エア・ジョーダンに憧れて~僕の愛靴(バッシュ)遍歴と展望~

初めて買ってもらったバッシュはコンバース。黒と紫のミドルカットのシューズ。なんて言うモデルだったかは覚えていない。

スラムダンクに影響されて中学からバスケットボールを始めた僕は、ナイキ「エア・ジョーダン」シリーズに憧れていた。でも、買えなかった。
ジョーダンシリーズは高額でお年玉を貯めても手が届かなかったし、バスケ部内でもヒエラルキーの最下層にいた僕がジョーダンを履けば、先輩に目を付けられるのは火を見るよりも明らかだった。

エアマックスが火付け役となったハイテクスニーカーブームが来る少し前。当時の最新作は「エア・ジョーダン8」。僕はとにかくナイキのバッシュが欲しかった。手元にあるお年玉で新しいバッシュを買うべく、月刊バスケットボールのスポーツショップの広告欄を睨んでいた。田舎のスポーツショップにはバッシュの品揃えが悪く、僕のお眼鏡にかなうバッシュなど置いてあろうはずもない。頼りになるのは通信販売をしているスポーツショップの広告。それを見て電話して、在庫を確認するのが僕らの周りでは一般的だった。

悩んだ末に、チョイスしたのは「エア・ボールトレーナー」というシューズ。ナイキであること、予算内に収まること、見た目がそれなりに良いこと。この3点を重視して選んだこのシューズ。後にストリートバスケ用(つまり屋外用)であること、トレーニング用シューズであることが判明し、自分の眼鏡を叩き割りたくなったのは言うまでもない。

次に買ったのは「エア・マックス2ストロングHi」ソールのビジブルエア(エアクッションが横から見えるヤツ)が気に入って買ったのだが、これはセンター等のパワー系ポジション用のシューズ。当時、着用していたNBAプレーヤーはデビッド・ロビンソン(身長216cm)。165cmのガードだった僕にはマッチしないモデルだった。

高校に入ってもバスケを続けた僕の次なるシューズは「エア・フライト」。親戚の兄ちゃんからもらったバッシュで、やっとガード向きのモデルを履いた。ただ、貰い物だたためにサイズが大きかった。僕のシューズサイズは25.5~26.0cm。もらったシューズは27.0cm。レイアップの時につま先を擦りながらジャンプしていた。

高校2年の時に一念発起して買ったのは「エア・フォームポジット1」。春休みに実家(自営業)でアルバイトして得たバイト代を全てつぎ込んで買ったモデルだ。当時の値段で¥26,000。なかなか思い切った買い物だった。
このシューズは当時NBAのオーランド・マジックで全盛期を迎えていたアンファニー・”ペニー”・ハーダウェイのシグネチャーモデルで、アッパー部分を流線型のポリウレタンで覆い、ナイキのシンボルであるスウッシュを排除した斬新なデザイン。それが、めちゃくちゃカッコよかった。カラーはブルー×ブラック。デザインに一目惚れして、このシューズを買うためにアルバイトに勤しんだ。
だが、発売当時でも希少モデルで球数が少なく、若干大きいサイズしか無かったため、またしてもつま先を引きずるプレースタイルとなった。そして、高校のユニフォームはシカゴ・ブルズモデル。当時の写真を見返すと、明らかにサイズの合っていないシューズとユニフォームとミスマッチなカラーでどう見ても似合ってはいなかった。

オンコートのバッシュとしては若干的外れなチョイスを繰り返したが、大学ではバスケはプレーしなかったため、オフコートでバッシュを履いていた。この頃には大好きだったマイケル・ジョーダンは2度目の引退をし、シカゴ・ブルズはチームを解体。主力選手を放出して再建へと舵を切った。僕のバスケ熱は急激に冷めていた。それでも「エア・ジョーダン11」が復刻されると、発売当初はラインナップに無かったエナメルアッパーのローカットモデルがカッコ良くて、即買い。カラーはホワイト×ノースカロライナブルー。ジーンズとの相性も良くて、ヘビーユーズしていた。
「エア・フォース1」ラシード・ウォーレスモデルもハイカットのシルエットとホワイト×ホワイトのカラーが気に入って、オフコートでヘビーユーズ。

蛇足だが、この頃付き合っていた彼女に『サイズの合わない靴を履くのはカッコ悪いよ。』と指摘されて以降、なるべくジャストサイズのシューズを買うようにしている。だが、僕はいわゆる「間抜けの小足」なのでジャストサイズより0.5cm程度水増ししないとジュニアサイズを履いているようで、それはそれでカッコ悪いので、ベストなサイズは26.0cmということにしている。

社会人になってからは、僕のバスケ熱がメラメラと再燃し、クラブチームを自分で設立し、再びバスケをプレーするようになった。社会人になり、そこそこ稼げていたので、昔、憧れていたあのバッシュを買おうと思い立ち、「エア・ジョーダン5」RETROを購入。カラーはホワイト×レッド。今度はジャストサイズを手に入れることが出来たので、オンコートで大活躍。(バスケの腕前は置いといて…。)「ジョーダン5」が壊れてオンコートでは履けなくなった後は「エア・ジョーダン7」RETROを購入。カラーはホワイト×フレンチブルー。立て続けにあの頃憧れていたジョーダンシリーズをゲットしたのだった。

ナイキのシューズには壊れやすいイメージがある。
これまで履いてきたナイキのシューズは全て壊れて履けなくなった。それぞれのシューズに思い入れはあったが、泣く泣く破棄してきた。ナイキのシューズは全体的に幅が細いものが多く、横幅が広い僕の足にはあまり相性が良くない。それ故か、つま先から割れることが多く、オフコートでも短期間で履き潰してしまっていた。

今はもうビール腹抱えたおじさんになってしまったので、さすがにプレーはしていないし、バッシュも買うことが無くなったが、ここ最近、突然、ジョーダンシリーズが欲しくなって、ネットで色々検索してみた。狙い目は「エア・ジョーダン1」のシカゴ(ホワイト×レッド)。しかし、た、高い…。最低でも¥60,000くらいする。

スニーカーブームでナイキも他ブランドとコラボした商品が出ていて、プレ値で売られたりしているが、そのせいもあってか相場が10年前より明らかに上がっている。一部の金持ちや芸能人が自分のステータスを誇示するためだけに買うような下品なハイブランドとのコラボスニーカーには辟易する。僕はあくまであのとき欲しくても買えなかったスニーカーを履いて、足元を眺めてニヤニヤしたいだけなので、何十万もする品のないコラボ商品には全く興味もないが、それによって市場価格を吊り上げられている現状には憤懣やるかたない。

かつては、「いつかジョーダンシリーズをコレクションしたい」と思ったこともあったが、2022年までにシリーズ37作発売されているので、これから全てをコンプリートするのは至難の業。それにディスプレイするためだけのシューズには価値を見出せないし、そんなスペースを我が家に設けようものなら家族から白い目で見られてしまう。やっぱりシューズは”履いてなんぼ”である。

僕が「履きたい!」「欲しい!」と思えるジョーダンをコツコツと集めることに今は情熱を注ぐことにしたい。手始めに「ジョーダン1」をと思っていたのだが、値段的に手が出ない。「ジョーダン1」は様々なカラーとローカットやミドルカットモデルも発売されているのだが、やっぱりオリジナルのハイカットがいい。カラーはホワイト×レッド。他のカットやカラーは比較的手ごろな値段で売られていたりもするのだが、どうせ高い金払うなら納得のいく一品にしたい。とりあえずは引き続きチェックしてことにしよう。

他のシリーズで僕が好きなのは、4、5、6、7、11。5と7と11は履き潰して捨ててしまったことを今でも後悔している。特に11のノースカロライナブルーは「あの頃、もうちょっと大事に履いとけばよかった」と思うほどデザインが僕の好みにドンピシャだった。

これらのシリーズをこつこつと買い集めて行きたいのだが、家族の手前、大ぴらには買えない。受け取り場所はコンビニに指定して、こっそりシェイクダウンさせる。”知らないうちになんか増えてる”が理想である。そして買取価格の公表は厳に慎むべきで、聞かれても実際の値段よりも低く言うカモフラージュ(?)も忘れてはいけない。

これらのことに注意して第1弾として先日、購入したのは「ナイキ ダンクHIGH レトロ」。「ジョーダン1」を買うつもりで探していたら、つい目移りしてしまった…。カラーもレーザーブルー×ホワイトで僕の好みにドンピシャ。値段もセール価格でお手頃だった。ヤバい…。この調子で目移りしていったら、僕の欲しいジョーダンシリーズが揃う頃にはコレクションは一体何足になっているのだろう…。増えれば増えるほど、家族から糾弾されることは間違いない。慎重にやらねば…。そして、ダンクが手元に届いてから1週間以上経っているが、まだ履けずにいる。先週からの大雪で道はぐじゃぐじゃ。シェイクダウンを春まで待つか…。悩みどころである。


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