名作椅子のある生活。

いつ頃からだろうか、
自分だけの椅子を持つことに
ずっと憧れがありました。

一人掛けで、そこに座るだけで
完全にリラックスできる特別な空間。

初めて、
この形いいな、
と意識したのは、大学生の頃に見た
mina perhonenの生地を貼った
スワンチェア。

今回は、そのスワンチェアの購入までを
記録します。


スワンチェアとは


フリッツハンセン社から出ている
アルネ・ヤコブセンによるデザインの
名作椅子のひとつ。
まるで白鳥のようなシルエットから
名付けられたこの椅子は
コペンハーゲンのホテルのためにデザインされた
ラウンジチェアです。

エッグチェアも気になる

スワンチェアとよく一緒に並べられるエッグチェアは
本当に包まれるように完全にパーソナルな
スペースが作られます。
その分大きさもあり、
自分が持つには現実味がなかった。

スワンチェアの優美なそのフォルムは
その後もずっと忘れられず、
カフェやショップに置かれているのを
見つけては座りに行き、
憧れは増すばかりでした。

名作椅子って

なんとなく椅子について考えるうち、
どうやら名作椅子という
長く愛される椅子のジャンルがあることを
知りました。
完璧なデザインもさることながら
座り心地も良く、
長く使える生産背景を整えている。
どれも心躍るデザインで、
部屋に置けば主役になる椅子ばかり。
そんな中でもやはりスワンチェアは
霞むことなく惹きつけられるのでした。

そんな椅子への興味から、
お休みの日はたまに家具屋さんへ
ウインドウショッピングに出かけたりします。


やっぱりスワンチェア

ある時思い立って、買えもしないけれど
北欧の良いブランドばかりを揃えた
家具屋を訪ねました。
高級家具屋さんには似つかわしくなく、
自転車で。
お店にはテーブルや書棚、
ソファなどが並びますが、
心なしかやはり椅子が多いように感じます。
座高も角度も素材も様々な椅子が並び、
座り比べて楽しみます。
なかでも存在感を放つのは
やはりスワンチェア。

なんと、ちょうど割引価格で購入できる
キャンペーン期間中でした。
対象は革ではなく、ファブリック限定とのこと。
なんとなく、良い椅子を持つなら
せっかくなら革かなと思っていましたが、
夏は蒸れて長くは座れないそう。
それならファブリックがいいか、と思いました。

キャンペーンは年末までと聞き、
その日は帰ることに。

キャンペーン期間終了が近くなり、
もう一度考えてみる。
きっかけがあったわけではないけれど
なんとなく、
今買わなくても、いつか買うんだろうな
って気がして、そのまま家具屋さんへ向かいました。


自分だけのスワンチェアを作る

「スワンチェア、ほしいので、生地の台帳見せてください」

前回来たことを覚えてくれていた店員さんが、
ああ、こないだの、
と、まずはイメージの生地感から台帳を絞ってくれます。
確か、密すぎず、ミックス感のあるものを、
とお願いしたんだっけ。

台帳を3冊ほど出してもらい、
その中にもいくつもいくつも色があり、
1枚ずつめくっては直感で色を絞っていく。
目の前にスワンチェアを置いて、
候補の生地をあてて選ぶ。
すべてがカーブで構成される椅子だから、
きれいに形が出そうな、甘めの生地を選ぶ。
本体の生地が決まったら、次は脚を選ぶ。
こちらは5種類ほどあり、すぐ決まる。
そうするとまた、本体の生地を変えたくなった。
さっきのでは重くて男性っぽすぎるかも。
もう少し柔らかい色に。

そうして悩んで悩んで決まった。
納品は5ヶ月先なので、
ゴールデンウイークには座れるかな、
と帰路につきました。

そうこうしているうちに、
ロシアとウクライナの戦争が始まりました。
戦争…
遠く離れた土地で起きていることを撮した映像を
毎日テレビで観ますが、
悲惨すぎて現実味がなくて。

少し経って、椅子の納期が遅れるとの連絡。
調べてみると、ポーランドの工場で生産しているらしい。
自分とこの戦争の間には、こんな繋がりがあったのです。


ついに・・・

1ヶ月半遅れ、スワンチェアが届きました。
座り心地はなんとも、良い。
身体のおさまりが良い。
座っていても幸福感に包まれるけれど、
少し離れてフォルムを眺めるのも良い。

朝ごはんを食べたり、コーヒーを飲んだり、
テレビを観たり、本を読んだり。

部屋の一角に置いて、
眺めたり、座ったり、くるくるしたりする。
これから先何年もずっと
大切に共にあれたらいいな。




次はYチェアがほしい。
その前に広いおうち。

この記事が参加している募集

買ってよかったもの

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?