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Episode.4 フル【両side】

 侑久side。11月2日、特別教室棟2階生物教室。
「島崎! ちょっと話があるから来てくれ!」
俺は島崎を呼ぶ。島崎は席を立ち、俺の後を追う。
 特別教室棟4階、音楽教室前。
「すまんな……数ヶ月弱ぐらい告白の返事先延ばしにして」
俺はまずソウタのように謝罪する。
「大丈夫! ゆっきーの返事はわかっているから!」
島崎はエリと同じセリフを言い、俺に抱きつく。今はソーシャルディスタンスの時代だ。
「じゃあ言うよ……返事はNOだ」
俺は告白をソウタのセリフと同じように断った。
「え……」
島崎はエリと同じ反応する。
「な! なんで!」
島崎は目から涙がで始める。何から何まで小説と同じなんだが。
「島崎は亀山を泣かしたろ? 千々野から聞いた……俺の好きな人泣かす奴と付き合えるか!」
俺は亀山が好きなことと、その情報を畳からではなく千々野から聞いたと嘘をつき、その好きな人を泣かす人は好きになれない。と。島崎に伝えた。俺は声を上げて泣いている島崎を無視し、生物教室に行った。後で気づいたのだが、この日は島崎の誕生日だったみたい。
 仁和side。11月5日。私は光をあの告白した中庭に呼び出す。
「ににゃちゃん……どうしたの? 話って……」
光は浮気したことを自覚していないようだった。
「塚本くん……ににゃと別れて」
私は光に別れてと言った。
「え? 僕はまだににゃちゃんが好きなのに?」
光がまだ好意を持っている。
「その『ににゃちゃん』って言うのやめてくれない? 気持ち悪い! 浮気もしたのに、まだ好き? 嘘つき!」
私は光に罵声を浴びせて、逃げていくように去った。次は、夏澄ちゃんのターン。
「光くん?」
夏澄ちゃんがものすごい剣幕で塚本くんを見る。
「か、夏澄!」
塚本くんは一歩引き下がる。
「光くんと付き合った期間短いけど、別れるなら最後に一発殴らせて!」
夏澄ちゃんは、塚本くんの顔面に一発パンチする。塚本くんは、鼻血が出てサーチライトの付いたヘルメットも取れて、サーチライトは割れた。塚本くんは気絶した。私と源くんはこうして、ライバルを無くした。

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