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カーボンナノチューブと宇宙エレベーター:現在の状況


カーボンナノチューブとは

 カーボンナノチューブとは、図のように炭素によって作られる六員環ネットワーク(グラフェンシート)が同軸管状になった物質です。

カーボンナノチューブの用途

半導体
 銅の1,000倍以上の高電流密度耐性、銅の10倍の高熱伝導特性、高機械強度、細長い、などの特性が半導体への応用が期待されます。
燃料電池
 導電性の高さと表面積の大きさから燃料電池への応用ができます。
光学機器
 電場をかけると5員環から電子が放出されるため電界放出ディスプレイ、平面蛍光管、冷陰極管のカソードデバイスへの応用が研究されています。
 構造材料
 アルミニウムの半分という軽さ、鋼鉄の20倍の強度と非常にしなやかな弾性力を持つため、宇宙エレベータのロープの素材に使うことができるのではないかと期待されています。

 有機薄膜太陽電池は、薄い有機材料のフィルム状構造を持つ太陽電池で、柔軟性があり、曲面や窓ガラスにも設置できる特長があり、建物の壁面や窓ガラス等への設置や景観への適合性が期待されています。
 透明電極は、太陽電池の表面に光を取り込む役割を果たします。
 カーボンナノチューブと有機薄膜太陽電池は、新しい材料や技術の探求において相互に影響を与えています。

幅広い分野の人々に実際に使われている

 幅広い分野で需要があり、研究者から産業界の専門家、個人の技術愛好者まで、さまざまな人々によって購入されています。

  • 研究者と科学者:研究室や大学での研究プロジェクトにおいて広く使用されています。

  • 産業界の専門家:製造現場や産業分野の専門家は、自動車、電子機器、航空宇宙、エネルギーなどの分野で製品の改良や革新に活用しています

  • 個人の研究者や技術愛好者:オンラインで入手可能であり、個人の研究者や技術愛好者も購入して、自身のプロジェクトや実験でCNTを使用しています。

モノタロウ

メビウスカーボンナノベルトとは?

 メビウスカーボンナノベルトは、カーボンナノベルトに更にひねりが加えられ、裏表の区別がない特異な形状を持つ構造となっています。
  この特異な形状により、メビウスカーボンナノベルトは特異な動的挙動や光学特性を示すことが明らかになっています。

勉強会資料

宇宙エレベーターは今どうなっている?

 宇宙エレベーターは、地球と宇宙をエレベーターでつなぎ、モノを輸送するというプランです。
 そのためには重さのバランスを取るために長いケーブルが必要となり、おとぎ話のようだと言われていました。
 これが、軽量で頑丈なカーボンナノチューブの発見によって実現の可能性が高まり、2050年の運用を目指した技術開発が進められています。
 大林組が2012年に発表した宇宙エレベーター建設構想では、軽量かつ高強度で総延長96,000kmのカーボンナノチューブのケーブルがあれば、宇宙エレベーターが可能だとしています。

 この計画の実現のために必要なカーボンナノチューブは、強度の他に耐久性も必要であり、2019年国際宇宙ステーションISSきぼうで宇宙空間に設置して試験しました。
 試験の結果、強度の低下や表面の欠損が確認され、宇宙空間での損傷を防ぐ表面被膜が必要なことがわかってきています。

勉強会資料

まとめ

 カーボンナノチューブ複合素材、グラフェン、フラーレン、メビウスカーボンナノベルトなどのカーボンナノチューブ関連素材は多くの可能性を秘めており、様々な研究機関や企業が研究中です。
 本記事ではカーボンナノチューブの特性のうち、強度だけを取り上げて、宇宙エレベーターの実現にどれほど近づいているのか調べてみました。
 2019年に国際宇宙ステーション(ISS)きぼうでの実験の結果、宇宙空間で損傷が発生し、損傷を防ぐ表面被膜が必要なことがわかってきました。
 このような状況で、2050年までに宇宙エレベーターの運用開始を目指して技術開発が進められています。ただし、これはあくまで目標であり、具体的な時期については現在のところ明確な情報はありません。

 20年以上前から情報は聞いていましたが、改めて調べてみて、カーボンナノチューブは非常に期待できる素材であり、宇宙エレベーターは夢のある計画であり実現に向かって近づいていることが再認識できました。



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