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【POEM】

【 奇形の薔薇 】

 闇の音なる列がゆく
 姫が手招きし選んだ
 紅く咲き誇る華と
 静けさに凍る迷いが
 崩れていく様

 すでに砂上 沈黙は歪な望みを
 引き裂いた白い呼吸
 淫らな憧れ

 五色に解かれた匣の中
 見慣れた色はなく唯一黒
 水面に浸した白紙の影は
 顔を知る事のない
 美意識の証

 砂の城 烙印は未熟な望みを
 翻す白い手は
 抱くものなく空へ

 網膜 去る面影と拭えない美徳と腐敗
 今は誰も思わない色褪せた華を抱いていた 

 背後に響く気配がし
 泥の沓音が聴こえた
 微かに隔てられ揺れる陽炎
 奇形の薔薇に宿る雫が嗤う

 暗く閉ざされた廃墟には
 時を葬る人がいた
 外界と隔てられ揺らぐ心象
 奇形の百合は闇に支配されている

 モノクロームの面影と自らの美醜は快楽
 いつか貴女 思い出す艶やかな夢を抱いていた

 儚い麗しの炎
 遠く消えていく声
 儚い貴女の骨
 遠く消えていく光は

 Drops dwelling in a deformed rose
    Light disappearing in the distance

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