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映画機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ーアムロの影 シャア・アズナブルとは何者なのか?ー

概要

機動戦士ガンダムシリーズの続編として映画 機動戦士ガンダム 逆襲のシャアは監督富野由悠季(以後富野監督)で1988年に公開された。
主人公アムロ・レイ(以後アムロ)の敵役シャア・アズナブル(以後シャア)は富野セリフと言われるセリフを喋り例えば「認めたくない者だな、若さゆえの過ちと言うものを」など沢山の人気台詞を残している。

機動戦士ガンダムでのシャアの役割とは。

逆襲のシャア(以後逆シャア)で自分が感じたことは初代機動戦士ガンダムとは主人公のアムロ・レイ(現実的な受け身の少年)と敵役シャア・アズナブル(理想主義者の行動的な青年)の戦いである。
富野監督の現実=アムロと理想=シャアの対立軸にあり、作品製作におけるスポンサーの求めるものと自分が作家として作りたいものの中でガンダムや逆シャアは製作されたロボットアニメである。
アムロの影、シャアの存在がある。
光と影、太陽と月、スターウォーズで例えるなら、ルークとダースベイダーと言うように物語の構造状、主人公には成功を阻む敵が存在し、主張がぶつかり合い最後に敵は倒され主人公が勝利を得て物語は終わりを迎える。
ガンダムの敵、アムロの影としてのシャア・アズナブルが存在する。
シャアはコロニーの独立を目論み、小惑星アクシズを地球へ落とし、地球の征服や粛清を目指しテロ行為を侵す。そのテロを知った地球連邦軍のアムロは「人類に絶望はしていない。」とシャアのテロ行為を止めに入り話が終わる。
この話の肝は何か⁈それはコロニー側(アニメ制作会社)と地球側(スポンサーや視聴者など)の対立やシャア=本当の自我の富野監督に対し、アムロ=善意の心の富野監督の相剋を感じた。アニメでテロを起こしても、やはり負ける事は必然だがスポンサーの意見だけの作品など作っていられるかと富野監督は叫ぶ。


逆襲のシャア

〈原型〉アーキタイプでみる逆襲のシャア。

〈原型〉アーキタイプとは、繰り返し現れる人間の行動パターンのことであり、映画や物語では、標準的なタイプのキャラクターがそのパターンを表現する。
①主人公(ヒーロー)
物語の中心になる人物。通常の〈主人公〉は、学ぶべきことが沢山あり、長い旅をするキャラクターとして描かれる。ガンダムではアムロ・レイに当たる。
古典的な〈主人公〉の理想形は、自分より大きな何かのために、自分の望みを犠牲にできる人物である。
②影(シャドウ)
悪者や敵。ときには内面の敵であったりもする。闇の力であり、〈主人公〉の可能性を抑圧し、〈主人公〉の悪の潜在能力となる。別の種類の制圧、たとえば、抑え込まれた悲しみ、怒り、いらだち、創造力などはけ口がなければ危険なものになりうるものとして描かれることもある。
ガンダムでは、まさにシャア・アズアブルである。
はっきりとした悪者や敵が出てこない物語もあるが、〈主人公〉が乗りこえなければならない何かの不足や欠如、障害、自然の力なども、〈主人公〉にとっての〈影〉になる。
③賢者
〈主人公〉を導く人、もしくは原理。「スター・ウォーズ」のヨーダ、アーサー王伝説のマーリンなど、偉大な指導者もしくは教師となる人物。本能や内面的な行動規範などがその役目を負うこともある。
・ブライト・ノア
④使者
〈冒険への誘い〉を伝えるもの。・初代ガンダム。
〈主人公〉に行動をうながす人、もしくは出来事。〈賢者〉・ブライト・ノアや〈変身する者〉、・クェス・パラヤときには〈影〉・シャア・アズアブルが一時的にこの役目を担うこともある。この役割のためだけに、新しいキャラクターが現れる場合もある。
⑤戸口の番人
〈主人公〉の旅路の重要なターニングポイントとなる地点でじゃまをする力。
嫉妬深い敵、仕事として門番を務める人物、もしくは〈主人公〉自身の恐れや疑いなどがこれに当たる。神話にはこうした障害がたくさん登場する。〈主人公〉は二つの境界にいる〈番人〉を賢く出し抜いたり、その目をごまかしたり、だましたり、言いくるめたり、トリックや変装で交わしたり、足元をすくったり飛びこえたり、勧誘したり魅了したりする。
・ギュネイ・ガスなど
⑥変身する者(シェイプシフター)
ホラーやファンタジーの吸血鬼や狼男のような、変身する生き物。〈変身する者〉は、不可解に変身する人間のパーソナリティや気分を、象徴的に表現している場合もある。〈主人公〉が、愛、友情、チームワークなどを通じて他人と関わるとき、相手の人物がしばしば驚くほど簡単に変化したり、二面性を持っていたりすることを伝えてくる。物語は“見た目に惑わされてはならない”と言う教訓をつねに伝えてくる。「スター・ウォーズ」のルーク・スカイウォーカーは、最初のうち、オビ=ワン・ケノービのことを偏屈でつまらない世捨て人だと思っていたが、しだいに大きな力と影響力を持つジェダイ・マスターだと言うことに気づく。ルークにとってのレイヤ姫は移り気で傲慢に見えるが、そうかと思うと優しくなったり軽薄になったりする。ハン・ソロも最初のうちは、うぬぼれてた自己中心的な宇宙の無法者として登場し、その忠誠心も頼りないものに見えるが、最終的には自己犠牲を厭わない英雄へ変貌をとげる。ルークが出会うどのキャラクターも、第一印象から真の姿へ変わっていく。ダース・ベイダーでさえ、そのマスクの奥にある別の顔、すなわち、ルークの父親という秘密の事実と、かつてのルークのような理想主義の若者だったという真実の姿を明らかにする。
〈主人公〉自身が〈変身する者〉として、マントやマスクを身につけることもある。変装しなければ〈戸口の番人〉がいる場所を突破できないこともあるし、“誰かの皮をかぶる”、つまり相手の立場のに身を置くために、ほかの人間や生き物の形を借りることもある。「トッツィー」では男性俳優が女性の役を演じることになり、それによって女性を深く理解するようになっていく。
ロマンスのおいては、愛する相手が変わりやすく不安定な場合もあり、本音とは違うことを言ったりする。〈主人公〉の“相手役ラブ・インタレスト(昔のハリウッド用語で、主人公がロマンティックな関わりを持つ相手のこと)”も〈変身する者〉に位置づけることができる。〈主人公〉の愛する相手や手に入れたいあ相手が〈賢者〉や〈仲間〉となることもあり、ときには〈影〉にもなるが、最初のうちは〈変身する者〉の姿を借りる。
〈変身する者〉の概念は、“二人芝居”やコンビもののコメディ、すなわち、中心となる感情の絆がロマンティックなものや性的なものでなく、友情の絆や相棒との絆であるタイプの物語でも役に立つ。二人の対照的な人物が、共通の目的を達成するために手を組むことになり、両者のスタイルや哲学の衝突から笑いやドラマが生まれる。観客は二人のうちのどちかかの視点で話を追うことが多く、たいていは話の語り役を務める“ノーマル”な方が選ばれる。この“観客側の人物”の視点から見れば、もうひとりの人物は〈変身する者〉に見え、その忠実心が不安視されるが、たえず自分の新たな面を明かしては相手の人物を驚かせる。
長々と説明を書いたが、逆シャアだとクェス・パラヤ(以後クェス)やハサウェイ・ノア(以後ハサウェイ)のキャラクターが〈変身する者〉にあたる。
クェスは連邦軍の参謀次官の娘でありながら、ネオ・ジオンのシャアのもとで行動するキャラクターである。
また逆シャアではクェスは父殺しを代行し、ハサウェイはアムロの恋人であるチェーン・アギを殺し、母殺しをしたキャラクターである。
⑦トリックスター
道化役のいたずら仕掛け人。人が持ついたずら好きな潜在意識、状況を変えたいという衝動を象徴する存在。〈トリックスター〉は社会の正常な状態をひっくり返し、その欠点を暴き出す。脇役的なキャラクターでもあることも多いが、“トリックスター・ヒーロー”として話をひっぱることもある。
逆シャアではシャアが道化と名乗るシーンが一応ある。
ハロなどのキャラクター。
⑧仲間
〈主人公〉の変化を助けるキャラクター。腹心、相棒、ガールフレンドなど、人生が変遷していく過程で〈主人公〉に助言を与える。仲間が捨て石にされることもあり、負傷したり、連れ去られたり、殺されたりして、そのことが〈主人公〉のモチベーションになったり、観客の同情を生んだりする。
例アムロのガールフレンド、チェーン・アギなど。
八つのアーキタイプに逆シャアのキャラクターを分けてみました。
是非他の作品でも分類してみると面白いかも知れません。
まだ逆襲のシャアを見ていない方は、興味を湧いていただけると助かります。

掴み合うアムロとシャア。

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