まだ終わらないゆっくり茶番劇

 以前も触れましたが、柚葉氏の所属団体Coyu.Liveの行動は今回の騒動でも特に問題が大きいので、その後の状況も含め詳述します。

"パワハラ"集団Coyu.Live

Coyu.Liveは”匿名クラブ”の運営するライバーの互助団体となっています。
ライバーはライブ配信を業とする人のことだそうで、オフィシャルサイトを見るとかなりのライバーが所属しています。
会費・マージン等を所属員から徴収せず、所属員へのサービス・マネジメントなども基本行わないそうで、まさに「互助団体」だと思います。
今回、元所属ライバーの方から守秘義務契約にかからない範囲でお話を伺うことが出来たのでCoyu.Liveの概要を掴むことが出来ました。
 上部団体の匿名クラブはTwitter集団などを傘下に置く団体で、東京都板橋区に本店登記のある法人です。法人種別は「その他(人格のない社団等及び日本の法律の規定により成立し、設立の登記を行わない法人)」となっており会社では無いようです。
オーストラリア・クイーンズランド州に本部を置く」、あの悪名高きベリーベスト法律事務所が顧問弁護士、謎の「環境省・国税庁登録団体」となかなかの香ばしさが漂いますが今は関係ないですね。

 ・匿名クラブはどんな団体ですか?

匿名クラブはTwitterやLINEなどのインターネットサービスを駆使して、様々な活動を行う親睦・交流団体です。 多ブランド展開を行なっており、Coyu.Liveもその一つです。
所属会員からは多くのインフルエンサーが巣立っており、ミライアカリ、かめりあ、うどんちゃんなど多数のタレントやアーティストを輩出しています。
匿名ネットユーザーを代表する団体として朝日新聞、NHKなどの取材実績があるほか、日本国環境省・国税庁に登録されています。

Coyu.Liveオフィシャルサイトより

 今回の騒動で、バッシング後はほとんど発信がなくなった柚葉氏に代わり情報発信を行ったのが、柚葉氏が所属するCoyu.Liveです。
柚葉氏は6月1日にTwitterアカウントを削除されたのでリンク切れが多くなっていてすみません。
 前回noteの時系列表を見るとCoyuが柚葉氏(所属員)のスポークスマンとしての役割のみならず、事態に深く関わっていることが分かります。
事務所と所属員の契約内容は詳しく分かりませんが、「厳しく指導」「指導を徹底」「謝罪を要請」「懲罰として警告・無期限会員資格停止」と一方的な強い言葉が並び、支配的な関係であったことが分かります。
 この対応にネットでは賞賛の嵐ですが、全く理解出来ません。
この騒動をむしろ悪化させたのがCoyuです。
柚葉氏への対応は控えめに言ってあからさまなパワハラであり、強要罪など刑法に抵触する可能性もあります。
 団体として所属員に不審な行為があったら、外部への謝罪と事実関係の把握をした方が良いと思うのですがCoyuは最後に一言「申し訳御座いませんんでした」と述べたのみでした。
柚葉氏の行為は道義的な問題があることを指摘される方もおられますが、法的には何の問題もありません。
Coyuの行為の問題点は
・ツイート内容の改善・謝罪を要請
・団体とは関係のない個人資産(商標)の放棄を指示
・懲罰として無期限会員資格停止
・指示に従わなかった場合、複数幹部による「厳しい指導」
 が主なところだと思っています。
Coyuのツイートからのみしか状況は分かりませんが、十分に強要罪が成立すると思われます。
柚葉氏より民事訴訟、被害届が出た場合、Coyuは刑事・民事上の責任を負う可能性が高いです。
もちろんツイート内容が虚偽であればそれはそれで問題がありますよね。

「雇用関係がないからパワハラに当たらない」とするツイートもありますが、パワハラ防止法(改正労働施策総合推進法)に当たらなくても広義のパワハラは広く認知されています。
2020年に広く報じられた稲葉篤紀氏の妻による日ハム選手への"パワハラ”など直接の関係が無いですよね。稲葉氏自体が日ハム監督候補とはいえ被害を受けた選手とは私的な関係しか無く、ましてや夫人と選手には何の関係もありません。なお、こういう時に「」””でくくられた語句は「正確な法律などに基づいた用法ではないが一般にそう認識されている」場合等に使います。非常に強い支配関係が見える今回のケースは”パワハラ”・強要に該当するでしょう。
 例え話が好きなので上記の例を会社員と上司に例えると
「お前の(個人的な)ツイートはダメだ。直せ。」
「お前の(個人的な)行為は法的には問題が無いがダメだ。世間に謝れ」
「お前の持っている(個人的な)資産が気に入らん。捨てろ」
「お前のプライベートが許せん。無期限で出社するな。」
「従わないなら部長と課長で囲んで厳しく指導するぞ。」
 ということになります。
むろんプライベートでも、団体の評判にかかわる場合に指導することはもちろんありますが度を超えています。そして度を超えたものを”パワハラ”・犯罪と呼ぶのです。
 さらに例えて言えば個人所有の車が痛車だったり排気音がうるさかったりした場合、「その車を通勤に使うな(または改善しろ)」はあっても、「その車を捨てろ」はおかしいですよね。
これも余談の余談ですが、「痛車での通勤」を会社が禁じることは法的にも問題がある場合があります。誰か最高裁まで戦って判例作って欲しいですね。
「プライベート」に所属団体が干渉することは、これまで当たり前だと思っていたことが「過干渉」になるケースが増えています。

 もちろんバッシングを受けている状況で「柚葉氏は悪くない」というスタンスを取れば炎上するのは分かっているので、そこまでしろとは言いませんが、身内を大切にせず、むしろ世論に迎合し必要以上に叩いて世間におもねるのは団体として最低の行為です。

柚葉氏のやり方は卑怯だ

 柚葉氏の行為が狡猾・隠蔽と非難するツイートを数多く見かけます。
法的に全く問題が無いことはようやく理解されてきたようですが、お気持ち非難はまだまだ流れてきます。
 実際には、非難を受けるほどの道徳的・倫理的な間違いはありません。
商標は出願後「公開商標速報」によって公開・広報されてから2ヶ月間と、登録されてから2ヶ月間「異議申し立て」をすることが出来ます。
異議申し立て期間終了後に行動開始したのを隠蔽と批難する人が多いですが、それは当然の商行為で、自ら「関係各所」に触れて回る義務はないし、通常行いません。
せめて「持ち主」に知らせるべきだと言う声もありますが持ち主って誰ですか?
東方(ZUN氏)は「ゆっくり茶番劇」商標の持ち主では無い可能性があります(拙noteリンク参照のこと)
異議申し立ては無効審判と違って誰でも申し立てることが出来るので「わざわざ」ゆっくり界隈に公表したら、無知なネット民によって何が起こるか今回の騒ぎを見るまでもなく明らかですよね。
 冒認出願(無関係な第三者による出願)で無効を持ち出してくる人もいますが、そもそも商標には冒認という概念がありません。
中国台湾勝手に自社の商標が出願される状況は冒認商標問題として特許庁も対応しています。
 それはおかしい、権利者(この場合誰?)が取得出来るように改正すべきだというのは「ぼくがかんがえたさいこうの商標法」なので後述します。

オレ達は国を動かした

そのような事実はないです。
 松野官房長官や特許庁が、柚葉氏の悪意を認定する発言をしたというデマが流布していますが、官房長官はあくまでニコニコ動画の記者のやや冗長な質問に簡素に一般論で答えただけです。(首相官邸サイト6:30頃より
国や官房長官の側からゆっくり茶番劇を持ち出してはいません。騒動の関係者の自作自演質問に答えただけです。
 特許庁が柚葉氏の悪意を認めたというのは下記のスクショが元だと思いますが、どう考えてもデマ・怪文書です。スクショ元すら不明です。
※スクショ元教えていただきました。ニコニコ大百科だそうです
デマの検証は拙noteのこちらに詳述しました。
オレ達オタクが国を動かした!という高揚感の気持ちよさは理解しますが一切そのような事実はありません。

匿名掲示板の怪文書

 騒動の初期から商標のステータスが「異議申立のための公告」に「変わった」ことを「特許庁が動いた」証拠だとする人も多いですが、そもそも商標は登録されて2ヶ月は「異議申立のための公告」となります。
つまり騒動が起こった時点ではもともと「異議申立のための公告」だった可能性が高いです。
ネタ元と思われるTwitterアカウントにDMで確認したらステータスの変更(継続であった時期がある)を確認していないということでツイート削除されました。
「異議申立のための公告」は機械的に3ヶ月で「継続」に切り替わるとのことで、6月5日未明に切り替わりました。


 また参議院議員山田太郎先生のYouTube動画によると特許庁は強気の姿勢を崩さなかったというので特例的な動きは無さそうです。


僕が考えたさいこうのゆっくり解決法

 特許庁は「ゆっくり茶番劇」を通した審査に問題があるとは考えてないと思いますし、弁理士・弁護士の多くの方はそういう意見でした。
 「ゆっくり茶番劇の商標が通るなんておかしい、改めるべきだ」「商標ゴロが許されてるような制度自体が時代にそぐわない」も「ぼくが考えたさいこうの商標法」ですよ。理由については後述します。
 公的な商標(パブリックドメイン)を設定して守るというアイディアもあります。それも「ぼくが考えry」
実は既にその理念の制度はあります。「防護標章制度」といい、著名な商標(登録されていることが条件です)を広く守ることが出来ます。
ただ「お、ねだん以上。ニトリ」「サイボーズ」でも拒絶されているようなので「ゆっくり」はおろか「ニコニコ動画」でも無理ですね。
そして、これの基準を緩めるとそもそもの商標制度が意味を失います。

オタクが放った巨大なブーメラン

 今回、オタク界隈は罪も無い柚葉氏を法を犯してまで追い詰め、理不尽に権利を撤回させ、それは公的に記録されてしまいました。
ゆっくり茶番劇商標の抹消申請において「関係者などに対する誹謗中傷および名誉棄損・虚偽・捏造された情報の流布により本来の目的を全うすることが困難となったため」という事由が受理・登録されてしまったのです。
 ネット上では大きな問題となり、テレビなど一般メディアにも取り上げられ、商標審査を通過させた特許庁にはDDoS攻撃や審査官個人への攻撃など不法行為も含む業務妨害が行われました。
このことで法律や目に見える部分が変わることはまず無いですが、特許庁の審査基準(内規)が変わる可能性はあります。
ネット上の商標の実態に関しては大きくアップデートされ、それによって商標の登録が非常に難しくなることが当然想定されます。
ある程度ネットで使われている用語「ゆっくり茶番劇」を通過させたことに誹謗中傷を浴びせたことにより、とくにオタクにかかわるネットビジネス・コンテンツの商標の審査は厳しくなるでしょう。
 ドワンゴの出願した「ゆっくり実況・劇場・解説」もそれを見越してメジャーよりのジャンルから出願して拒絶の場合の拒絶事由を見ようとしているように思います。
また当然ではありますが「ゆっくり茶番劇」商標の無効審判を請求することも発表しています。
 厳しくなることは良いことばかりではありません。
ネットビジネスの商標を登録しようとしても拒絶されることが増えます。
思い入れのある商品名、考えに考えたチャンネル名が登録出来なくなります。
さらに出願者の当事者性や周知商標の存在を厳しく判定する(今の商標がおかしいという人はおおむねこのような主張です)ことによって商標ゴロを大きく利することになります。
これまでは先に商標を出願し、コストをかけて登録しておかなければ本来の持ち主に権利を主張出来ませんでした。
それが先願主義です。
 それが「本来の持ち主」という商標法に本来無い概念を持ち込むと、ありとあらゆる、またはこれから伸びてきそうな名称についてコンテンツを数だけ多く作り検索数を増やします。
動画も垢BANされない範囲でバンバン上げて必要に応じてタイトル・タグを変更して動画数も確保します。
ネット上の検索数やコンテンツ数はいくらでも操作できます。
特許庁が検索数を重視しないのはこれも大きな理由です。
 そして狙った商標が出願するのを待って(もしくは出願された商標の検索数などをねつ造して)「本来の所有者」として異議申し立てをかける。
コストがかからないのでバンバン異議申し立てをして少額の和解金を受け取るだけでもビジネスになってしまいます。
「僕が考えたさいこうの解決法」は往々にしてこうなります。
法律は変更が難しく(民法は120年前に大日本帝国憲法のもとで定められたほぼそのままです)、状況変化に追いつかない部分はありますが、「こう変えればいい」は「あちらを立てればこちらが立たず」になることがほとんどです。

noteのコメントの仕方が分からないのでコメント下さる方はTwitterアカウント大和尚魚@ゆっくり辻斬りまでお願いします


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文章長いですけど太字の部分拾えばだいたい分かるようにしてあります。


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