滋賀地域交通ビジョン(素案)に対するパブコメについてwith 分析

記事協力:全員出発様

滋賀県の交通戦略課は、令和5年12月25日(月)から令和6年1月25日(木)までの間、下記の滋賀県のページにあるように滋賀地域交通ビジョン(素案)に対するパブリックコメントを募集しました。

https://www.pref.shiga.lg.jp/kensei/koho/e-shinbun/oshirase/336258.html

その結果

県が公表した交通ビジョン令和5年12月募集のパブコメ一覧
https://drive.google.com/drive/folders/1YymchguwCy-uuEEFleq9_hCLZC_e-b2l?usp=drive_link


県に情報公開請求した、パブコメ原文一覧
県民36件
https://drive.google.com/file/d/1OE6JXrGtTc7b6aeYpoTvoIlRlPZ0x2_g/view?usp=drive_link

市町17件
https://drive.google.com/file/d/1yzxUmYdXP4GA_zIIoBRg3LmruXhk7ivZ/view?usp=drive_link

以上を見比べてみましょう。

Ⅰ 県が公表したパブコメ結果の分析(市町意見)

(1) 19市町の内6市町が提出した
(2) 東近江市が特に熱心に意見を提出
(3) 関心の中心は個別市町の交通計画との整合性
(4) 市町提出意見について県はすべて公表対応している。
(5) 交通税や財政措置に言及しているのは東近江市と竜王町
※ 竜王町が直接交通税に言及したのは以下の理由が考えられる。
  ・交通税が実質的に近江鉄道の路線維持にすべて使われる
  ・交通税の市町配分で財政力が考慮され、竜王町が不利になる

Ⅱ 県が公表したパブコメ結果の分析(県民意見)

(1)36の個人団体から提出があった。
(2)公的財政措置や関与増に関する意見の区分は次の通り。

◎ 何らかの増税を提案、賛成する意見
〇 既存公共交通の強化や公的関与増等を提案。
  №11(〇)は国費投入を主張し、交通税に反対の立場
× 反対意見
- 交通ビジョンや交通税と関係がない意見

(3) 賛成意見や無関係の意見には(№5,11,19)を除いて公表対応している。

(4) 反対意見は内容のバリエーションは無視して、№51にて短文にて集約したものが多数

・交通事業者の独立採算制度は維持すべき(1,6,23他)
・アンケート等の手法に問題がある。公正な結果が記載されていない(3,9,他)
・交通事業者が独立採算を維持できるよう産業誘致に取り組むべき(3,26)
・税金投入拡大や交通税は増税と地域の衰退の悪循環を招く(12,24)
・フリー乗降制度の拡大等、現状でも可能そうな規制緩和の検討をするべき(13)
・交通税は制度の恩恵を受ける地域の住民に限って導入するべき(14)

(5) №25の意見について異様に丁寧に対応している(通常、こういう長い意見はある意味迷惑なので適当に扱うのだが・・・県政有力者の意見?)

(6) №36(京阪電鉄)の意見にも丁寧に対応している。

その結果、滋賀県が「趣旨を損なわない程度にまとめた」とされる意見一覧はこちらにある通りです。パブコメに対する滋賀県からの反論や、指摘されての修正点も記載されています。そしてこの「意見一覧」が公共交通について専門家と共に話し合う「懇話会」にてシェアされ、話し合いが行われています。

少し批判的な意見が多めです。

https://www.pref.shiga.lg.jp/file/attachment/5452400.pdf


Ⅲ 県が公表したパブコメ結果の分析(総合)

(1)県民態度別・市町別意見数

・県民態度別()内は№25に一人で大量に書かれていた意見を30件分に水増し
・反対意見はN..51の1つに集約 つまり、反対は少なく賛成が多く見える
・市町別()内は非常に意見が多かった東近江市の意見数
※県公表資料№70と73は東近江市の意見と対応を二重に記載したことを確認(3/18)

この意見一覧は、滋賀県減税会メンバー数名が送った内容がどこにあるかわからないくらい要約されています(おそらくNo.51)。一部、「公共交通ビジョン素案」に対する意見そのものではない、交通税反対の意見の部分は趣旨と違うと言われるかもしれませんが・・・

そしてこのパブコメに対して県がどのような反応をしたかは、県のまとめたパブコメ一覧をご覧になられるとよく分かると思います。

高島市は「誰もが行きたいときに行きたい場所へというのは無理がある。この交通ビジョンこそ持続不可能」とのコメントを提出。それに対して「理想は掲げたままで行く」と無視した滋賀県。

パブリックコメントの意味はあったのでしょうか。

聞いたふりをするために行い、寄せられた反論は少なめに、賛成は多くというのは「参加型税制」の姿なのでしょうか?

令和6年3月27日に策定し公開された「交通ビジョン」は、令和5年2月に公表された交通ビジョンの「理想の姿」の数値そのままの年間127億円でした。

https://www.pref.shiga.lg.jp/ippan/kendoseibi/koutsu/337120.html

ひどい誘導アンケートから作られた、年間予算127億。

そこから、対象を偏らせた県民トーク、賛成派ばかりで話し合い要素ほぼなしの県民フォーラム、そしてこのパブコメ。その結果、計画はたいして何も変わらなかったのです。

「本当に大事なことをしようとしている」のなら、事務事業評価も含めた情報公開をしっかりした状態で、本気で県民の声を聞けるはずでしょう。

私は滋賀県が大好きだからこそ、滋賀県政のやり方には悲しみや怒りを感じます。


その他、交通税に関する資料一覧はこちらです。https://drive.google.com/drive/folders/1W6UmTLDaigFiMCyMLmcqsRiIVHX7LO3b?usp=drive_link


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