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そして、伝説へ

どうも。

KONGです。

本日のお話は高校時代。

KONGを含めた育ち盛りの男子達は、毎日決まって「早弁」をしていた。

2時間目が終わったタイミングで、まずは自分達の弁当箱を空っぽにし、
昼休みは昼休みで学食に行き、またご飯を食べる。

“よく食べるやつは男らしい”

そんなイメージが男子達の脳内にあったのも理由なのだが、
そんな中、絶対に早弁をしない事で有名な

「昼食の戦士」

と呼ばれる男子がいた。

彼はどちらかと言えば大人しく、目立ったグループにもいなかったのだが、
ある日の昼休みに突如、自前の魔法瓶からお湯を注ぎ出し、

学校でカップラーメンを食べ始めた事で


一気にクラス中の注目を集めた。

「おい!それっていーのかよ!」
学生特有の『誰もしていない事で脚光を浴びる行動』に嫉妬した生徒が、彼に噛み付いた。

「―――だったら早弁はいいのかよ?」
彼のスッパリとした反論にたじろいだその生徒は、
悔しそうな顔で教室を出ていった。

------数日後。

昼食の戦士が、

今度は『カップ焼きそば』を持って来た。

「おい!お湯は何処に捨てるんだよ!学校には捨てるなよ!」
また心の小さい男子の一人が絡み出した。

しかし戦士は3分後。
自分の魔法瓶に湯切りのお湯を戻し

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「捨ててないけど」 

と一言。
彼は戦士というより、王の素質を持っていた。

それからというもの、彼はポットから湯煎されたカレーを出してきたり、

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茹でただけのパスタを持ってきて、
ポットからカルボナーラを掛けて混ぜたりと、
まるで手品のショーのように様々な料理を教室に出現させた。

学食で食べる組も「今日はアイツ・・・一体何を出すんだ・・・」と気になってしまい、
戦士のカバンから出てくる物を確認してから学食に行く、というルーティーンが続いていた。

―――そんなある日。

 本人も少し面白くなって来たのか、昼食前に「今日は何を食べるんだ?」と聞かれると、

「今日は……ピザを頼んでやる!」

と、KONGの学生生活で誰も成し得なかった、学校でデリバリーを頼むと宣言したのだった。

「それはダメだろ!!」

 
と野次を入れるやつもいたが・・・。
これまでの戦士の功績(?)を見てきたクラス大勢のハートには、既に火が着いてしまっていた。

「見たくねぇのかよ!?学校にピザが来るんだぞ!?」
「空気読めよ!!」

もはや映画「ミスト」のような反乱分子狩り状態。


正しいのは野次を入れたやつだったのに。

――――――数時間後。

授業終了のチャイムが開戦のゴングになり、戦士はピザ屋に電話した。
そして、届け先を『学校の正門に』と伝えて電話を切ったのだが、
焼き上がるまでの時間を計算していなかったのが、まだまだ高校生。

昼休み中に届くのかどうかが怪しいのだ。

さらに先生に見つかった場合、
「出前した=携帯電話持ち込み=没収」
となり、携帯電話と昼飯とピザ代など、

失うモノの多さにも後々気付く。

自分の置かれた状況にソワソワしながら、ピザの配達を待つ戦士。
ピザはなかなか届かない。
そうこうするうちに、あと少しで昼休みも終わってしまう。
教室の窓から、ソワソワと外を眺める戦士。

そこで誰かが一言。

「そもそも門にいなきゃ、学校の職員室に持っていかれるんじゃない?」

 
Σ(゚Д゚〃)はっ!!!
すぐさま戦士はダッシュで教室を飛び出した。
そんな彼の頭上で、昼休み終了のチャイムが鳴り響いた。

―――――――――

戦士だけが不在のまま、授業が始まった。
出席も
「アイツは保健室に行ってます」
とみんなで庇った。
静かに進む授業。
一つ空いた席。
戦士は今どうしているんだろう・・・?
その時―――

バウウウウウウウウウウウン!キキーッ!


張り詰めた空気を切り裂くように、バイクの音が響いた。
はっ、と反応する生徒達。
窓際に座るKONGが、外の様子を見ようと、少し中腰になる・・・。

校庭を挟んだ教室の反対側。
校門の陰で、戦士がイソイソとピザの精算をしていた。

笑い声が出ないように必死に堪えるKONG達。 なぜなら、

校門の陰から戦士の体がはみ出して丸見えなのである。

 
携帯電話を隠しながら、クラスの一人が状況を伝えるためにメールを送った。

『見えてるぞ!!しゃがんで食え!!』

メールを受け取った戦士がすかさずしゃがむ。

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しかし、まだピザの箱が校門の壁からはみ出ている。
その事も伝えなければならない!

しかしそこでKONGが、ある事を思いついてメールを送ってみた。

『一枚くれ』

 
すると・・・。
校門の下から手が伸びてきて、校門の塀の上にピザが一枚置かれ、メールが来た。

『どうぞ』

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え?今くれるの?

校門を見続ける窓際の生徒達は、もう笑いを堪えるのが限界になってきた。
すると後ろから

「なんだ?なんかあるのか?」

 
先生が怪しげに窓の外を覗き込んでいる!!!
絶体絶命―――――。


そこで誰かが答えた。

 
「ピザです。」

 
「は?」


それを聞いた先生は、校門の上に置かれたピザを見つけた。

「あ!ピザだ!」


クラスは大爆笑。

――――数分後。

ピザを完食した戦士が、堂々とクラスに戻ってきた。

 
「お。もう大丈夫か?」

「はい」

そう答えた戦士は、

脇にピザの空き箱を抱えている。

放課後。
先生にコッテリ絞られて、職員室から戻ってきた戦士が一言。

「蕎麦だったら行けた。」


こうして、昼食の帝王が誕生したのでした。

さて

暑さもこれからが本番。

ピザでも、蕎麦でも、しっかり食べて元気に過ごしましょう。

それでは、また!!

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