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時を超えた贈りもの

先日、森永製菓さんによる森永ビスケット名作朗読キャンペーンが展開された。
3年ほど前にも推しの諏訪部順一さんのAR朗読劇を楽しめる企画があったが、今回も諏訪部さんご参加ということで、張り切って仕事帰りにビスケット探しの旅へ出た。
各パッケージ、種類ごとに異なる1作品をパッケージ側面のQRコードをスマホで読み取ることでシークレット1種類を含めた全8作品の名作朗読劇場を鑑賞できるのだ。
諏訪部さんが参加されているのは、MARIE×銀河鉄道の夜(前編)CHOICE×銀河鉄道の夜(後編)とALMOND×ピーターパン。
運良く、1軒目でMARIEとCHOICEに出会えた。
牛乳を用意し、ビスケットを口に含みながら耳を傾ける。
途端にわたしの心身は子ども時代へ。
正直、初めて「銀河鉄道の夜」を読んだ10歳のわたしにはなんだか悲しくて奇妙な話という印象しかなかった。
少し時を経て、本のページをめくることを繰り返していくうちに、幼いわたしの心は物語に惹きつけられていった。
ひとり、布団の中で眠れずにいるとさそりの気持ちが入り込んでくる。
女の子の涙が染み込んだハンカチの湿り気を感じる。
カムパネルラとジョバンニはしあわせだろうかと小さな窓から夜空を見つめる。
燈台守の言葉にわたしもなぐさめられていくうちに、年齢も重ねていくと、祈りにも似た淋しさを抱えていくしかないことに気づいた。
でも、この歳になって諏訪部さんの朗読という贈りものをいただけた。
わたしにとらわれて、わたしの心と掌を行ったり来たりと何十年も漂っていた物語の登場人物たちは、諏訪部さんに掬われて夏の星空へ還ることができたと思う。
子どもの頃のほうが眠れないことが多かったわたしは様々な本に寄り添ってもらってきた。
今、こうして大好きな人に大好きな作品を読んでもらえることを幼い自分に教えてあげたい。
宮沢賢治先生がわたしに植え付けた、世界の美しさと哀しみと淋しさは永遠に変わることはないけれど、探していた幸いをここで贈ってもらえたことを心から感謝したい。
ありがとうございます。
素敵な企画をしてくださった森永製菓さんにも感謝申し上げます。

#森永製菓
#諏訪部順一

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