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コロナ禍でアクアリウム市場が拡大したのはなぜ…?

2020年4月の全国への緊急事態宣言から現在も続くコロナ禍。
オイルショックや円高不況に、リーマンショックなど時代時代で不景気のきっかけは様々ありましたが、コロナ禍では一部産業は成長しているという今までとの違いがあります。

2020年4月の段階ではジェックスもこの先絶対にアクアリウム市場は厳しくなる、と考えていました。それは、お祭りやイベントの休止・中止で観賞魚飼育の入口である「金魚すくい」がほぼなくなってしまう、という事実からです。ジェックスはキョーリンさん、カミハタさんと金魚普及のための企画を数年にわたり小売店さまと一緒にやってきましたが、これもコロナ禍で実施しにくくなっていました。

金魚すくいから観賞魚市場に入ってくる人が一定数いなくなることで、アクアリウム市場も縮小していく、という危機感から、「家にいる時間が増える → 一つの趣味としてアクアリウムに人気が出る」というストーリーを描いて、ネット広告で『アクアリウムを楽しもう!』みたいな動画を配信したりしました。

大々的な配信はしていませんので見た方はプレミアムです…
このCM効果はおそらく微塵もなかったと思いますが、わたしたちの予想に反して、ペット全体、またアクアリウム市場は大きく伸び始めました。

2020年5月GW以降に起きたこと

2020年4月緊急事態宣言は百貨店など大規模小売業の営業や販売形態にも影響し、イベント中止なども相次いだことから、5月のGWは相当厳しくなると思っていたのですが、実際はペットショップにはお子様や家族連れが入場制限の中で訪れ、新たに魚や小動物を購入する姿が見られました。

新しく生き物を飼い始めた方=新規飼育者は市場的にも非常に魅力で、目立つ存在なのですが、私たちが分析したところによると、新規飼育者以上に市場を盛り上げた要因があったようでした。

それは既存飼育者のみなさまの行動です。

カード会社の統計資料によると、緊急事態宣言が出てから需要が急増したカテゴリーの中に「住居掃除」に関連するものがありました。ここから先は推定ですが、家の中にいる時間が増える→色々手入れしたいことに気がつく→その中に水槽も…という図式が多分にあったようです。

アクアリウム商品の売れ行きをチェックすると、新たに魚を飼い始めた方が購入する商品はもちろんよく売れていましたが、現在飼育をしている人たちが買い替えたり、買い足したり、メンテナンスするための商品もコロナ前に比べてよく売れていました。

ホームセンターでは当時、DIY部門が前年130%超という大きな伸び率とのデータがあり、お部屋の中の模様替えやお掃除などの行動をとった人が多かったのは間違いないと思います。

実はその中に水槽が含まれていて、水槽を掃除する=新しい魚や水草も入れよう、あ、フィルターが古いな、、、売場に行ったら新商品もある、買い替えてみようか。。。せっかくだから照明器具も新調しよう、お、ヒーターももう古くなってるな、、、いやいや、水槽もおしゃれなものが増えてるな、、、いっそ、もう一台置こうかな、怒られるかな、、、

そんな姿が昨年の5月以降、観賞魚専門店やホームセンターのアクア用品売場で見られたような気がしています。

これから私たちがすべきこと

私が熱帯魚飼育に夢中になっていた1980~1990年はいわゆる熱帯魚ブームだった頃。友達の多くが熱帯魚を飼っていたりしました。当時は熱帯魚、という淡水魚そのものに興味を持って、希少性や自慢のタネとして、また繁殖にチャレンジしたい、など、趣味という面が強かったように思います。

このコロナ禍で再びアクアリウムを始める人の中には、この時代を知っている人も多いと思います。

しかし当時と違うのは、お部屋の中には水槽を贅沢に置くスペースはない、テレビも家具もどんどん薄型になっている。また、マンションなどでは家具そのものが減っているので、あまり異質なものを部屋に置く、ということもしにくい。

なので、今選ばれている水槽は水槽自体がおしゃれ、というよりも、今のお部屋のインテリアに馴染むようなものが主流になりつつあるように感じます。主役、は水槽自身ではなく、インテリアにマッチする水景やキレイな魚、なのかもしれません。

そして、今から30年以上前の熱帯魚ブームがなぜ去っていったのか、ということはいつも強く意識しなければなりません。現在のアクアリウム人気との違いは関心≒目的が「魚」なのか「インテリア」なのか、という差があります。うまく飼育できなかった、ということで飼育を断念した経験をしている人も多いはずです。

現在の「インテリア」としてアクアリウムを楽しむ人が、アクアリウムから離れてしまう・やめてしまう原因がどんなことなのか。これから訪れるかもしれないこの事実を、メーカーとして解決しなければなりません。
アクアリウムがインテリアとして成立しない状態(汚れ?ニオイ?コケ?)にならないようにするには、どんな器具が必要で、どんな情報が役に立つのか…

水換えの大切さ

そして一つ、絶対に習慣として必要なことがあります。それは「水換え」です。魚飼育の不満の1位は昔も今も『水換えが面倒』ということです。どうしても水換えは面倒なので敬遠してしまいますし、水換えをしなくてもいい、というような商品も過去お店には売っていたりしました。

完璧な自然環境をつくりあげて無換水で足し水だけ、という飼育スタイルを実現するプロフェッショナルの方もいらっしゃるかもしれません。

水換えはアクアリウムの維持と魚の健康には欠かせないこと、ということが理解され、面倒な水換えが商品で少しでも簡便化(なくす、ではなく、ラクにする)されれば、アクアリウムからの離脱の原因も減らせるのでは、、と考えています。

世の中の変化の中でアクアリウムを楽しむ人は増えました。アクアリウムに癒される日が一日でも長く続くように、商品と情報、その2つをしっかりと提供していかないと、と思っています。