見出し画像

篠山紀信の世代

写真家の篠山紀信さんが2024年1月4日に亡くなった。
写真家というアーティスト性は、時として誤解を招く。ことに篠山紀信や荒木経惟あたりの大家は、女優やアイドルを脱がす人のような色眼鏡で見られがちだが、その一方向からしか評価の出来ない人は寂しい。
アラーキーは早い時期の青春18きっぷのポスターで、みんなの記憶に残している筈だし、あらためて「えっ、これ、そうだったの?」と驚かせるだろう。
篠山紀信はもっとグローバルで、表現が安っぽくて恐縮だが、
「時代の、瞬間の空気」
を切り撮ることの出来た稀有なるアーティストだったのかなと思っている。

どうしても、Goro世代は、一面だけに傾くのだけどね。

ちゃんと、女性ばかりじゃない仕事を芸術的に「記録」している

デジカメのない時代、フィルムと瞬間は、常に真剣勝負。そのチャンスは一期一会。素人の手の上から滑り落ちて逃げていくシャッターチャンスを、篠山紀信は芸術的に捉えてきたのだ。

篠山紀信の奥さんは南沙織ということは、皆さんご存じですね。

篠山紀信は表に出てきて持論を語るような場面の少ない人だと思う。結果で語る人だと。そして、シャイに冗談で語れる粋な人なのだろう。
フジテレビの番組「ヨルタモリ 」の第36回 「篠山紀信が来店」 は2015年07月26日放送。この番組は録画していて、何も考えたくないときにボンヤリと観ていると、なんだか癒される回だった。タモさんも気張っていない、タモリ倶楽部風のリラックスな雰囲気が伝わっていい番組だった。NHKの番組も、昔の「ブラタモリ」と変わっちゃったから重くなってきた。本来は、こういう軽さにこそタモさんの良さがあるのに。

脱線した。


篠山紀信回は、サンタフェの撮影秘話を軽妙に語っていた。宮沢りえ本人を前にして、当事者のしらなかったエピソードを語っていた。スマホでも簡単に楽しめるという、写真の興味を視聴者に伝える一助になった伝説回だと思っていた。

こういう番組で、また、篠山紀信の語りを聴きたかった。
惜しい方が、逝ってしまった。

心よりご冥福をお祈り申し上げます。