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攻殻機動隊 小説アンソロジー

A。円城 塔   Shadow.net
B。三雲 岳斗  金目銀目
C。朝霧 カフカ 攻殻機動隊
D。秋田 禎信  自問自答
E。冲方 丁   スプリンガー

A-ネット生命体
B-義体
C-幻影
D-ゴースト
E-第3世界

これを各々のテーマと解釈。
生命、心技体、環境を主軸に描かれる攻殻アンソロジー。
改めて原作の裾野が広大なことに驚く。5つの短編に優劣はなく関心のあるテーマで分けて読むことをお勧めしたい。

Aについて。(ネタバレ)
円城塔の文体には強い中毒性があるので一番危険。ネットに放り込まれたままのボットが群れ(LAN)を作りある意味生命体のような活動をするという話。ネットの海から生まれた「人形使い」を現代のシステムで分解していくとこうなる・・・という解説が何%当たっているのか自信がない。うん難しすぎてよくわかっていない。ボットの「ふるまい」に思いをはせて生命体もこんな感じで出来ていくのだろうかと。柞刈湯葉(いすかりゆば)と合わせて妄想できる。二度おいしい。

Bについて。(ネタバレ)
一番わかりやすい文章と内容で馴染みやすい。義体についての憧れ。男子が翻訳すると「最強への焦がれ」の話。サイバーパンク小僧は誰しもがサイボーグになりたいと思ったことがあるけど全身最強の鋼鉄ボディになったら自我も変わるのか。どこまで身体を別物と置き換えたら自分はなくなるのか、テセウスの船だ。この作品のいいところは主人公が男子じゃなく、ある女性が草薙素子に憧れる点だ。美的に綺麗。実際の内容はもうちょっと繊細だから安心してほしい。

Cについて。(ネタバレ)
「笑い男」の話。これだけで好きな人には読む価値があると伝わる。ネットに親和性がありすぎる人間は、一般人よりもネットの悪意に直面し絶望する。これはTwitterが証明した。2回目のいま、しみじみと同意する。マトリックスもそうだけど、五感を電気信号に変換して電脳が受け取るってことは簡単に見ている世界を騙せるという事実。これを突き詰めていき、2020年の俺達からすれば一線を越えたお話。真実とは当人にとって目の前に起きていることで幻覚かどうかは関係ない。それを前提としていつも思うのは、マトリックスはもっと極楽な世界を見せてくれたらプラグなんてみんな抜かないのに人間わかってないなーみたいな。

Dについて。(ネタバレ)
もしかしたら一番壮大な話なんじゃないか。Aと別方向に難解。
この草薙素子はSACシリーズの彼女と思われる。が、別シリーズの素子のゴーストとの対話(?)をしていると予想。ゴーストは多元宇宙でも共通して「ひとつ」の存在なんだろうか。的外れかも。

Eについて。(ネタバレ)
ARISEの冲方丁。週末新劇場版観るから「第3世界」についてはまだふわっとしたイメージしかない俺。自然、ヒトの次に現れたデータの世界。クゼヒデオが目指した革命(上部構造へのシフト)後の世界にもつながるのだろうか。原作漫画にも描いていない動物の電脳化やその後の世界に踏み込んでいるので5作品の中で一番未来を感じた。

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