バイオ炭は気候変動に有効なのか

昨年の夏に農業に関するJクレジットで「バイオ炭の農地施用」が認証制度に加わりました。そこで、今回はバイオ炭が本当に気候変動の対策として有効なものなのかについて個人的意見を書こうと思います。

まず最初に、日本ではバイオ炭推進派の人が多いようですが、海外では疑念を抱いている人もちらほら。例えば、以下のリンクのwebサイトではバイオ炭のCO2貯蔵効果については科学的根拠に欠けると述べています。(https://www.desmog.com/biochar-101-climate-savior-or-false-hope/)。
個人的には、バイオ炭についての諸々の真偽はもう少し時が経たないとわかってこないのかなとも思っています。何かする際の弊害はいつも遅れてやってくるものなので。


https://shiruto.jp/global/5050/

仮にバイオ炭にしっかりとCO2削減効果があったとしても、バイオ炭の農地施用でCO2削減に向かうというのは、なかなか厳しいのではと思います。

というのもバイオ炭の活用規模が小規模すぎる点と単純に面倒という2つの課題があるのではと思っています。

1つ目の小規模というのは、そもそもバイオ炭の普及率(農地面積として)が0.006%しかないのが現状です。
これで5,000トンのCO2を貯留したことになるらしいんですが、日本全体のCO2排出総量は10億トンです。
仮にバイオ炭施用面積の割合が1%に上がっても、CO2削減量は80万トン程度で、総排出量の0.1%にも満たないです。
もちろん小さなところからCO2削減していくことは大事だと思うんですが、みんなが思っているほどバイオ炭がCO2削減ポテンシャルはさほど大きくないんはないと思いました。もうちょっと別の部分で楽にCO2削減できるのなら、そっちに注力した方がいいんじゃないかと思います。

2つ目のバイオ炭は単純に面倒くさいという点に関して。
結論から言うと、バイオ炭を作成、施用するのが面倒な上に、バイオ炭を施用してもさほどメリットがないと言う点から、バイオ炭はあまり普及しないのでは、とも思っています。
おそらく農地にバイオ炭をまく一番のメリットは炭の土壌改良効果じゃないかと思います。肥料の撒きすぎで肥料成分中の硝酸が多くなってしまうと土壌が酸性化して植物の生育を悪化させます。そこにアルカリ性である炭を撒けば中性に戻るので、ある程度の土壌改良効果がありますね。
ただし、これだけなら普通の炭でいいわけでわざわざバイオ炭を撒かなくてもいいじゃん、と。

そこで、最近になりJクレジットにバイオ炭を撒くならお金を上げるというインセンティブが加えられました。

ただ一番の問題は、普通の個人農家レベルでバイオ炭を撒いたところでJクレジットの認証費用が高すぎて、おそらく割に合わないんじゃないかと。

他のJクレジット認証にも言えることですが、認証コストをなんとかして抑えない限りは、Jクレジットってそこまで普及しないのかなぁと思ってます。

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