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運命の恋は、絶対どこかにあるはずなんだ

20代OL日記①


夢女である。

幼い頃から少女漫画を読むのが好きで、大抵そこに出てくるイケメンと恋に落ちる空想をするのが好きだった。のだめを差し置いて千秋先輩と恋をしていたし、速水社長からは紫の薔薇を送られもした。時には少年漫画のヒーローを相手とする場合もあった。
まあ、といっても。少女漫画のように相手がいる男の場合は物語の展開上致し方無いので、自分を強制的に登場させるのではなく、ヒロインと重ねて妄想をした。

昨今、夢女は腐女子と並んで(比較されて?)、ネット上の香ばしい存在として話題に挙がることが多い気がする。でも今さら、骨にまで染みついたこの性分を変えるほうが難しい。イケメン好きで何が悪いんじゃ。
だが、そうして開き直っているうちに、男の理想だけはモンブラン級に高い(あえてエベレストとしない)独身女が完成した。
優しくエスコートしてくれる王子様だけを見て生きてきたから、現実の男の人のちょっとした仕草に引くことが多い、というか、男という得体の知れない生き物に慣れなくてすぐに距離を置いてしまう自分がいる。(大変失礼であることは重々承知している)
そのせいで男の人とまともに交際したことなんてなくて、=年齢とネタにされる存在だ。両親の名誉のために断っておくと、面はそこまで悪くはない。と、思う。多分。

周りの友人は次々に結婚し始めた。子どもを産んだ者もいる。
学生時代にカラオケで先輩と部屋を抜け出したサークルのあの子からお母さんになったという連絡をもらった時は、感慨深いものがこみ上げてきた。
そうした環境になってくると、なぜか皆が口をそろえて言う。

「そんな男の人はフィクションの中だけだよ。現実の恋は妥協なんだから」

私と一緒に緑間真太郎の夢絵を描いていた友達も、悟ったような顔をして私に言うのだ。その子の手には、朝の占いのラッキーアイテムでなくて、旦那が好きだという晩御飯のおかずを抱えている。

みんなの気持ちもわかる。世間の常識も分かっている。
でも、心のどこかで、納得できない自分がいるんだ。

私は王子様が好きだ。優しくて、強くて、たくましい王子様だ。
その人と目と目が合った瞬間に運命を感じて惹かれ合う。そうした恋だって、きっとこの世にある。

今は多様性の時代である。結婚しなければ女が生きていけなかった昔とは違う。(先人たち、ありがとう)
金なら自分で稼げばいい。
だったら別に、妥協して好きでもない男とくっつく必要はない。そういう生き方もあるとは思うし否定はしないけれど、私は別のベクトルで生きて生きたい。そう思って、日々を送っている。

と、なんか綺麗で大きなことを言ったが、本音を言うと私が街で見かけたイケメンの観察日記を残したいだけである。かんっぜんに自己満足である。

追記
画像は優しい人があげてくれたものを使用させていただきました。なんか運気がよくなる気がする。




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