健康診断

UXリサーチなんか要らない 定期検診と同じくらい要らない

煽りタイトル始めました。(ドキドキ)
ムカッとした人は「UXリサーチは大事。健康と同じくらい大事。」と読み換えて、お手に持ったマサカリはどうぞ懐にお納めください。

UXリサーチに関して、本読んだり勉強会行ったりして自分なりに情報を集めてみているのですが、残念ながら業務ではあまり実践できていません。
自主プロジェクトの中でUXリサーチごっこをしてみて、その楽しさは体験してるんですけどね。

リサーチの意義は強く感じているのですが、その感触に形を与えること(言語化とか図式化とか)が出来てないです。なので他者に説明できない。
世のWeb記事や書籍で色々と語られていますが、自分の中でまだフワフワしているのです。
 
で、ある時「UXリサーチって定期健康診断みたいなもん?」と、ポヤッと頭に浮かびまして、そんな視点で脳内整理してみることにしてみました。
プロダクトの定期検診、またはデザイン組織の定期検診、的な。

定量的(数値的)向上?定性的向上?

UXリサーチの結果は、何に寄与するのか。

- プロダクト(サービスプロダクト含む)の売り上げ向上する?コンバージョン率とかの数値が上がる?
- プロダクトの使用継続率向上につながる?離脱率低下につながる?

こういう、数字に直接的に繋がるものではないですよね。数字との因果関係が見えづらい。

- プロダクトをユーザの属性・動向にフィットさせる?

ユーザが多種多様すぎて、リサーチの規模がとんでもなく膨らんでしまうんでは... という懸念を感じます。
そもそもユーザにフィットさせるのが正義なのか。ユーザに合わせるより、ユーザの行動や価値観を変えるのを目指すべき?とか考え出しちゃってモゴモゴします。

なので、「数値向上のため」とか「ユーザと親和性高いプロダクトを生むため」とかの発想から一旦離れようか、と。

- もっとその下地にあたる部分に目を向けるべき?
- 「仕事の成果より、人として健康であること」みたいな感覚で考えるか。
- 定期検診とかそんな感じで捉えるのがいいのか。

という具合に、思い巡らせてみたわけです。

不測の事態への予防線として

ユーザの行動や状態、価値観は多種多様であり、刻々と変わっていきます。
当初は世に受け容れられることを確信していたプロダクトでも、開発や運用の過程でユーザの実態とずれていくかもしれません。
なんらかの外的要因(社会情勢とか)によって、突然大きなずれが生じるかもしれません。

継続的にUXリサーチをしていたなら、そういったずれの発生に素早く気づけることが期待できます。
また、ずれの原因究明や解決の仮説を立てるための素材をあらかじめストックしておけます。

定期検診のように、大病を未然に防ぐことに一役買う。大病を患ったとしても、早期発見・早期対処につながる」と考えられます。

デザイナーがデザイナーであるために

ユーザの代弁者であることは、デザイナーをデザイナー足らしめる要素の一つと言えます。
ユーザと直接的に関わり、調査・分析を続けなくては、そこが揺らぎます。

デザイナーは「自分たちの発想・感覚はユーザの実態からずれてるのでは」という恐怖を持ち続けています。
ユーザを幸せにしているのだ、という確信が欲しいものですが、それは売り上げや利用者数といった数値からは得られません。
恐怖を和らげ、確信を持ってユーザの代弁者であり続けるためには、ユーザを調査・観察することが重要です。

デザイナーがデザイナーであり続けるためには、「人間についての知識」をアップデートし続ける必要がある、ということです。

それは、エンジニアがエンジニアであり続けるために技術知識をアップデートし続けるのと同じことです。
業務に役立つものでなくても、最新技術動向はチェックして、時には時間を割いてプログラム組んでみて、知見をシェアしたりもする。そういうやつです。

リサーチの結果や知見より、リサーチという行為そのものが、デザイナーがデザイナーとして健全に生きるために必要なのではないでしょうか。

このあたりにも、定期検診に通じます
問題(病気)を見つけることが目的というより、定期的にチェックすること(そういう習慣を持つこと)自体が目的である、というような。

人材確保のため

デザイナーとしては、「ユーザに寄り添って、深く観察している組織」に所属したいものです。
そのような組織に属して、ユーザに寄り添うスキルを身に付けたい。
そのようなスキルを得られなかったデザイナーは淘汰されるのみ、という風潮すら感じます。

成長意欲のあるデザイナーは、ユーザの調査・観察を行なわない組織にはあまり関心を持たないし、関わり続けることにメリットを感じにくいです。

これも定期検診に例えることができて、「健康診断なんか組織的にやるもんじゃない。やりたいやつは自腹でやりゃいいんだ」という風潮の組織には入りたくないし、入っても長くは居たくないな、と思うことと同じです。
(まあ、ホントに自腹にしたら違法なんですけど。)

で、結局どの程度大事なのか

私自身の毎年の健康診断結果について少し話しますと、ずっとBMI値がB判定です。が、これ、気にしたことないです。
あと肝機能系と呼吸器系で一度ずつアラート(再検査要請みたいなやつ)出ましたが、これも「来年も出たら考えよう」と思ってスルーしました。

つまり、診断結果を元になんらかの行動を起こしたことはないです。
けど、健康配慮への意識とか身体に対する安心感には影響してます。

UXリサーチも同様で、いくらか小さなアラートが上がっても、それを即座に開発に反映させるようなものでは無いと考えています。
個々のユーザの細かな不便や不満をそのまま受け止めていたら、プロダクトの方向がブレまくります。
UXリサーチの目的は「UXを意識することを当然とする風潮を作ること」なのだ、という程度に考えていくのが良いかな、などと思った次第です。

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そんなこんなで、UXリサーチを定期検診のようなものとして捉えると自分的には収まり良いです、という話でした。まる。

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