あたし、あたし、あたし。

 あたし、あたし、かわいくないから、かわいげもないから、何にもうまくやれなかったから、かわいこぶってるブスのくせに、かしこぶってるバカのくせにって、言われないようにそうやって、なんでもわかったフリしてなんにもわかんないフリして生きていくしかなかったの。14歳みたいな剥き出しの肉塊、もうアラサーになっちゃった。

 年齢を重ねても大人になんてなれなくて、子どもでいられなかった子どもはいつまでも大人のフリをするのが上手いだけなのかなぁ。結婚っていいものですか?結婚してよかったですか?パートナーのことはだいすきだけれど、わたし血の繋がった家族とうまくいっていたら、この人と、だれかと家族になりたくて泣いたりしたでしょうか。

 肉体を持て余している、気力も体力もないままそこにある。あたしだって別に推敲してふつうにちゃんと文章くらい書けるんだよ、もう28歳、だし。28年、初めて実感として「死にたい」と思ってから14年。たぶん。生まれてこない方がよかったのにって思ってる時間の方が人生長くなっちゃった。

 久しぶりに電車を乗り間違えた。電車がすき、何も考えなくて済むから。乗っていたら勝手にレールの上を移動するでしょう。レールに乗るってとてもむつかしいのに、電車はわたしを乗せて走る、走る。わたしはいつだって何かから逃げていて、それは学校とか、家族とか、たどり着いた先がこの場所で、ここがゴールのつもりだったんだけれど、何もない、何もつらいことなんてないのに、時々全てを捨ててしまいたくなる。だっておかしいよ、家族が嫌なのに家族を作るとか、集団が苦手なのにどこかに属したくて寂しくて、あたし出来損ないなのに、人間のフリしようとしてる。

 何かに縛られていないと魂がヘリウムの入った風船みたいにふらふらふわふわ、どこかに行ってしまいそうで、この紐を離さないでと彼に泣いて頼んだ。いい子は天国に行けるから。でも悪い子は、どこにだって行けるんだ。14歳でも27歳でも死ななかったから、あたしいつかおばあちゃんになるのかなぁ。おばあちゃんになってもこんなふうに、偽物の言葉で、借り物の言葉で、あたしきっとどこにも行けないまま、ここで揺蕩う。誰もこの糸を切らない。悪意がないわけじゃなくって、興味がないから。誰にも気づかれず、ずっとここで、萎んでしまうまでずっと、ただそこにいる。

生まれて来ちゃって、ごめんね。

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