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【GENT'S STYLE】リヴェラーノ&リヴェラーノ インタビュー前編 COVID19後への新たな挑戦

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Text & Picture by Yoshimi Hasegawa
 フロレンティーンスタイルを代表するサルトリア、リヴェラーノ&リヴェラーノ。1960年以来、マエストロ アントニオ・リヴェラーノ氏はフィレンツェ仕立てのス・ミズーラ(ビスポーク)の伝統を継承し、さらに進化させることで、世界にイタリアのクラシックスーツが持つ美しさを広めてきた。

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 そもそもイタリアの仕立て(サルトリア・イタリアーナ)には大別して3つのスタイルがある。北部イタリア、ミラノのミラネーゼスタイル、中部フィレンツェのフロレンティーンスタイル、南部ナポリのナポリタンスタイルだ。

 フロレンティーンスタイルの仕立ての特徴のひとつが、通常は前身頃にあるフロントダーツをあえて取らない作りだ。上着の前身頃はダーツがないため、すっきりと美しい。その分、カッティングとフィッティング、アイロンワーク等に高度な技術が要求される。熟練の職人の手から作り出されるスーツはラペルからフロントにかけて優美なカーブを描くジャケットのフロントライン、ナチュラルなショルダーラインと袖山を持つ。
そのスーツは北部ほど構築的ではなく、南部ほど柔らかくない。

 フォーマルだが堅苦しくなく、クラシックだが時代遅れになることはない。
全体のプロポーションを含め優れたバランス感覚が、リヴェラーノ&リヴェラーノのスーツにおける普遍性の美を生んでいる。リヴェラーノ&リヴェラーノの歴史については私の著作『サルトリア・イタリアーナ』に詳しく書いたので、そちらを参照されたい。
 
 私自身、リヴェラーノ&リヴェラーノには『サルトリア・イタリアーナ』のための取材を始め、数多くの機会を頂いている。本当に幸運というしかない。

 さらに取材ばかりでなく、COVID19の前は少なくとも年に2回、通常はそれより多く、アントニオ・リヴェラーノ氏とストアマネージャーの大崎貴弘氏に会う機会があった。
 その時はまさか、このような未曾有の自体が起こることは考えられなかった。
 今回、1年半と本当に久しぶりにリヴェラーノを訪れて、アントニオ・リヴェラーノ氏と大崎氏に対面でインタビューができたことを非常に嬉しく思っている。

 果たして、COVID19の厳しい状況下で、リヴェラーノ&リヴェラーノでは何が起こっていたのだろうか。

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