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「なんかのアニメでありそうなやつ第2話」

 陣母は水切の指摘に表情が一瞬曇り、次の瞬間には口角を上げ、振り返った。
「隊長呼びはお嫌いですか?水切隊長」
内ポケットから拳銃を取り出し、水切に向かって発砲する。弾道は水切の頭目掛けて進行を進めていたが、見切られかわされてしまう。
「陣母はどこだ?」
「陣母は僕ですよ〜」
「つまらない冗談なら後にしろ、陣母はどこだ」
「まったく、お堅い人ですね、あなたも。その陣母って人も」
陣母の体の形がみるみる変わっていく。体は大きくなり、体色は黄緑色に。手には鎌のようなものが生えてきていた。その変貌の光景はまるで脱皮をしているかのような緩やかさと禍々しさを感じるものだった。
「逃げろ!青年!」
 そう言った瞬間、その化け物は水切に襲いかかった。来谷は腰が抜けて身動きが取れない。ただ今起きていることを見ることしか出来なかった。
「なんだよ、こんなことが起こってるのになんで誰も来ねぇんだよ!警察とか来てくれよ!」
「警察も来ない。この辺一帯からは誰も助けには来ない!」
「どうしてそう言い切るんだよ!」
「だから言っただろ、記憶を消していると。そして消した後に化け物を見たら知らないフリをしろと伝えている。」
「んな事できる訳ないだろ!」
「それより、早く逃げろと言ったはずだ!何をしている!」
「流暢にお喋りとは、随分と余裕だねぇ〜水切隊長、」
化け物は徐々に間合いを詰めていった。鎌から放たれる斬撃は周りの雑居ビルを裁断するほどに強力だった。
「悪いな、下級ランクと殺り合う時はいつも手を抜いてしまうんだ」
「小癪なぁ!」
水切目掛けて斬撃が飛んできた。水切はその場で受け止めようとする。
「ダメだ…危ない…」
僕の体は何故か水切隊長に向かって走っていた。僕は彼女を抱えて間一髪、斬撃を避けることが出来た。頭を少し切っちゃったけどそんなのどうでもいい。
「とにかく今は逃げましょう!体勢を立て直して…」
「何してるんだ!私の邪魔までして、お前から先に殺すぞ!」
「でも、ああしないと君が死んじゃうから…」
「…馬鹿か?お前。こんなゴミカマキリに私が負けるわけないだろ。」
そう言うと水切は斧を手に取った。自分の身長よりも長い大斧を軽々と持ち上げ、化け物に向かっていった。
「誰がゴミカマキリだ!?その一般人諸共ぶち殺してやる!」
 放たれた斬撃を大斧で切り裂き、化け物の頭上目掛けて水切は飛んだ。
「ゴミと遊んでるほど暇じゃないの」
化け物は大斧で真っ二つに切り裂かれた。その亡骸に人間の面影は何一つなかった。

次回「POST/processing」



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