なんかのアニメにありそうなやつ第3話

 目の前に転がっている異形の死体。これが現実世界で起こっていることなのかと目を疑った。
「どうして私をかばった?」
「いや、気づいたら体が動いてた」
「馬鹿か、お前が死ぬとこだったぞ」
「そんなこと、まぁ無事でよかった」
 水切は呆れた顔で見ていた。その後に明らかに蔑んでるような顔をした。
 ここで見たことはこれからすぐに忘れるのだろう。何もかも、全て。そう思ったその時、コートを着たおっさんがこちらへ近づいてきた。
「よぉ、少年。元気か。俺は元気じゃない。」
 なんか嫌な予感がした。
「三嶋さん、いらしていたんですね」
「ちょっと散歩だよ水切ちゃん。まだ記憶は消してないようだね。」
「はい。少しトラブルがありまして」
「うんうん、大体察しはついてる。陣母君の件はこっちで何とかするよ。」
そう言うと次は僕に目を向けて
「君、名前は?」
「俺は、来谷晃です」
「ひかるくんか。いいね、いい目してるよ。ウチくる?」
「え!?」
「ちょちょちょ、ちょっと待ってください!こいつはただの一般市民ですよ!能力も持ってないやつが入るなんて意味が分かりません!」
「いーや、ちょっと見学だよ。見るところ就職活動してる感じだし、いい経験なるんじゃない?」
「俺は別にいいですけど」
「お前は黙ってろ!」
「水切ちゃん。見学している間は俺がひかるくんのこと見てっから大丈夫だよ。それに…」
何故だか寒気がした。
「そうと決まれば行くよ、我が社に。」
「どこにあるんですか」
「それは内緒。」
 気づいたら目隠しをされていた。された記憶は無い。気配もしなかった。そして次に見た光景は今の日本にどこか似ていて、それでいて見覚えのない場所。東京の一角であることは間違いないが、街の匂いが明らかに違うものだった。きっとここはパラレルワールドなのかもしれない。そう疑いもなく思えてしまった。目の前には見たことの無い高層ビルが建っていた。
「ようこそ、C社へ。」
 ここで起きる出来事は、後に人生を変えることになると、この時の俺はまだ知らなかった。


次回 「C/company」

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?