ごんちゃ
お気に入りにのお店がある。
タピオカのお店だ。
高校1年生から学校終わりに通うようになり、高校3年生では毎日のように訪れていた。
主にテスト勉強に、バイト前気分を上げる為に利用していた。
高校3年間通いつめ、今日、卒業してから久しぶりに訪れた。
勉強する時はカウンター席、それ以外はテーブル席。
お気に入りは、途中から出来た少し高めの椅子の置いてある1人用の席なのだけれど、人気なのか今日も女性が座っていた。
なくなくテーブル席に座る。
隣では、スーツを着たおじさんたちがストローで貢茶のコーヒーを飲みながらなにやら楽しそうに雑談している。
ふと、前に座っている女子高生二人組が目に止まった。
懐かしさと同時に、少しの寂しさが胸をぎゅっとさせる。
高校も、悪くなかったなぁ、と。
嫌なことも楽しいことも山ほど経験した。
本当にそう、数え切れないくらい。
まだまだ作りたかったなあ、高校生としての思い出。
制服を着るだけで、強くなったような気がしていた。私にとっての鎧であった。
そんな鎧を脱ぐことは、とても怖かった。
大学生は学生であることには変わりないが、鎧がない。
鎧を身に纏った女子高生が羨ましかった。
目を閉じ、雑音に耳を傾ける。
笑い声が聞こえた。たくさん聞こえた。
いいなぁ、と思った。
安心できる場所が笑顔で溢れていて。
すくっと立ち上がる。ゴミを捨てて、あたりを少し散策してみる。
少しだけ顔が、綻んでしまっていたかもしれない。
過去の鎧を纏った自分も悪くないけれど。
<今>を生きる自分も悪くないかもな。
りん
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