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物語は現実のように『百名哲』という才能に出逢え

皆様は“モキュメンタリー”という言葉をご存知でしょうか?

“モキュメンタリー”というのは本当は実在しない出来事をさも現実のドキュメンタリー番組のように見せるテレビや映画の手法の一つで、
古くは『川口浩探検隊』映画だと『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と言ったような作品があります。
近年でマンガと絡んでいるものだと山田孝之主演の『東京都北区赤羽』なんかがこういった作品の代表作です。

現実とフィクションの狭間を行ったり来たりするのがこういうった作品の特徴なので見ている僕達もいつの間にか本当か嘘か分からなくなって錯覚をしていきます。

というわけで、本日紹介するのはそんな“モキュメンタリー”なシステムを取り入れた作品その名をズバリ

『モキュメンタリーズ』

です。

この作品は作者である百名哲センセイの分身である百田哲が主人公です。マンガの中の彼は自分が出会った人や出来事を作品にしつつ発表をしていきます。

マンガはどこまで行っても『物語』なのですが、こういった作品で作者が『僕の体験したお話です』なんて言っちゃうとモキュメンタリー感は凄く高まります。

この作品の中で作者の分身である百田氏はマンガを描いて諦めて旅に出て死にかけて、いろんな人にあっていろんな体験をしますヤクザまがいのなんでも屋、アイドルグループの解散の現場、催眠術の裏側などなど。

けれど、それが本当の出来事だったかどうかは実はそんなに大した問題ではなくて、この作品の本質というものはこの作品の中に出てくる登場人物は貴方がどこかで見るはずだった物語のワンピースなんだよというところにあります。

僕達は日々生きていて、知ってる人、友達、恋人、家族と身近な人はもちろんだけど、毎朝の電車で見かけるあの子だったり何気なく入ったお店の店員さん、テレビで見かけるスーパースターなんていった近くて遠くいような人達とすれ違っていたりします。

普段はもちろんみんながみんな自分の人生を生きていますし、マンガやドラマになるようなことの方が少ないかもしれないけれど、この作品を読んでいると、そんなすれ違っているだけのはずの人達の人生に触れたような気持ちになれます。

本当のような嘘と嘘のような本当。

そんな世界を行ったり来たりできる本作は全二巻の完結作品。とても素敵な物語が詰まった本作は是非沢山の人に手に取ってもらいたい作品です。

百名センセイの作品は

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