでした。今思えばもっと色んな人に「マシンガンズ面白いよ!生の漫才すごかったんよ!」って言ってまわれば良かった。

思いがけないファンサービスを受けた贔屓心からかメディア出演もより一層チェックする様になるのですが…ただ地方民唯一の接点であるテレビの露出はじわじわと少なくなっていきました。並行して私自身も大学を卒業して社会人となり、世間の荒波に揉まれ以前の様にお笑いを楽しむ余裕がだんだんと無くなっていきました。

それでも出来うる限り地方都市でマシンガンズを観ていました。お笑い成人式の優勝は嬉しかったし(dボタンで優勝者投票もしたよ!米俵当選しなかったけど!BSフジキャンペーンボーイの出演はもうちょっとハネてくれと思って見てたよ!)、「俺の話は長い」はマシンガンズ目当てで見ていたし。

でもごめんなさい。ネットで色々調べればラジオやネット番組なども視聴する事ができたのに。社会人でそれなりのお金があるのだから東京にライブを観に行くことだってできたはずなのに。

滝沢さんがごみの仕事でどんどん注目を浴びるようになるのが嫌で、敢えて書籍などもスルーしてたのも本当にごめんなさい。ゴミ清掃員としてブレイクしてしまったら、あの好きだったうるさいマシンガンズの漫才が観れなくなっちゃうのではと怖かったんです。
水曜日のダウンタウンOA後、お父さんが楽屋弁当持ち帰り王になれず泣いているむーむちゃんの写真をネットで見て「滝沢さんもご家族の生活を守るため全力でごみの仕事をされているんだ」と自分の考えを改めた事、ここに懺悔させてください。

2023年5月20日。この日付をおそらくこの先もずっと忘れないと思います。マシンガンズ、辞めないでいてくれてありがとう。そしてエンタやレッドカーペットが終了してからの暗黒の15年近く、見える形で応援ができず本当にごめんなさい。
THE SECOND後のメディア出演ラッシュで明かされる苦悩の日々。このまま緩やかに終わっていくと発言された西堀さん。何かの番組で流れたM-12008の敗者復活、オードリーへの歓喜に沸くステージの後ろで悔しそうな顔を浮かべる滝沢さん。これまでの15年、人知れず何度こんなことを言ったりこんな顔をしてきたんだろう。THE SECONDがなければマシンガンズはどうなっていたんだろう。

現在罪滅ぼしのつもりでマシンガンズの推し活をしています。「推し」という存在やその独特の文化に染まる事が今までの人生で全くなく、だけど推し活をしているファンの方もマシンガンズご両人もとても楽しそうなのでXも始め、優しい方々との出会いもあり、何より自分の中のお笑いや音楽への情熱が学生時代ぶりに再燃し毎日とても楽しいです。
(この話題につきましては「マシンガンズ推し活における贖罪」というタイトルでTHE SECOND〜今日に至るまでを後日綴りたいと思います。いつ来るんだ後日。)

3月1日の単独ライブ、とても楽しみです。あの時のような早口の大声と剣幕の応酬、配信ではありますがしっかり目に焼き付けようと思います。本当に最初で最後なの?のニヤついた疑念を持ちつつ、仮に本当でも最"終"の最"良"に期待しています。
ぎゅっとしたら6分ネタ2本分程度のファンですが、ネガなときもポジな時もお2人のバラ色の日々が続くことを地方都市から観続けさせてください。








(ここまでの長文を読んでくださった方へ。お礼になるかは分かりませんがご査収ください。)





この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?