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Episode.4 大晦日

 12月31日、亀山家。私は源くんと2人で紅白を見ている。なぜ、源くんがいるのかというと18時ぐらいに
「俺、今1人で寂しく年を越したくないから……亀山と一緒に年を越したい……泊めてくれないかな?」
と。押しかけて来た。私は源くんを家に上げた。あまり広くない間取りだけど。今、源くんは沖縄出身の6人組アイドルグループのダンスを狭い私の部屋で踊っていた。
「源くん? 下の階の人に迷惑が掛かるよ?」
私は警告するが
「あともう少しで終わるから!」
と。聞く耳を持たなかった。猫並みの聴力持っておいて。
 23時59分。あと1分で年が変わる時刻になった。源くんを見ると
「亀山、抱き合って年越す? それとも一緒にジャンプする?」
と。聞いてくる。
「一緒に横になって年越さない?」
私は源くんと手を取り、一緒に横たわる。私と源くんの距離は近くなった。するとテレビから
「5523と5506が新年をお送りします……」
ーープ……プ……プ……教テレ
港から、船の汽笛が鳴り響く。
「明けましておめでとう……かめや……いや、仁和」
「明けましておめでとう……ゆっきー」
私と源くん(後に、ゆっきー)と新年の挨拶をする。こうしてウイルスが蔓延っている年を越すことができた。年を越してもウイルスはまだ蔓延っているが。

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