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スカルツォの回廊

                           回廊のフレスコ画

 スカルツォの回廊は、フィレンツェのサン・マルコ修道院(美術館)の先のカヴール通りに在る。小さな回廊だがその壁面全部に、12点の褐色単彩のフレスコ画が描かれている。絵のテーマは「洗礼者聖ヨハネの生涯」で、アンドレア・デル・サルトが描いた(後記註)。正確に言えば、そのうちの3点は彼の友人の画家フランチャビージョが描いた。アンドレアは、フランソア1世の招きでフランスに赴き、約1年間フィレンツェを離れていたので、ファランチャビージョがピンチヒッターを務めたということらしい。その経緯の詳細は不明。

                  

 これがフランチャビージョが描いた「イエスとヨハネの出会い」のシーンで、回廊東側の一番奥の壁に描かれている。杖を持ち、ラクダの皮をまとっているのが洗礼者ヨハネだ。その右に女性が子供?を優しく慈しんでいる様子が描かれている。私はその慈愛溢れる表情に強く惹かれた。

 で、勉強を兼ねてこれを模写することにした。このまま模写するのは芸がないと思い、小細工をし、撮った写真を拡大、反転させ、それを模写した。 

                         木炭デッサン(模写) F4 

 これを、当時通っていたカルチャーセンターの森  勇先生(日展準会員、元光風会評議員)にお見せすると、ただ一言、" 淋しすぎる" と言われた。コメントはただそれだけ‥‥。私としては「Ⅽarita´(慈愛)」を表現したかったのだが、及ばなかった。

(註)アンドレア・デル・サルトについては、ネットで、拙作の「画楽舎便り」(水彩スケッチで巡るフィレンツェの情景)をご覧ください。              


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