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なくてはならない存在になってはいけない論、の補足

先週ポストした記事について、いくらかご意見をいただいたので補足します。

実はあの記事は盛大に端折ってまして、最初に書き上げた時点では5倍くらいの文章量がありました。
我ながら「読む気しねえ」と思えるボリュームでしたので、現実や実態についてはあまり詳しく触れず、理想論を語ることに重きを置いていました。
ので、いろいろ説明不足な点あり、失礼しました。

ご意見① 「受託業者としてはお客を逃しかねないような事を能動的には出来ないし、依存している状態を脅威と見なされたりはしないよ」

仰る通りで、特定の外注に依存したまま漫然とプロジェクトが継続し、特にお客が離れていくようなこともなく、やがて先細って終わる、という形が現実には多いです。
堅調に継続し続けることもありますが、そういう場合は途中でリファクタによるソース整理やスタイルガイド作成によるデザイン情報の整理等が行われていて、ある程度はプロセス化(外注業者を切り替えても回る状態化)がされていました。
最近よく耳にする「デザインシステム」も、プロセス化の1つの形ですね。

ご意見②「プロセス化する予算はどこから出るの。外注の持ち出しなのかよ」

理想としては、特定の外注に依存することの恐ろしさとプロセス化することの意義をお客さんの側で理解して、それを踏まえた予算やスケジュールを組んでもらいたいところです。

ただ、現実のサービスやプロダクトの開発においてデザインに割ける予算は往々にして不足しがちで、「なるべく少ない予算でやってくれ」と頼まれるのが常態化しています。

この現状を打破する一助となりたくて前回の記事を書き、世のデザイナー(特に自分自身)の心に「プロセスを提供してプロジェクトの属人化を避ける」ということの重要性を刻みつけようとしたのですが... 記事を読み返して思うに、受託側の意識をどうこうするよりもお客さん側の意識に訴える方が重要な気がしてきました。受託サイドのみの努力では解決困難ですね。

サブタイトルは「受託系デザイナーは不倫相手のようであれ」でなく、「デザインを発注する立場の人は尽くすタイプの割に手切れのいい愛人を大金で囲うつもりで仕事出せ」とかにした方が良かったかもしれませんね。(長いし非道い。)

ご意見③「有名イラストレーターのように独特かつハイクオリティな世界観を構築すればお客が離れることは無いでしょ」

記事内で言及していた「デザイナー」とは、主にWebサービスやスマホアプリのような継続的にアップデートされ続けるプロダクトのUIデザイナー(開発技術者に近い立ち位置のデザイナー)であって、イラストや映像作品といったアート寄りのデザイナーは想定から外れていました。

アートの世界、およびそれに近い世界であれば、唯一無二の「なくてはならない存在」を目指す事は至極当然であると思われます。というか、往々にしてアートは作者の個性や個人的背景抜きでは成り立ちません。
また、技術寄りのデザイナーであっても、プロダクトに対しての全責任を負う立場に居たなら、「その人抜きではそもそもプロダクトが成り立たない」という状態になって然るべしと言えます。

ご意見④「実際は不倫相手と手を切るのは大変だよ」

そういう趣旨の話じゃ無えから。


以上、お読みいただきありがとうございました。


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