【詩】虞美人草
笑顔がすてきだねってよくいわれる
空気が華やかになるねって喜んでもらえる
それはうれしい
本当にしあわせ
だからもっと笑う
だからもっと華を咲かせる
笑って笑って笑って
咲かせて咲かせて咲かせて
枯れないように
色褪せないように
輝いて輝いて輝いて
大きく大きく大きく
大きく咲いた華
私のきれいな花
でも
いつまで笑えばいいんだろう
どれだけ愛想を振りまけばいいんだろう
ひまわりよりもぐるぐる顔を巡らせて
バラよりもずっとずっと長く咲き続けて
桜のような儚さもなく
月見草のような健気さもなく
ただ咲うためだけに咲いた花
虞れで育ったいつわりの華
それならいっそ枯れてしまえばいい
色褪せて失って消えてしまえばいい
そうして誰もいない湿った土の中で
わたしのためだけに咲くんだ
そう決めたら
どこかで『め』が伸びて
すっと軸が通るように
コスモスよりも美しく
すみれよりも愛らしい
わたしだけの花が咲いたような
そんな気がした
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