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ぼくがパンケーキだったのを知るのはアオイくんだけです

 ぼくがパンケーキだったのを知るのはアオイくんだけです。

 バルコニーを持ちながら、どこまでもフラクタルな4丁目をアコースティックな6丁目に変えようとしていたところ、ハイトーンバッファローの群れが押し寄せてきました。
 その勢いに手を貸す【スパゲティ】は、大胆な姿を披露し、己の天命に気付きます。そうです。フリーハグおよびそれ以上の営為に淫し、やがて南十字星の南東に位置する毛虫座の一等星【催眠】になりました。

→外側

「ねぇねぇ、なんで? なんで【さいみん】になったの?」
「どうしてだろうね、ミク。そういうお話だから仕方ないかな? でもさあ【催眠】になるって悪いことなのかな?」
「うーん。わかんないよぉ。さいみん、もわかんないし。

 ねぇママ、すぱげてぃたべたい」

→内側

 ぼくがパンケーキだったのを知るのはアオイくんだけです。

 アオイくんは置き去りにされた学生証だった頃の話を、それもいく通りかのカラフルな話をしていました。例えば左脚を前に、その後すぐに右脚を前に出す。それを繰り返せば進めるよ、と。
 そんな器用なことできないよ。ずいぶん当たり前に言ってくれるよね。ぼくは不快でした。でも、アオイくんは悪くありません。

 さて、次回はアオイくんがサンバイザーだった頃の話だよー。

→外側

「ねぇママ。ふつうのおはなしがいいな」
「ふふ、そうね。そうするね。でもさあ、ミク、普通のお話なんてあるかなあ?」

→内側    →外側

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