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#週刊少年マガジン原作大賞 #企画書部門 『新説 輝夜姫』


#週刊少年マガジン原作大賞
#企画書部門

タイトル 『新説 輝夜姫』

<キャッチコピー>
夜の世界で美しい蝶々如く花開く輝夜姫の復讐劇が"今"、はじまる。

<あらすじ>
日本最古の物語として語り継がれる『かぐやひめ』。時代設定を現代に置き換えた『新説 輝夜姫』。
輝夜姫はお爺さんとフィリピンパブのルナちゃんとの子供だった?
お爺さんとお婆さんの愛情を一身に受けて美しく育った輝夜姫は、お爺さんとお婆さんを騙したコンサルタントへの復讐を誓う。
夜の世界で美しい蝶々如く花開く輝夜姫の復讐劇が"今"、はじまる。


<本編>

むかしむかし、あるところにお爺さんがいました。
お爺さんは、先祖代々の竹林等の土地を受け継ぎ地主として土地運用を生業としていました。
お爺さんとお見合い結婚したお婆さんは、お手伝いさんのおかげでのんびりと過ごしていました。

毎夜、お婆さんが寝静まったあと、お爺さんはフィリピンパブに通うのを楽しみにしていました。
ある日、いつものようにお爺さんがフィリピンパブに行くと、お気に入りのルナちゃんが妊娠していることがわかりました。お爺さんの子です。
しかし、ルナちゃんにはフィリピンに夫と子供がいるので産まれる子はお爺さんが引き取ることにしました。

暫くすると、ルナちゃんは可愛らしい女の子を産みました。
ルナちゃんはお爺さんに借金の返済をしてもらい、フィリピンの家族の元へ帰国しました。
お爺さんはルナちゃんから赤子を引き取ると、お爺さん所有の竹林に赤子を隠しました。
そして、その足でお爺さんはお婆さんを散歩に誘いました。
すると竹林の奥から鳴き声が聞こえてきます。
お婆さんは鳴き声に呼ばれるように竹林の奥に進むと、竹林から漏れる光を浴びて輝くように可愛らしい赤子が元気な鳴き声をあげていました。そうです。ルナちゃんとお爺さんの子です。
お婆さんは優しく抱き上げると家に連れ帰りました。
子供に恵まれなかったお婆さんは「この子を育てたい」とお爺さんにいうと、お爺さんは頷きました。お爺さんの計画通りです。

赤ちゃんは、竹林から漏れる光を浴びて輝いていたことから「輝夜」と名付けられました。
お婆さんの愛情を一身に受けてすくすくと美しく育った輝夜は、地主の子として地元の人々からは「輝夜姫」と呼ばれるようになりました。

そして輝夜姫は、ルナちゃんに似た目鼻立ちの整った可愛らしく美しい娘として育ちました。

地元一番の綺麗な娘として育った輝夜姫は、ふと、思います。
自分を生んだ母親の国へ行ってみたいと。
けれども、地主だったお爺さんとお婆さんは、口の上手いコンサルタントに騙されて土地運用を失敗してしまいました。
そのため、輝夜姫は海外に行くには資金が足りません。
それどころか、あれほど広大だった土地も失い、住んでいる家だけとなりました。

輝夜姫は決意します。
夜の蝶になることを。
育ててくれたお婆さんとお爺さんに恩返しをするためと、口先三寸で騙したコンサルタントへの復讐をすることを。

程なくして、輝夜姫は持ち前の美貌とお婆さんに教え込まれた教養を武器にクラブのホステスとしてトップへ登りつめます。

輝夜姫はある投資家に言いました。
「田舎暮らしに憧れているの。田舎の土地が欲しいわ」と。
お爺さんとお婆さんが騙されて手放してしまった土地を取り戻すことができました。

輝夜姫は家族思いのとある会社役員に言いました。
「田舎のお爺さんとお婆さんが心配」と。
お爺さんとお婆さんを高級老人ホームへ入所させることが出来ました。

輝夜姫はある商社の役員に言いました。
「フィリピンへ行ってみたい」と。
輝夜姫は念願のフィリピンに行くことが叶いました。しかし、産みの母には会うことができませんでした。フィリピンには帰国せずに、まだ日本にいるらしいというのです。
輝夜姫は、日本国内にいるなら日本でいつか会えると思い直すことにしました。

輝夜姫は、クラブ勤務の傍らに見聞きした政財界等のあらゆる情報をデータベース化していました。
お爺さんとお婆さんを騙した口の巧みなコンサルタントを探る為です。

コンサルタントの素性はあっけなく判明しました。
佐井昌和という名のコンサルタントとは名ばかりの保険外交員でした。
お嬢様育ちで世間知らずのお婆さんは、コロッと騙されてしまったのです。

輝夜姫は、佐井の務める保険会社に秘書として入社しました。保険会社の役員が輝夜姫のお客様にいたのです。

保険会社勤務をはじめると、驚くべきことに個人情報の宝庫です。
佐井は端正な整った外見と東北訛りの方言を織り交ぜた口先を武器に部門トップの営業でした。奥様は役員のひとり娘で将来は約束済み。まさに絵に描いたような逆玉です。

しかし、佐井の素性にはポッカリと空白期間があることにきがつきました。

会議の日、輝夜姫は佐井の破棄したペットボトルを手に入れると、クラブで知り合った警察庁のシステムを管理するプログラマーに指紋の照合を依頼しました。すると、佐井の指紋は青森行男と合致したのです。

青森行男は、青森県出身の前科者でした。
幼少期に母親が雪下ろし中に雪に埋もれて亡くなり、働かない無職の父親の元で万引で食いつなぎ、中学時代には、遂に殺人事件を犯していたのです。
それも、殺害していたのは輝夜姫の産みの母のフィリピン人のルナちゃんでした。

佐井こと青森行男は、ルナちゃんの知り合いから「ルナちゃんが大金を手に入れた」と聞き、ルナちゃんを拉致監禁したのです。
ルナちゃんが手に入れた大金とは、ルナちゃんがお爺さんから貰ったお金のことです。
ルナちゃんからお爺さんのこと聞き出した青森行男は、ルナちゃんは殺害するとお爺さんのところへ行き、お爺さんとお婆さんを殺害する計画をたてていました。

ルナちゃんの殺害当日、青森行男に殺られるルナちゃんは最後の力を振り絞って、青森行男の後頭部を殴り、青森行男が気を失ったすきに警察に通報したのです。
しかし、ルナちゃんは残念ながら助かりませんでした。さらに、残酷なことにルナちゃんの訃報は輝夜姫にもお爺さんにもフィリピンにいる家族の元にも届くことはありませんでした。

逮捕された青森行男は、未成年者だったために少年院に行き、未成年者だったために少年院を出所したのちに氏名を改名し、佐井昌和となったのです。

佐井は保護観察官に学歴不問の保険外交員の仕事を紹介してもらい、お爺さんの土地に目をつけたのです。
お嬢様育ちのお婆さんと世間知らずのお爺さんを騙したのです。

口の巧い佐井は、端正な顔立ちと東北弁訛りのあざとく巧みな勧誘を繰り返しトップ営業に登りつめ、役員のひとり娘を娶り将来の役員の座を約束されています。

輝夜姫は、佐井昌和こと青森行男の過去をまとめると、保険会社のシステムを駆使して佐井のこれまでの帳簿の不可解なところを洗い出しました。
天涯孤独の人に保険金をかけさせ、受取人を佐井にしたあと、不可解な事故死をしている案件がいくつもあったのです。
輝夜姫は、輝夜姫とはわからないように警察とマスコミ各社に通報したのです。マスコミには、青森行男の過去をまとめたレポートを添えて。マスコミ各社は競って青森行男が殺害したであろう天涯孤独の人の不可解な死の真相を暴いてメディアに載せました。

輝夜姫はというと、お爺さんとお婆さんにお世話になった御礼を伝えると、クラブで稼いだ資金で月が綺麗に見える家をフィリピンに建てて幸せに暮らしました。

おわり。

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