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ジョナゴールド「7号線」の謎 ~ 香港な話 ~

(注)ジョナゴールドさんのデビューシングル「7号線」についての記事です。香港の地理、歴史、政治などの話題は一切出てきません。

2022年4月にシンガーとしてのソロプロジェクトをスタートさせたジョナゴールドさん。
同年5月7日にリリースされたデビューシングル「7号線」は、RINGOMUSUME時代のアイドルPOPとは一線を画す、シティポップの香りをまとった大人の曲でした。
りんご娘時代とは全く違う、その変貌ぶりにfarmerは凄い衝撃を受けたと思います。

「7号線」は、iTunes Store ミュージック総合トップアルバムで初登場1位になりました。
また、MVも現在26万回以上再生されています。

さて、その「7号線」にこんな歌詞があります。

♪ Saturday 読みかけの本 こんな話だったっけ ♪

ジョナゴールド「7号線」作詞作曲:多田慎也

短いフレーズの中に色んな物語が詰まっていて、とても好きな歌詞です。

ふたりの関係が終わって、それまで読んだ本の内容を忘れてしまうほど、いろんなことを考えた。
あるいは、別れたことで世界観が変わった、ということなのでしょう。
たとえば、
恋愛小説の主人公に共感して読んでいたのに、改めて読んでみると主人公が別人のように感じる、のような。

でも、
とてもいい歌詞なのに、「香港な話」に聴こえてしまうのです。

聴き手が「香港な話」に気を取られてしまうと、曲全体の雰囲気が壊れてしまう可能性があります。
(実際、私も初聴きのときに、「ん、香港?」と混乱しました。)
なので、私が多田さんの立場だとすると、なんとかこれを避けようとすると思います。

なぜ、「香港な話」でOKだったのか、その謎について考えてみようと思います。

まず、解決法として
①「本」と「こんな」の間に休符を入れる
②「本」と「こんな」の音程を変える
③歌詞を変える

が考えられます。

(作曲技法はよくわかりませんが、)
①については、相当長い休符にしないと分断された感じにならないし、②については、曲調からして高低差をつけすぎると違和感があると思います。

③については、

歌詞を、たとえば、
♪ 読みかけの本 どんな話だったっけ ♪
に変えると問題は解決しますが、歌詞のニュアンスまで変わってしまいます。

「こんな話だったっけ」は、読みかけの本を開いてみたけれど、内容が記憶とずれている感じ。
「どんな話だったっけ」は、読みかけの本を開こうとして、内容が思い出せない感じ。

さすがに、記憶喪失は行き過ぎの感じがするので、「こんな話だったっけ」が正解なのだと思います。

ということで、ニュアンスをそのままに歌詞を変えてみます。

♪ 読みかけの本 違う話に見える ♪

説明的で、ストレートすぎるし、想像の余白がないのでダメですね。

♪ 読みかけの本 ストーリーがこぼれてく ♪
♪ 読みかけの本 夢の続きを探してる ♪

♪ 読みかけの本 ページをただ眺めている ♪

_| ̄|○ もう限界です

「読みかけの本 こんな話だったっけ」を超える歌詞が出てこない。

もしかしたら、多田さんもいろいろ歌詞の候補を考えた上で、これしかないって決めたのかもしれません。

多田さんが語った「香港な話」問題の真相
・自分では気にしていなかった。
・指摘されて聴いてみたら、確かに ♪ 香港な話 ♪ に聴こえた。
・ブレスは入れているが、音がすぐにつながっていることと、同じ音符なのが ♪ 香港な話 ♪ の原因。
・Jさんは気づいていて、いたずら心で歌っていたかもしれない(今度聞いてみよう)。

2023.4.22 FM青森「Apple Pop」

よくよく考えてみると、
1回聴いて終わりということはないのだから、歌詞を知ってしまえば ♪ 香港な話 ♪ とか関係なくなります。
むしろ、
初めに「なんだろう?」と思わせることで、歌詞の世界に引き込む効果があるかもしれません。

おわり

2022.4.1の「Aomori RINGO Radio(FM青森)」で、Jさんと仮谷せいらさんのコラボで「7号線」を披露していました。
仮谷さんが ♪ Saturday 読みかけの本 こんな話だったっけ ♪ を歌ったのですが、はっきり「本」と発音していなかったのと微妙なビブラートが相まって「香港」感が薄れていました。

ということで、
Jさんの忠実な発音と素直な発声が「香港」の正体でした。

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