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もう見て見ぬふりをできぬところまで来ている「かき揚げ」の肥大化問題について

単刀直入に言います。かき揚げ、徐々に分厚くなってきていませんか?
あるいは、分厚いものがペタンコのものに取って替わって増えてきていませんか?

とはいえ

タイトル画像でお借りした「沼津某店のかき揚げ丼のかき揚げ」、こういうのは別に無暗矢鱈と分厚くてもいいんですよ。かき揚げ丼だし、そういうコンセプトの店だから。
今回議論の対象にしたいのは「かき揚げそば(うどん)」のかき揚げです。

気のせいではないかき揚げの肥大化とその弊害

これは東京の立ち食い蕎麦チェーンの名店(※実際は座れますが)「文殊」の2019年末と2021年末の写真ですが・・・

文珠 亀戸店 2019年末
文珠 両国本店 2021年末

アングルが真上というのはさておき、明らかにかき揚げ、「高く」なってますよね?「これはかき揚げ蕎麦じゃなくてお得なセットのミニ天丼だろ」というツッコミは至極真っ当ですが、文殊もそれ専用に揚げ分けている訳ではないのと、「かき揚げ蕎麦」として出てきたものは出てきてから食べるまでがスピード勝負のため、手元にこの写真しかないことは予め謝っておきます。
かき揚げそばのかき揚げが「高さで迫力を出すタイプ」ならどういう弊害があるか?これは「単純に厚さ=高さがある程度以上(具体的には3cm以上)あると縦に噛めないし、具材同士の結合が疎だからすぐに出汁を吸って溶けてドロドログズグズになる」ということに尽きます。(または揚げ方がヘボくて中が生状態か。「文殊」のレベル相当あるいはそれ以上の店ならその心配はないですが、その域でない店も、チェーン個人店問わず まま あります。)
関西人として個人的には「溶け崩れた揚げ物でグズグズなったようなものを食べ(飲み)たければ、天かすを大量に入れますわ」という話であって、「かき揚げそば」にそういうのは本当に一切求めてないです。出汁が汚れるし、なによりかき揚げそばに期待する「初めはカリサクのかき揚げ&澄んだ出汁と締まった蕎麦~終盤の出汁を吸って柔らかくなったかき揚げ&油が溶けて濃厚になった出汁とゆるふわ感が顕れた蕎麦」というテクスチャーのグラデーションが味わえないので。

どうしてそうなった?

これは想像ですが、「麺屋における高さで迫力を出すタイプのかき揚げ」は、セルフうどん店のチェーンで進化して広まっていったんじゃないかと考えています。揚げ物をピックアップするタイプの店であれば、陳列の際にデカければお得感があって手に取られやすいからですね。一方、立ち食い蕎麦店では食券を渡せば自分で揚げ物を選ぶフェーズはなく、出てくるものを受けとるだけなので、無闇にかき揚げを大きく分厚くする動機がないので、ここで進化したとは考えにくいところがあります。また、「高さに迫力があって具材の結合が疎なかき揚げ」は、釜玉うどんに砕きながら混ぜ込む分にはかなり具合がいいんですよね。(ちょっと行儀が悪いので人前ではやりませんが・・・)これもセルフうどん店発祥説の裏付けだと思っています。
なお、TwitterやInstagramや食べログといったSNS的メディアで、かき揚げがデカいとそれだけでインパクトがあってシェア・投稿されやすいという側面もある程度以上、この傾向に拍車をかけているのではないかとも考えます。実際は分厚すぎるかき揚げは、かき揚げ蕎麦には全然アンマッチなのですが。

結局何が言いたいのか

かき揚げそばにおけるかき揚げは、せいぜい厚さ2cm台に留めてほしいです。カップ麺のレベル(どれだけ高くてもおよそ1.5cm)にまでペラペラにする必要はないですけど、繰り返しになりますが「3cmを大きく上回ると単純に噛めないし、具材同士の結合が疎だからすぐに出汁を吸って溶けてドロドログズグズになって不快」です。そういうのはマジでかき揚げ蕎麦に求めていないので、各種麺チェーンには「食体験に鑑みて無意味な」かき揚げ肥大化競争から降りて、かき揚げ蕎麦に適したかき揚げを供していただきたいです。マジで頼む。。。

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