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19歳女が語る映画エゴイスト(ネタバレあり)


映画「エゴイスト」との出会い

何はともあれこの歳にしてふた周り年上の鈴木亮平に数ヶ月前から沼に頭からつま先まで入ってい
て・・

彼に至っては出会ってしまったというより魅力に気がついてしまったという方が近い気がする。


実際、実写版TOKYO MERの宣伝に励んでバラエティ番組に出る彼を眺めながら頬枝を着いて、「いや、かっこよすぎやん・・....?」とつぶやく
私にママは、「いや、今更?」と真顔で返してきました。


思い返せば変態仮面見たことあったなーとか、テセウスの船めっちゃ面白くてリアタイしてたなー、ガッツリ出とるやんとか、婆ちゃんずっと西郷どん見てたなーとか、近くにいたんだね (滝涙)という感じ。

まあ、とにかく血眼で彼の作品を追い続けてるとある日気がついてしまうの。

「エゴイストって映画、主演やってるんや…」

はいこの時点で4月中旬。この映画公開2月頭。

映画の概要調べるうちに見たくて見たくて蕁麻疹
出そうになる推しオタク気質過ぎる私。

待って?まだやってる?爆速でサファリ。

大阪住みの私に出された結果は2択、京都か梅田
どちらも1日1回きりの上映、終了は未定。

まさかそのあと3回目見れるとは思わなかった私はすぐ見に行かなきゃ、終わっちゃう…!!と。
でも上映時間は梅田が終了時間23時、京都は終了時間20時過ぎくらい…。

自宅から梅田まで30分かからない位の距離ではあるものの、流石に23時はママに怒られる!!
でも、京都なら…

ド平日火曜日、夜間の専門学校に通っている私、京都の上映と授業は時間丸かぶり。
でも、正気を失った私は「一刻も早くみたい!」その日初めて学校を休むことにした。

学校に電話を入れると、担任が「大丈夫?何かあった?」と心配してくる始末で「あっ熱とかはないんで、ただ、一日だけお休みさせてもらいます…・」と若干意味わからん私。


その後、1時間以上電車を乗り継ぎ、烏丸御池駅にたどり着いた。新風館にあるアップリンク京都という映画館。めっちゃオシャレでびっくり。
最初、ここだと思わず目的地の前でウロウロ迷ったくらい。

そこまでずっとソワソワしてた。チケットのお金を払って初めてやっと安心できた。

早く着きすぎた。やることも無くて、ただスクリーンに入れるのを座って待つ。

やっと入れた小さなスクリーンは、椅子がカラフルでかわいかった。

この日、見終わって泣きながら外に出ると、気が付かないうちに雨が降っていたようで、新風館の床は水面のように周りを写して光ってた。

夜になって、ライトに照らされた新風館はめちゃくちゃ綺麗で思わずスマホのカメラを向けたけど、目に映る景色には勝てなくて、一枚も撮らずに、泣きながら帰った。泣いてたけど、苦しくはなかった。あの日の匂い、あの景色、なんとも言え無い感情は、いい時間だったな…。


私の人生に残るシーンと感情

初手、1発目、浩輔(鈴木亮平)が話す瞬間。
暗くなってからバクバクの心臓が、跳ね上がる。



次第に浩輔のキャラクターはとても自然に自分の中に存在していった。

浩輔の、なんとも言えない、柔らかくて艶っぽい
それでいて早口なような不思議な話し方、しっとりとしたような仕草。それに反するような、いや
しっくり来るような黒髪と短髪とガタイの良さ。終始よく見られた気がするのは、脇を閉めて広い肩幅をきゅっと縮めるようにする仕草。
座る時に、膝の上で、自らの手を重ねる仕草。

そして短髪によってより頑著になった亮平さんの立ち耳が、浩輔の色気をより一層際立たせてて良かった。


ハイブランドなコートやマフラー、小綺麗なバッグ、サングラスたちを身にまとって、颯爽と歩く
ガタイのいい長身には圧倒された。

劇中のファッションは、どれもすごく似合ってて
たまらなかった。

東京では、浩輔は仕事に励み、いい家に住んで、いい服や物を使う。仲間も多く、ゲイであることを荷重にしている様子は無い。
けれど、いじめられた過去や、母が病に苦しみ、14で亡くした故郷では、浩輔は浩輔として生きることが出来ないんだな。皮肉にも故郷であるのに。いや、もしかしたら、そんな浩輔こそが、本当の姿なのかもと田舎に帰るシーンで思ったりした。

2人の初対面の瞬間、急な雨に濡れながら慌てて現れた龍太。きちんと敬語で挨拶を交わした後。
濡れた龍太を見て『雨、大丈夫?髪凄いことなってるけど…笑』とタメ口。年下の子に話す時の印象。浩輔の礼儀の緩急からコミュニケーション力の高さが見えた気がした。

龍太の印象は、氷魚くんの見た目そのものという感じ。色白で細身、ふわふわの茶髪、明るい瞳、かわいい笑顔、爽やかな声、若くて儚くてピュア。そのまんま。俗に言うゲイ感は全くないけれど、第一印象完全にウケ。

そう、私は密かに必ずあるであろう濡場に、鈴木亮平のタチを当然のように期待してた…。

カフェの会計で、龍太は小銭を床にばら撒く。
数分前のやり取りの末、既に浩輔は奢って貰う立場にいた。

浩輔の『えぇ…嘘でしょ…笑』の声、含み笑い、しばらくしゃがむことなく、立ったまま見下ろしている。それは同時に龍太を〝オトコ〟として狙って、『(コイツ、かわいいな)』と見ているように感じた。

拾いながら、今度は棚に頭をぶつける龍太、やっと少ししゃがんだ浩輔の『ねぇ、ほんとに大丈夫?払おうか?笑』に、『ちょっともうほんと、黙っててもらっていいですか』と俯いたまま怒る龍太に、楽しそうに笑う。

喫茶店を出て歩く道中、「あの、やっぱここ切れてません?」と龍太。
『えぇ…見る?笑』と浩輔がそっと髪を掻き分けて覗き込むと『あ〜でも、タンコブ出来てるくらいだから大丈夫じゃない?』と呟くように言って、タンコブを指でぎゅっと押す。「痛いって!」と怒る龍太を見て、また楽しそうに浩輔は笑う。

見るために龍太の髪に触る浩輔の手先が優しくてきゅんとした。

もう!!めっちゃ良いカンジャン…!と私。

仲間との飲み会で、浩輔は周りが盛り上がる中で一人スマホを触る。突っ込まれると、『トレーナーに、食事の内容を送ってるの』と説明する。冷やかされ、いじられ、楽しそうに冗談を言う。かわいかったのか?と聞かれて、『かわいかったの…!でもね、ピュア、めちゃくちゃいい子!』と言う。

そんな浩輔が見た龍太の魅力は、この言葉だけじゃ仲間には伝わりきらないんだよな〜と私は感じた。
龍太は本当に、氷魚くんそのものの美しい容姿やオーラ、雰囲気も含めて、天使のようだったから。きっと、浩輔にも天使のように見えたと思うから。

私が見た限り、浩輔に亮平さんの影は限りなく薄かった。2連のピアスホールや立ち耳、何の誤魔化しもないカメラワークが彼を映し出しても、
あれは鈴木亮平ではなく齋藤浩輔だった。

鈴木亮平がやはりたゆまぬ努力と研究の末に導き出し、そして才能を通して発揮し、本当に斎藤浩輔としてスクリーンで生きてた。

でも、龍太には氷魚くんの良さそのものが溢れんばかりに生かされていて、それがまた、震えるほど良くて、監督に感謝。解釈違いかもしれないけど、監督が言ってた「氷魚はナマモノ」ってこう言った事なのかなと少し思った。


そして、劇中2回目のトレーニングルームから歩く道、龍太が以前、母に土産を買うのを高いと諦めた寿司屋の前で、浩輔がおもむろに店へ入り龍太に渡す。

「受け取れませんよ…!」となる龍太。そりゃあそうなる…。そりゃあ受け取れない!

龍太の様子からも、動揺が伝わる。でも浩輔は諭すように、『中村くんにじゃないの、おかあさんに、だからあなたに断る権利はありません、ね』と龍太へ渡す。


浩輔の愛の始まり。エゴのはじまり。

そこまで言うなら…と渋々受け取った龍太。
少し得意気な表情で龍太を見て頷くようにして先に歩く浩輔。


そして、その道中、歩道橋で先を歩く浩輔の背中に龍太が「斉藤さん」と駆け寄る。

あの予告のシーン!胸が高鳴る。

予告では、交際途中の風景だとばかり思っていたけど、実際には2人の恋の着火地点で、始まりは、仕掛けたのは龍太からだった。

振り返る浩輔に、軽くキスをして直ぐに先を行く龍太。

ワッ…浩輔、ニヤニヤしすぎて顔が取れそうになるんじゃ…?と思った私。

けれど浩輔は一瞬時が止まり、しばらくの後、
戸惑いたっぷりの怪訝そうにも見える表情で『えっ?なんで?どゆこと』と向こうの龍太に言う。

『お寿司のお礼?』       「違います」
『えっじゃあなに…』  「斉藤さんは魅力的です」浩輔は少しも口角を上げることなく聞いた。

えっ、浩輔すごい顔してる…なに?どゆこと?
と浩輔より戸惑った。

てか、かわいくて狙ってる子に不意にキスされて、動揺して考えてまず最初に出て来たのが『(お寿司のお礼かな?)』なの浩輔かわいすぎてしんどい…。

その後、2人はセックスをして結ばれるわけだけど…。

そのシーンの感情は、血圧も心拍も上がりすぎて書けないので割愛。色々すっ飛ばして冷静になって一言言えるとしたら、亮平さん想像以上に股関節柔らかいなって事と、あと単純にめちゃくちゃ気持ち良さそうで普通に興奮した。

それから、私が一番好きなシーンは龍太が売りをやめて、働き始めてからのソファーのシーン。

「そろそろ行かなきゃ…」な龍太に、『えー、泊まっていけばぁ?』と口を尖らせる浩輔。
そして、龍太が忙しいことが分かると、また口を尖らせてバツが悪そうに謝る。

「どうして謝るの?」と聞かれて、『だって…僕が言ったから…』と、そんな浩輔を龍太は直ぐに座り直して向き合って、手を取って両手で包んで、「浩輔さん」と名前を呼ぶ。この時、座高が
龍太の方が上になる。

その時の、浩輔の恋人の目をじっと見つめて、言葉を待つ表情があまりにもかわいくて愛おしかった。

「俺さ、お袋にホントの仕事言えるの嬉しいんだよね」と龍太。人を愛でるときの龍太の癖だろうか、浩輔の後頭部に手を回して優しく撫でる。
浩輔はもらった言葉に、目が微笑んで視線を落とす。それから恋人からのキスを目を閉じて待つ。
恋をする浩輔は、凄く愛らしい生き物だった。

浩輔が龍太の家へ行くシーンはソワソワした。

食事の後に、龍太が奥の部屋から浩輔を呼ぶ。

暗い部屋、入口からリビングの光が入るすぐそばで、龍太はキスをしようとする。

小声で拒否する浩輔も何度目かでそのキスを受け入れる。キスをして直ぐに部屋を出た龍太とは
対照的に、浩輔はそこで数秒じっとしていた。
あの時、何を考えたのか、気になる。


私はネタバレを見てから映画を見に行った。
だから、ある程度見たあたりから、凄く怖くなった。お願いだから来ないで、お願いだから起こらないでと、2人が車で海に行く約束をしたその瞬間は、本当に怖かった。

二人の関係は、段々と、着実に変わっていった。
大きなきっかけもあったけれど、幸せの中に潜む龍太の戸惑う反応や、確実に正解とは言いきれない浩輔の行動をただ見ることしか出来ないあの時間は、感じたことのない恐怖だった。

そして何も抵抗できぬまま、どうかと神に祈っても訪れたその瞬間、電話でその事を知った浩輔の顔を私は見ることが出来なかった。

こんなことを聞いた浩輔はどうなってしまうんだろう?と考えたらもう、見てられなかった。

涙でスクリーンが歪んで、ぎゅうっと目を閉じたのだけど、浩輔の素っ頓狂な声は、荒くなる息は、嫌という程に脳に響いた。

龍太の母の声とともに、浩輔が見ていたであろう龍太が映る。無邪気な笑顔、美しい横顔。私が見ていた以上に、2人は時間を重ねたんだ。
愛おしい時間を、2人は重ねてた。

それからは息ができなかった。葬儀のシーンはもう、こっちが吐きそうだった。

意味がわからないほどに感情移入してしまっていて、私、気が付かないうちにシャブでもキメてここに来たのかなとさえ思った。

龍太が亡くなってから、浩輔と龍太の母は時間を重ねる。

私が見たネタバレには含まれてなかったけど、浩輔が龍太の母にお金を渡そうとする事は予想が着いた。私でも、そうしてしまうだろうなと、そうするしか…と思ったから。

お金のシーンは、もう、リアルを超えていた。
現実でしか無かった。龍太の母の反応、浩輔のどう伝えようかと考え込む声と表情、最後にはほぼ泣きながら悲願する。

なぜ渡したいのか。
“龍太にしていたこと、過ごしたことを無かったことにできない、したくない”

最高にエゴだと思う。

でも私は、浩輔からその言葉を聞いた時、共感のあまりに鳥肌が立った。
心の中で、そう、そうだよね…!!と叫んだ。

やっと封筒を手にした龍太の母を見て私は、安心した。このまま受け取ってもらえなかったら浩輔は、もう壊れてしまうと思ったから。

その後からすごく印象に残るのは梨。

浩輔が梨を選ぶシーンはなんとも言えない気持ちになった。

迷った後に高い方を3つ抱えた時、落ち着いていたはずの涙がまた出てきた。この理由だけは何度考えてもわからない。


浩輔という人は、そして龍太は…

エゴイストを繰り返し見て、そして何度も映像を頭の中で繰り返し噛み砕いてみて自分なりに龍太という人間と浩輔という人間が見えた気がした…。

でもすごく時間がかかった、この作品において、浩輔がお金に困っている恋人のために、毎月渡すこと、更に車までも、そして、恋人の母までにも…というこの行動はただの〝超善人〟と言えないから。

1回目を見たあと、龍太が死んでしまった悲しみを浩輔と同じように受け止めて、悲しかった。
でも、確かに悲しいだけじゃなくて、よく分からない温かさが残った。その正体はきっと、最後に龍太の母がくれたものかな。

だけど時間が経つと共に、浩輔の行動に対する
違和感が募って、どうして浩輔は龍太に対してこんな行動をとったのかと思った。

それは、浩輔はとても未熟で、実は龍太よりもピュアな大人だったからかもしれないなと…

もちろん、浩輔が主人公だからという面もあると思うけれど、浩輔は龍太よりも感情を顕にしたり、振り回されたりしてることが多い人物に思えた。

大きな存在感と包容力のある身体で、浩輔は、
笑って、よく喋って、余裕なさげに性欲が満たされるのを求めて、踊り歌って、追って、与えて、泣いて、悩んで、苦しんで、乙女の顔をして……

ケーキひとつに大きく感動するその感性や、部屋に飾る絵、繊細な心の持ち主だったのか。

そんな風に浩輔はたくさん感情に振り回されてた

時間を忘れて去った恋人を探し出した姿を思い返しても、そう思う。

お金を渡したり、お土産を渡したりする度に龍太は困った顔をする。その度に、『稼いでますから』『大丈夫』と言う浩輔。そしてその度に私は、龍太が困ってるのは、そういったことが根本的な理由じゃないんだと思いもどかしくなるのに、じゃあ何が理由なんだ、教えてくれよ、どうすれば良かった?と浩輔に聞かれると、なんにも答えられないだろうな。

とにかく、確かに年齢も、社会経験も裕福度も浩輔が上だけれど、龍太はそれとは違う所で浩輔より大人だったのかも。

思い返せば、最初のキスからそうだったかも。
恋愛の面では龍太の方がいつも上手にいたように感じた。最初のキスだって、初めてのセックスだってそう。

龍太から恋愛の切符を切って、最初に龍太が浩輔を抱いた。

私のお気に入りのソファーのシーンも。
龍太は、落ち込む恋人を、「俺さ、お袋にホントの仕事言えるの嬉しいんだよね」と。この一言で、安心させられてしまうの。それも、まるで嘘偽りのない様子で………。もちろん、嘘じゃないと思ってる。「地獄だけじゃなかった」ってこの言葉があったから。
浩輔には直接言わなかったこの言葉が龍太の浩輔への愛を最大限に含んでた。

だけど、浩輔が身を削るようにしてまで続けたあの行いは果たして龍太を心から安心させて上げられてたかな。と、思ってしまった。

私は…

まさか、まさか一生会えなくなるなんて、思っていなかった2人。

母を支えるのに必死だった龍太と、母親の死から、自分の母親への罪悪感から逃れ切れない浩輔は堕ちないように堕ちないようにと、生きようと戦った瞬間はいくつもあったはず。

龍太が、ゲイだと気がついた時、ウリをやろうと決めた時。浩輔がはじめてブランド物を買った時、はじめて自分らしいセックスをした時、同じセクシャリティをもつ仲間たちとの出会い。
そんな瞬間が、それぞれにあったのだなと思う。

些細な友人とのやり取りから意識をして、出会って、最初の印象を互いに見つめて、セックスをして、好きになって、のめり込んで、恋に浮かれて、気がつけば、何が正しいのか、これは正しいのか、客観的に見ることは出来ないまま、好きな人を救いたい、このままずっと愛していたい、会いたくないなんて言われたくない。『迷惑だなんてそんなのこっちが決めることじゃん』どうして、どうして分かってくれないのってそんな気持ちは、エゴだと気がついたときはきっとその言葉が1番お似合いで、けれども、真剣に向き合ってどうか相手が幸せにと願った結果でもあった。

あまりにも無念だ。時が過ぎれば龍太はいつか、いつかきっと浩輔に恩返しが出来たはず。今までありがとうって助けてくれて、支えてくれて、本当にありがとうって、これからも一緒にいようね。って時が解決するものや、龍太の努力が報われて実ったときにいつか、2人に解放と、今までと変わらない…
むしろ今まで以上の幸せが待っていたはず。

生きてさえいれば。

それは、生きてさえいればきっといつか……

龍太が死んで、龍太の母親の癌が分かって浩輔は自分の選択や、自分がして上げたことに強い後悔と疑問と申し訳無さを顕著に感じた。

よりによって龍太は死んでしまって…よりによって龍太の母親は癌だった。

浩輔の気持ちを案ずると、龍太の母親はもうじき、癌という不可抗力で死んでしまうのだから、そうだったのなら、そうだったのであれば……と最低ながら考えてしまう。

ならば…『会わなきゃよかった!』のか。
それが、全てだったのか、龍太の泣き叫ぶ声が聞こえる。

日曜日に、車が来る日に、2人で海にドライブへ行くことを約束した。

お金のことや、母親のことを抱えて、昼も夜も働かなきゃならない忙しなくて大変な日々の中で、龍太は土曜日の夜に、〝明日は浩輔さんに会える。明日は海に行くんだ〟そう思って幸せに眠りについたのかな。死んでしまう前に、考えたのは、幸せなことだったのかな。

自分が浩輔なら、龍太は化けて出るんじゃないかと、一生、一生誰にも許して貰えないんじゃないかと思ってしまうだろう。
龍太が亡くなってから龍太の母親の家を訪ねた浩輔はきっと、龍太への想いから逃れられなくて、縋るような気持ちだったのだろう。

病院で眉を書くシーン。私はどんな意味を持つのかいまいち、ピンと来なかった。

けれどどこかで見た〝あれは鎧を再び身につけて前へ進もうとする浩輔の強さだ〟という言葉に
あぁ、そっか、浩輔はこうやって生きてきたんだ
と腑に落ちた。

浩輔は今までもこれからも、こうして立ち上がって、生きていくんだ。と思った。

最後に

最後に、私も亮平さんと同じように、確かに天国を信じていないと言っていたけれど、これは私のエゴだけれど、どうか、恋人とその母とそして自分の母と、再会し、笑い合えていますように。








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