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町内会の運営から見える未来と対策案

鳥取市で90世帯弱の町内会の会計をやっているゲンヨウです。町内会(自治会と僕らでは言ってます)の運営は12月-1月が切り替え時期で、ちょうど半年がたちました。半年会計をやってみて、町内会の運営に潜む事柄を備忘録的に書こうと思います。


1.町内会運営とは

町内会(自治会)は、生活エリアでは最小単位の集合体、回覧板での情報共有やごみ捨て場など共通の施設を持っていたりします。僕の地域は古くから集落なので、冠婚葬祭の仕組みだったり、農家の集まりなどの組織も兼ねていたりします。

基本的には、年会費を払って地域の仕組みを維持しています。地区によって自主的に決められていて、月数百円~数千円まで多岐にわたります。僕の地域はどちらかというと費用は高いほうです(細々した集金をやめて一本化しているのもあります)。

僕の地区では、10世帯前後の班を構成し、班長を決め班長が町内会役員となります。会長さんは、全戸からできそうな方を選び、副会長は前年の会長が務めます。会計は班長から互選。僕はパソコンが使えそうという理由で話が来ました。断るという方法もあったようですが、会計をやると一年の流れがつかめると思ったのと、いずれは経験するのでよくわかっている先輩がいるうちに経験したほうが良いかなと思って受けました。

会長は、市役所の開催する会合や役員会の招集など、全般を担当。副会長は前年の経験を活かしてサポート。会計は基本的には予算管理が仕事です。振り込んだり、物を買ってきたり。ちなみに僕の最初の仕事は、集会所の正月飾りを買うことでした(笑)。

会長も副会長も会計経験者だったので、いろいろ教えてもらいながら、半年、やってきました。

2.単年度役員制で見えてくるもの

役員は上述したように単年度で変わります。確かに会長の仕事、僕のやっている会計の仕事など、数年続けるのは結構大変です。仕事があったりやる事があるなかで、単年度になってしまうのもわかります(複数年続けておられる地域もあります)。

単年度役員制から気づいたこと
(1)引継ぎを丁寧にしないとわからないことばかり
(2)改善へのインセンティブがない
(3)複数年にまたがる決断がしにくい

(1)引継ぎについて
基本的に、前年度の役員から引継ぎがあるのですが、資料をみておいてーみたいな場合もありますし、ちゃんとマニュアルを作っている方もいますし、いろいろです。僕の場合は前の前の方のマニュアルがすごくしっかりしていて、それを軸にやっています。それでも昨年の事は抜けているので、この間も役場に行って確認作業していました。

(2)改善へのインセンティブがない
これは、改善しやすい雰囲気の問題なのですが、1年間過ぎてしまえば次年度はやらなくて良いことなので、改善の必然性が個人においてはありません。マニュアルに細かく残してくれた前の前の担当の方に感謝するしかないですが、ここにインセンティブが働くと、もっと改善が進むかもしれないなと思いました。

(3)複数年にまたがる決定
今の会長・副会長と「後ろに残したらダメだよね」という思いがある方々なので、来年度に向けた申請とか手続きとか、前年度からの引継ぎなどをどんどんさばいているのですが、なかなか手もかかるので、すべての方がやるとは思えないです。先送りにしてしまう。

班長が集まった役員会で議論しても、班長も数年ぶりに経験するので、なかなか判断できない。そうなると、3役の判断にゆだねられます。

僕もどちらかというと、将来のコストは下げたい人なので、三位一体で進めている部分はありますが、一人でも後ろ向きだとなかなか難しいかもしれないです。

3.会計をしていて見えてきた点

会計をして見えてきた点は大きく二つ

(1)世帯減および世帯の高齢化による収入減の可能性
(2)施設更新・修繕など定期的な補修時期の重複

詳細はまだ分析しきれていませんが、世帯数が減っています。比較的若手もいる地域ではありますが、少子高齢化の波はやってきています(日本全国)。また高齢夫婦の世帯、独居の世帯も出てきていて、年金生活の場合の年会費の支出額にも限界が出てくる可能性があります(うちの地区の場合)。そうなると、年会費を減額するなどの措置を取らないといけなくなります。

もう一点は、支出の中で一定割合で、既存施設の修繕や更新にかかる費用が掛かってきていること、ちょうど30年前に直したものや新設したものが、壊れたり、更新時期が来たりしています。拡大傾向だった30年前は良かったのかもしれないですが(行政の補助も潤沢な可能性も)、現状はこの費用をどこまで見続けるのかはポイントになります。

4.両方から見える課題

(1)議論を続けるのが難しくなる
長期的に大事なことについて議論を積み重ねるなどはもっと難しくなります。例えば、可能性がある年金暮らし世帯の増加に伴う年会費の減額についての話題になったときに、従来の執行予算のどの部分を削るのか、何を続け何をやめるのかなど、1年では決められない可能性のある議題です。

(2)判断をするための経験が蓄積されにくい
単年で交代してしまうので、状況をつかむこと判断することが1年で凝縮します。把握したころには交代となってしまいます。判断をしなくてはいけない時に、判断するための情報収集が間に合わない可能性があり、先延ばしにするか、適当に決めるかのどちらかになります。

(3)予算の減額と支出部分の精査
会計側で書いたように、長期的には予算は減額すること、一方で施設更新など一定規模の施設維持のための費用がかかる可能性がある事があります。そのためには、何を残し、何をやらないのか。本質的な議論が必要になります。

(4)なり手の負担が大きい
上記で書いたように、今までの仕事としても負担が大きいのですが、地域事情がわかればわかるほど、会長・副会長・会計になるということは、地域の先を考えて意思決定が必要になり負担も大きくなります。

5.対策案

このままゆでガエルのように、地域の自治を放置しておくと、結果的に何か動こうと思ったときには動けない可能性があります。

生活エリアの最小単位の共同体としての町内会を考えた場合、ここ数年顕著になっている災害対応の最小単位として機能することが結果として住民の命を守ることにつながると考えるので、動ける組織ではあってほしい。そのためにできることを少し考えてみました。

(1)期間限定の議論のための組織を立ち上げる(○○町内会未来会議)
(2)会長の負担を減らすため、役場の用事をなるべく簡略化する
(3)収入を得られる事業が作れないか考える
(4)各種作業の効率化(ICTの活用)

(1)期間限定の議論の場
90世帯近くが総会で議論しても、なかなかまとまらないと思うので、2年とか期限を決めて、長期的な運営ルール改定のための別チームを立ち上げても良いと思います。会長の諮問機関みたいな感じ。20年後の地域をどうするかくらいの感じで、若手もいれつつ議論して決めたほうがよい気がします。

(2)会長の負担減
市役所など役所の行う地域へのお知らせ機能など、会長を通じて行うものや会合の時間帯など、働いている人でも可能な状況に負担を減らせないか検討するのはどうでしょうか。例えば、メールでPDF資料を送るなど、メール対応できる人にはそういった情報提供方法などでも良いかと思います。

僕は郵送で送られてきても、見落とすことが多いので、そういう選択肢も欲しいです。説明をyoutubeに流しておいてもらうのも良いかも。とにかく無用な拘束を減らす方向で役所側も検討したほうが良いです。

(3)収入を得られる事業を
人数が減ってやれることを減らすという方向性もあると思いますが、何か稼ぐ方向性も無いか検討するのはありかなと思います。何かを生み出す場として地域側も動くのはどうかなと。農産加工品とか作って売ったりしているのもそれの流れの一つかなと思います。販路を見つける必要性もありますが。

(4)各種作業の効率化
とりあえず僕の最大の悩みは下記なのですが

すべて窓口振込、8:45~15:00まで(平日)に行かなくてはいけない(しかもJAバンクってまとめているようで、組織はバラバラなので、僕の場合はJA鳥取いなばの管轄支店じゃないと無理・・・出張先で泣きました)。

カードやインターネットバンキングが使えるようにするだけでも、会計を僕ら世代が対応できるようになります。ここは何とかしたい。

他にもLINEとか使えるツールは使った方が良いなと思う部分はある。あと自動引き落としとか、楽にできる手続きはどんどんしていった方が良い。

あと、可能な限りマニュアル化するような流れが欲しいです。少なくとも引き継ぎ書のフォーマットは作ろうかなと。1年分の気づきだけでも書いておいてもらえたら、役場に何度もいかなくても良かったりするので。

6.最後に

究極に言うと、今、やらなきゃいけない必然性は大きくはないのですが、ずるずると進んで、大変な状態になる前に手を付けておいた方が良いかなと思うのが町内会運営だと思います。結果的に僕ら世代に丸投げというのは直球すぎますが、来る問題だと思うので、これを読んだ同世代の方々、少しずつ情報収集することをおススメします。

そして、町内会とか入っておられない方は、状況を調べてからでいいと思いますが、防災の観点からは入っておいた方がセーフティーネットは増えると思います。有事の際は公助って届くまでに時間がかかるので、共助である町内会はまだまだ捨てたもんじゃないと思います。少なくとも僕は、先輩方に教えてもらいながら、ぼちぼち楽しみながらやっています。

twitterもやっています。町内会のこともたまに呟きます。今年は多いと思います。


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