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「時のしずく」について語る #2

現在開催中のSeikoSeed「からくりの森」で展示してる新作「時のしずく」について語るシリーズ第二弾。

第一弾はこちら。

積み上げていく実験

撥水加工したお皿に水滴を並べてみました。まず、全くのフラットな状態の板を撥水加工して試したところ。ひとつの場所に止めておくのが超難しい。オートピペッターで水滴を出したら、それがそのままつつーっと走ってしまいます。ピシっと整列してる姿を目指したいので、これでは難しい。

ただ、きれいなことは確認できた。超きれい。

そこで、わかるかわかんないか程度に掘り下げてみました。

0.1mmだけ凹みをつける設計
パッと見全然わからない
整然と並んだ

これこれ。整然と並ぶ水滴。これこそ時計っぽい。正確無比な感じ。水滴は超きれい。美しい。最高。

水をどう出すか

当初考えていた機構

テストでは水滴をオートピペッターで並べていったこともあって、最初考えていた機構はこういう上から置いていくスタイルです。


神山くんが描いてくれたスケッチ。かっこいい。
スケッチをもとに形だけ作ってみた(レンダリング)

上から置いていくとしたら、こういう形が考えられます。回転するノズルが秒針のように動き、1滴ずつ置いていく。1秒に1滴おいていく必要があるので、めちゃくちゃ正確に動くロボ的な感じになりそうです。0.3秒で次の位置に動いたとして0.7秒以内に水を出さないといけない。う、うまくいくかな。。。うまくいくならば、面白い装置にはなりそうです。

が、メンバーからは「湧き出すとかどう?」いう声が聞こえてきました。

下から湧き出せばいい説

「穴が見えるのが嫌だな」と自分は思っていました。なのでテスト。

0.5mmの穴

あれ、思ったよりも目立たない。離れたら気にならないレベル。

おいていく場合穴は無くせるので、そっちもいいかもって思ってました。この辺は、2案悩んでる状態で、全体のミーティングの場で話しました。我々のチーム内でも湧き出す案が良いかもってなってましたが、セイコーのみなさんも含めて湧き出す案が良いとの話になり方針が決定!

実現については、ポンプで水を送る方式と、圧縮空気で押し出す水を電磁弁でコントロールする方法の2つアイデアがありました。これも後日テストして決めていきました。最終案は圧縮空気で押し出す案。MOMENTumの実績もあるしね。

水を落とす

これについては、早々に風で落とすのがいいんじゃないかとチーム内で声が複数挙がりました。実際、エアダスターとかで試すとうまくワークします。

上記はちょっと編集して1秒1滴な雰囲気にしてます。おぉ、こういうのができるのか、と気持ちを上げていく感じですね。机は濡れてます。ごめんなさい。

そして「落ちた水をどうするか?」ですが、存在を消す方向だとお皿の外側に水受け皿を用意したら存在を最小限にできそうです。でもなんか形状的に複雑性がうまれちゃう。シンプルなほうがいい作品だと思うのでもうちょい考える。

水受けザラをドーナツにしておいたときの設計

このときに思い出しました。撥水されたところに貯めた水の美しさを。

上記、KAPPESで作ったMOMENTumの実験の様子ですが、水が溜まってるところに水が入ってくると超きれいなんです。これは知ってた。

なので、これを作品に含めようと考えました。

お堀に水を貯める設計
レンダリングしてみた

お堀意外といいやん。溜まってる水の反射が美しい。

排水わすれてた

水が穴からでてきて、風で落とし、お堀に吸収される。ここまでは考えてましたが、溢れた水をどうするか考えてませんでした。

どこかお堀のある中で穴をあけて、一定の周期で水を落とす?制御が難しそうです。水位を一定化したいけど、構造が難しい。

お堀の水がチューブを伝って落ちる

水位を一定に保ちたいので、チューブで抜けたあといきなり排水タンクにもっていくと、全部抜けちゃう。なので、一旦水位を決める高さにして溢れたのをキャッチする必要があります。あと、お堀に穴が見える。それが嫌。

カバーをかけて落とす

これでいいのかも?

カバーを抜けて水が排水路に落ちる設計

こうしたら、お堀の水があふれるのは見えず、かつ水位を一定に保てる。カバーを撥水すると、きっと水はヘコむはず。

一部試作して見え方テストしてみた。

また机が濡れてる。ごめんなさい、、。
ていうか、カバーとったらどうよ。

あれれ、溢れるのも面白い。溢れた水が排水されるルートもみせるなら、こんな狭い排水路だとバランス悪いので調整。

排水路みせるならこうでしょの設計

排水路は勾配が必要です。排水穴は一箇所にしたかったので、どこにおちてもそこに集まるように勾配をつけてあります。意外と複雑な形状。

でもこの勾配、本当にこの角度でたりるかな。。実験しました。

勾配はOK。落ちるか落ちないかのこのせめぎ合いは魅力的!

まてまて、途中からコンセプトの事考えずに水の魅力に虜になって思考が展開してる。コンセプト大丈夫か?

悩んだらチームで確認

slackでコミュニケーションしてるので、オランダ在住の松下さんもスムーズに議論に参加してくれます。結論、カバーがない状態でもコンセプト的に無理がでるどころか、むしろ奥深くなることが判明しました。

見る場所が増えて散漫になる不安もありましたが、カバーを作る大変さなども加味すると断然カバーなしが圧倒的です。作る大変さを除いても、カバーなしのほうが良くなる可能性もあるので、なしで進めることに決定。最悪あとで追加して作ってもいいしね。

今日はここまで

どうですか?プロセス見れると一緒に作ってる気分になれます?

それにしても、プロセス長っ!これでも色々省略して書いてるんですが、長すぎてかけない。今日はこの辺で区切ります。

続きは#3で。

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