クロス(つなぎ売り) 初心者向けメモ

はじめに

優待目的で現物株買いと信用売りを同時に行う事で、株価の変動影響をなくして権利を取得する方法(詳細は省略)
 原理を説明しているサイトは多いが、いつ、どんな方法で購入するかはわかりにくいサイトが多いのでSBIでの具体例をメモしておく
※売買手数料は加味していない(SBIのコースによっては売買手数料が0円なので)また日計り売買も省略しています
※ こちらは2024年2月の情報です
※ 通算で譲渡損失があれば一般信用クロスの配当は相殺されますが、譲渡利益がある場合は15.315%のコストが発生する計算がミスし、かつわかりにくい表現だったので修正しました。すみません。

【現物買い】

現物買いのタイミング:信用売りの成立が大事なので【信用売り】注文が通ったらすぐに【現物買い】注文をする
現物株買いはNISAで行ってはダメ(現渡しできなくなる)

【信用売りの発注と返済】

狙う株の【権利確定日】【権利付き最終日】【権利落ち日】を証券会社などの優待カレンダーで調べる。 仮に2月として説明します
※ 信用売り口座を開設する必要があります

【権利確定日】とは:例2月28日

優待権利を得られる日(多くは月末)
しかし株の受け渡しは2営業日が掛かるので、売りも買いも2営業日前倒しに行う必要がある。(つまり2日の時差)そのため実際には「権利付き最終日」と「権利落ち日」を意識して売買しなければいけない。

【一般15日】つなぎ売り開始日とは:例2月6日

【一般15日】(後述)で信用売りができる日は権利日の15日(営業日)前になる
この日がつなぎ売りの開始日と言える。証券会社のカレンダーやいろいろなサイトで紹介されている

【権利付最終日】とは:例2月26日

(=権利確定日の2営業日前)この日に保有していれば、権利日に受け渡しが行われる
 権利付最終日に株をもっていることが権利取得の条件なので、この日の朝9時までに現物買いと信用売りをしておく必要がある。
 在庫が少ない株なら、早めに発注する。【一般15日】売りなら15日前に発注が可能(早めだと保有期間が長くなるので貸株料は多くなる)
在庫が豊富な場合や【制度売り】の場合、貸株料が少なくなるようにギリギリで狙うことがになる。いつ発注するか決めたらその日の朝9時に寄成で約定するように事前に注文しておく
 なお市場の開催時間中には翌日の寄成注文はできない、SBIは前日19時から発注可能

【権利落ち日】とは:例2月27日

(=権利付最終日の翌営業日=現渡し実行日)この日に売っても、受け渡しが行われるのは権利確定日の翌営業日
 つまり権利落ち日になったら、売ってしまってもOK、優待権利が取得できている
 SBIなら現渡しは前日の権利付き最終日の15時半すぎ(または18時過ぎ)にしておくと翌日に現渡しが行われる。権利落ち日の場の開く前に、寄成で「現渡し」で精算して返済解消する

【実際に信用売りをする方法】

信用売りを行おうとすると3種類の売り方があることに気がつく、銘柄によってできる売り方とできない売りかたがある、中には信用売りができないものもある
 信用売りできる銘柄でも信用売りのための株の数量(在庫という)が限られて早い者勝ちだったりする
 売り方は3種類だが、実際に使える信用売りは、ほぼ【一般15日】か【制度6ヶ月】となる

 【制度6ヶ月】売りは逆日歩というコストが発生し、最悪は優待品より高いコストが掛かって赤字になる可能性がある。(一方で貸株料は安く、配当の12%はもらえるので逆日歩が発生しなければおいしい。ややベテラン向きである)
 逆日歩の金額は予想しにくい(需給で決まる)のでリスクを取らないなら【一般15日】で売るしかない
 どちらでも貸株料は毎日掛かるので狙う株の売りの在庫がありそうならギリギリまで待って取引した方がお得

信用売りの種類(SBI)

【一般15日】

※ 15営業日前から信用売り可能、多くのサイトで推奨されている優待クロスの売り方。「一般信用短期15日売り」のことらしい。
コスト:貸株料3.90% 直前の建て玉だと2日間分ですむ
※ 株価3500円を100株取引すると、3500円X100株X年利3.9%=保有1日で約37.4円の貸株料となる
※ 貸株料の節約のためには保有期間を短くすべきだが、銘柄によっては用意されている在庫の株数がなくなるので在庫が残っているか確認が必要
※ 配当金:損得無し:配当落調整金として全額100%取られる、現物保有株からもらえる配当は、税金15.315%を引かれるので(通算譲渡損益があれば100%もらえる)これもコストとなる。
※ 逆日歩コストは発生しない

【一般無期限】

※設定がない銘柄が多いし、あっても優待がある銘柄は少ない(ほぼない)※ コスト:貸株料1.10% 上記の例なら1日10.5円
※ 配当金:【一般15日】と同じ
※ 逆日歩コストは発生しない
※ コストは安いが在庫のある銘柄が少なく、あっても権利日までに在庫がなくなることがある。
(SBIの一般信用売りは、無期限か15日のどちらかしか設定されてない)

【制度6ヶ月】

コスト:貸株料1.10%
コスト:逆日歩あり : 場合によっては逆日歩が発生する。
株価により逆日歩の最高料率は決まる。日証金で株価毎の最高料率が決まっている。
SBI詳細画面の表示で 「逆日歩(1日) 0.05」だと 株数X0.05円=100株で5円が1日につき掛かる
最大金額も計算できる。株価1500円で料率3.2円×株数×日数×倍率(権利銘柄は4倍)=1日なら1280円 ※注意銘柄だとさらに2倍
※ 配当金:一般信用売りと違って、制度信用売りは配当の一部がもらえる。これを配当落調整金といい、「配当金-15.315%」がもらえる。そこから税金20.315%を引かれるので約12%はもらえる。配当が実際に振り込まれるまで売建予想配当金として(15.315%を引いた)配当落調整金は預かり金として資金拘束される。
※配当金の12%+優待品 > 逆日歩 となったら儲けがでるが、逆日歩が多ければ赤字となる。

では、どのような戦略が考えられるか?

安全安価コース

①【一般売15日】可能で在庫がある時
  →権利付き最終日の朝に寄成で【一般15日】売りと現物買いを発注、同日 夜に現物渡ししで精算する。

安全コース

②【一般売15日】可能で在庫が少ない時
 →【一般15日】売り可能になったら翌日朝に寄成と現物買いを発注【権利付き最終日】の夜に現物渡しで精算する。

配当+優待 両得チャレンジ

③【制度6ヶ月】逆日歩<配当12%+優待に賭ける時
 →権利付き最終日の朝に寄成で【制度6ヶ月】売りと現物買いを発注、同日 夜に現物渡しで精算する。

現渡しは下記画面で行っています(現渡し発注しても、約定するまで画面は更新されません)

余談


手数料の確認

SBIなら「口座管理」→「電子交付書面」から「信用(発行日)取引報告書」電子交付のお知らせ」を見ると 手数料(貸株料)、逆日歩がわかる。

今回の結果 (いずれも100株)
◎イオン:【一般15日】で売買 3594円 2月8日→28日現渡し
貸株料:691円 
※ 3%引きカード目当てで、安易に一般15日で買ったが、最後まで在庫もあったので直前でやれば貸株料が節約できた・・・
◎イオンファンタジー:【制度】で売買 2494円 2月27日→28日現渡し
貸株料15円、逆日歩80円  受領予定配当差額153円
お米狙いだったが、配当差額でプラスになっているので実質プラス。
◎ベルク:【制度】で売買 644円 100株  2月27日→28日現渡し
貸株料38円、逆日歩320円 受領予定配当差額1530円
お米狙いだったが、こちらもプラス。

結果的には一般信用売り1銘柄が691円、制度信用2銘柄で453円。配当落ち調整金がもらえれば税金が掛かってもクロス売りでプラスとなり、さらに優待をゲットできた。
制度でいいじゃん!という所だが、あさくまなど逆日歩が大きく掛かる銘柄もあるので注意が必要。過去の逆日歩情報などは下記サイトを参考にした。
https://www.invest-jp.net/yuutai

在庫の確認方法

SBIの一般信用はここで在庫確認可能(選定毎に条件クリアしていくこと)https://site0.sbisec.co.jp/marble/domestic/top/cbsProductList.do

長期保有条件

余談)1株だけ保有し続けて権利日だけクロスすれば長期保有条件を達成できる可能性がある
証券会社を通じて買った株は証券保管振替機構(ほふり)が株式証券を管理している。そのため証券会社が異なっても株主番号は変わらない。
と言う事は1株持ち続ければ株主番号が変化しないと想定できる。
発行会社が権利日以外も株主の株数をチェックすれば、1株しか持ってない事はわかるかも知れないので、確実な方法ではないけれどね。

お約束
どうしても調査不足や勘違いがあるかも知れません。このnoteを元に売買した結果に責任は持てないので、実際に活用するときは確認しながらお願いしますね。また間違っている点などあればコメント頂けますと嬉しいです。
もし、参考になりそうでしたら「スキ」を頂けると嬉しいです。


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