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スーパーマーケットの人々 【オヤジの観察 #7】

行きつけのスーパーが3店、それぞれ特徴があって使い分けている。
中でも一番のごひいきは駅から離れた住宅街にひっそりたたずむ激安スーパー。
生鮮食品から総菜に至るまで全てが安くて近隣では知る人ぞ知る人気の店だ。
特に毎月1日の特売日となると開店前から入口に客が列をなし、少し遅れようものなら、駐車場にすら入れず小さな渋滞が発生する。
昨今の物価高、家計を助けてくれるこのスーパーへの依存度が以前にも増して高まっている。

激安もうれしいが、ここはオヤジの趣味、人間観察の場としても楽しめる。
他のスーパーに比べて生活スタイルがオヤジに近い年配者が多いと感じるのは気のせいか?
特売品の前ではいつもの光景、少しでも鮮度の良い、少しでも大きな野菜・果物求めて無言の小競り合いが続く。



親切なおばあさん

きゅうりの山、1本25円の特売、オヤジも負けてなるかと最前列で参戦、
長年鍛えた目利きには自信がある。
左右押しのけ1本1本入念に選別、両手に大きくみずみずしいきゅうりを6本、戦列を抜け出したら目の前におばあさんが立っていた。

どうぞ、入れて下さい。」手に取ったビニール袋を開けて、優しい顔でオヤジににっこり微笑んでいる。
一瞬、何事かととまどった。多くの客はオヤジと同じ戦闘モード、厳しい顔で小競り合い、他人にかまっている余裕はない。
どうぞ、使ってください。」と続けて、おばあさんはオヤジのキュウリにビニール袋をかぶせてくれた😭

「あ、ありがとうございます。」あまりに自然体のご厚意に恐縮、ペコペコ頭を下げて足早にその場を離れた。自己中の自分に気まずかったのだ😓。
別の売場近くでもそのおばあさんを見かけたが、おだやかに悠然と買物を続けていた。
「成城石井」が似合いそうなおばあさん、激安スーパーにもお見えになるんですね。『また、お会いできますように!


お気に入りのレジスタッフ

7ヶ所のレジ、お気に入りの女性スタッフが二人いる。
年のころはアラフォーとアラカンか? 
二人とも、笑顔がステキでハキハキ、テキパキとレジ業務をこなしている。
「きゅうり6本ですね?」「トマトは5個ですね?」声が明るくよく通る。
”いちご”、”さかな”のパックまで一つ一つビニール袋に入れてくれるが、一連の動作に無駄がなく見ていて気持ちいい。

「今日はいい買物ができたわ。アジのフライがすごく大きくて安かったの。」
「本当にりっぱなアジですね。いつもありがとうございます。」
オヤジの前に立つおばさんは馴染み客なのか?
スタッフはなにげないやりとりを交わしながらもレジの手を休めることはない。
戦闘モードから解放されたおばさん、買物ついでに話もできて楽しそうだ。

オヤジがレジに進むと、
「大きくてしっかりしたきゅうりですね。」
レジスタッフの方から声をかけてきた。
よろこぶオヤジ、自慢げに、
「目利きには自信があるんだ。りっぱでしょう、へっへっへ。」
わずかの間でもこういう会話が楽しい😃。

レジに並ぶとき、お気に入りのスタッフを捜すが、気のせいか?この二人に並ぶ列が長いように感じる
暇を持て余す年配客、多少時間がかかっても気持ちよく会計したいという心理なのかな?🤔 
「出来る人には仕事が集まる」ってよく聞くけど、わかるなぁー。
人気者には人が寄ってきて忙しい」・・・か?


買った商品の置き忘れ

スーパーから戻って自宅で買物整理、二つの買物袋を空にしたところで、妻が首をかしげている。
「赤唐辛子入ってなかった?」
「いや、見てないよ。」
再度、買物袋を開けて確認するが何も入っていない。
レシートを確認すると、赤唐辛子がしっかりと印字されている。
「たぶん、赤いカゴの中で袋が薄くて赤色だったから見過ごしたのね。」
「あとで散歩がてら店に寄って聞いてみようか。」

散歩の途中、スーパーのサービスカウンターに立ち寄り女性スタッフに声をかける。
「午前中、買物をしたんですけど、唐辛子が見当たらなくて…」
財布からレシートを取り出そうとするや否や、
「これですかー?」”忘れ物?”のシールが張られた赤唐辛子の袋を取り上げ、
「待ってましたー」とばかりに満面の笑みをたたえている。

「ああ、それです。それそれ」、「やったー」、「あったー」
わずか200円程度の品物、あまり期待はしていなかった。
それが、ズバリそのものを目にした瞬間、なぜか品物の価値以上にうれしかった😄
女性スタッフも私達の喜ぶ顔を見てうれしそう、彼女の笑顔がまぶしかった。
一連の対応とスタッフを見ればお店の質がわかる。
赤唐辛子を置き忘れて、ある面良かった~😄。』

この激安スーパー、ただ、安いだけの店じゃない!
「お客さんの喜ぶ姿を見るのが私達の喜びです。」
お店の経営者が良く使うセリフ、
この店はレジ、サービスカウンター含め、
すべてのスタッフが経営者のマインドで客に接している。

このスーパーを利用する機会はますます増えそうだ。

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