「自分コミュ障なんで」っていう人に対して嫉妬してしまう話

自分のことを、「人の気持ちを察するのが得意」な方だと思ってる。
自分のことも他人のことも分析するのが小学生の頃から得意で、親戚や母の友達もよく私のことを「人の顔色をよく見ている子ね」と言ってきたらしい。
小学生の頃からそうだったけど、本格的に察するのが得意になったのは高校生からだった。

別に人の感情を理解できるなんていう傲慢な話じゃない。
感情が喜怒哀楽の4パターン的な感じで20パターンくらいあるイメージで、「それまでに聞いたその人の感情を含むエピソード」と「人の感情のパターン」を繋ぎ合わせるのが平均より得意な気がするっていう話。

具体的にどういうことかというと、人の顔色や仕草、声のトーンで私に何を求めているのか検討を立てるのが得意。
同性異性関係なくそうなので、とりあえず気持ちいいんだろうな~って言葉をかける。すると不安傾向の強い人から依存されることが多い。

なので大学時代就活が死ぬほど上手くいった。
大学3年の5月からインターンとか行ってて要領を掴んでたのはあるけど、面接を20回以上受けたけど一度も落ちなくて、マーチという早慶閥の企業にはバカ扱いされる大学のレベル的には頑張ったねってくらいの企業に就職できた。
面接官の態度から求めている解答や表情、反応の間の作り方を考えるのが得意だった。

あとはしょっちゅう「秘密の話」とか「弱い部分を見せる話」をよくされる。
周囲に対してしっかりしてるように見せたい人ほど、心を開くとそんな話をしてくる傾向があるように思う。
会社の清楚そうだって評判だった女性の同期は、会って2回目なのに餃子を食べながら三股かけてる現在進行形の話をしてきたし、挙句の果てにその半年後「(私)といると話し過ぎちゃって辛い!」って謎にキレてきた。
でもそれが初めてじゃなくて、「話聞くの上手くて無理なんだけど」的なことを言われたことが3回ある。

コミュニケーション系の自己啓発本を読んでも、当たり前じゃないかって思うことばかり書いてある。
人の話なんて傾聴した方が良いに決まってるし、意見を言う前に一回肯定する言葉を入れた方が良いに決まってるし、先に悪いこと言ってから良いことで締めた方が印象が良いなんて当たり前じゃん。
まぁできてない人ばかりな世の中だから、需要があるのは分かるけど。

さて、ここからが本題なんだけど、「自分コミュ障なんで」っていう人に昔からとんでもなくイラつく
中学から大学まで、初めてのコミュニティで定期的に聞いたこの言葉。
私立の中学の入学式の日に初めてその言葉を聞いたことを未だに覚えているくらいには、本当に嫌。

で、どうしてイラつくのかというと、完全に羨ましいからだ。

私が「人の気持ちを察するのが得意」なのは顔色や仕草、声のトーンまでに細心の注意を払ってるから。
そしてそんな注意を払いまくっているのは、きっと父が愛着障害でASD受動型という、気分に波がありまくりの人間だったのが影響していると思う。
そういう人とずっと過ごしていると、「人の気持ちを察するのが得意」でないと生き延びれなかった。

あと私は小中高大全部別の環境で人間関係の形成の機会が多くて、しかも中学高校は誰とも「分かり合えない」感覚があった。
「分かり合えない」相手とは感情の共有を無理にしなくても良いと当時は分からなくて、相手の感情を一生懸命理解しようとした結果、理解は全くできなかったけど自分に対する気持ちを予測するのは上手くなった。

そんな自分の経験から、「自分コミュ障なんで」っていう人はきっとその言葉が通じる環境に居たんだろうなって思って羨ましい。
「分かり合える」人が常に周りに1人は居たんだろうなって思って羨ましい。

「自分コミュ障なんで」って言う奴は、一度仲良くなると相手のことを信頼する人が多いなって感じる。
きっと「自分の身内とそうでない人」って概念が確立してるんだろうな。でも、私はその概念が全くない。
誰とでも気兼ねなく話せてコミュ力高い人だって評価されてると思うけど、ほとんどの人に心なんか開いてないし、私に信頼してる人っているのかな。

心を開くどころか、私はいつも他人に怯えながら流暢に話すから、学生時代の面接でもさほど普段の人との関わり方と変わらなかったんだと思う。
ちょっと可哀想、私。
(ってこんなことリアルでは絶対に口にしないけど。だってそういうこと酒のグラス片手に話す奴、主語が自分じゃなくて親になっちゃってて、最高にしょうもないもん)

本屋の自己啓発本コーナーを覗くと「人の気持ちを察することが得意」なことは「良いもの」だと捉えられがちみたいだけど、果たして完全に「良いもの」なのかな。
まぁ人の性格とか性質なんて、一長一短か。

でもきっと、私も思いもしない何かで羨ましがられてるんだろうし、ないものねだりし過ぎずに生きていきたいな。


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