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「犬と暮らす」ということは「毎日散歩する」ということである。そして桜の頃に。

犬と暮らすと散歩が日課となる。
眠くても、気分が乗らなくても、二日酔いでも、さすがに痛風の発作のときは休むが、そういう程度の毎日の日課だ。

わが家では散歩の担当は私だ。妻は基本的に散歩には行かない。なにをしているかというと散歩の時間は寝ているのだ。「行こうか?」と誘っても「今日は〇〇で」とかなにかにつけ行かない理由が決まっているようだ。
実のところは私も犬と二人っきり(一人と一頭)で行きたいので、いちおう「一緒にどうか?」と誘うが本気ではない。

散歩はどの季節でもそれぞれ良さがあるが、海辺の田舎町ならではの木々の芽吹や咲く花々、漁港の水揚げや、ビーチの賑わいなど、やはり暖かい季節の方が変化が楽しめて良い。

かといって冬が悪いわけではない。伊予灘の島々が冷気と海温の温度差で浮かんで見える浮島、冬の渡り鳥、浜辺を風に舞う波の花、などなどなかなかに良い。

それでもあえてどの季節が一番いいかといえばやはり桜の頃だろう。
海辺の散歩道にある公園は350年前に開かれた旧港を造るために掘った砂を盛って作られたそうだ。もともと天然の港ではないため、海底にたまる砂を常に掘ってないといけなかったようで、数か所に小高い砂の山とその港湾事業の記念碑がセットで建っている。

旧港(萬安港)の隣の公園にはその頃に植えられたのであろう立派な松と桜があり、春には花見の名所ともなる。桜が開いてから散るまでのわずかな間は散歩に行くときの気分も桜の開花に合わせて華やかな気分になる。

そういえば、昨年は十数年ぶりに犬のいない桜の季節迎えたが結局桜を見ていない。犬がいなければ見るに足りない存在だったのか、それとも一年前に亡くなった愛犬との思い出の場所に一人で行きたくなかったのか、どちらかはわからない。

今年の桜は新しくわが家に来た「ふう」と毎日楽しんでいる。
今年は、これからの毎年、この桜を一緒に楽しむことができる歓びを感じる桜の頃だったということを書き留めておくことにする。


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