ティモシー・テイラー「経済学入門 ミクロ編」書籍紹介

監訳は池上彰。


入門というだけあり、非常に簡易な内容である。結構詳しい高校公民の教科書、といったところだろうか。


「価格弾力性」の概念は、一読に値するだろう。

何かの値上げと、それに伴う客離れは、我々が日常でもよく見る光景であろう。しかしながら、その値上げ/購入量の変化 の特性は、その商品によって大きく異なる。

日本であれば、増税とそれによる買い抑えという現象を考えるにあたり、非常に参考になるであろう。


この書では労働におけるミクロ経済についても解説している。

最近の日本で行われた最低賃金の改正や派遣労働・働き方改革におけるミクロ経済を具体例として考えてみると、非常に興味深い考察ができるのではないだろうか。


入門書として異色なのは、それぞれの投資の方式(株、投資信託 etc.)とそれらの利益と欠点を詳細に示している点である。

これから投資を始め老後の生活に備えようなどど考えている読者にとっては、一冊目の実用書として使えるかもしれない。


一点、残念な点としては、邦訳時に入ったと思われる誤植が数か所ある点である。

しかしながら、この書の価値を貶めるものではない。見つけたらほくそ笑むのも一興であろう。

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