クローズ/オープン/特例 3パターンそれぞれのメリット・デメリット

昨日、「親が障害者手帳取得を認めないお話」を書きました。

そこで「手帳取得は選択肢を広げる」と書きましたが、その詳細を今日はお話します。

(精神・発達障害で手帳申請を検討してる学生から働き方について凄いよく聞かれる且つ「本当に役立った!」と言われることが多いので、誰かの役に立てば、と思い、まとめて記事にすることにしました。)

障害者手帳を取得して「就労」するには、ザッと3つのパターンがあります。

1.障害を開示せず(クローズ)健常者として働く
2.障害を開示し(オープン)一般企業の障害者雇用枠で働く
3.障害を開示し(オープン)特例子会社で働く

手帳を取得していなければ1.しか選択肢はありません。ゆえに、手帳取得は選択肢を広げるのです。

私は幸か不幸か、この3パターンを全て制覇してます(笑)
なのでそれぞれのメリット・デメリットも痛感してます。
体験したからこそ分かる、メリット・デメリットをお話ししましょう。

1.障害を開示せず(クローズ)健常者として働く場合

私はクローズで塾講師を4年、医療事務を1年していました。

メリット
健常者と肩を並べて働ける
実力で勝負できる
デメリット
(当然ですが)配慮はない
通院日の確保が難しい
症状が出ても隠さないといけない
「バレないか」という不安がつきまとう
「迷惑じゃないか」という罪悪感がつきまとう

まず、メリットから。
塾講師時代はまだ若かったこともあり、今よりは体力も気力もありました。
なので、健常者と同じ土俵で実力のみで勝負して、その成果が生徒の成績という目に見える形で現れた時は本当にやりがいを感じました。

あとは「ぎん先生の授業がいい~」って、学年が変わっても指名された時。「障害なんか関係ない!」「世の中実力勝負だ!」と勇気をもらえました。

今の私のベースである「障害とか関係なく実力勝負!」と言う考えになれたのも、この時の経験が大きいです。

今振り返っても、あの時が一番楽しかったなあ。


では、デメリットです。
これは具合がいざ悪くなった時、本当にしんどいと言うことです。
誰にも相談できない。休むことも出来ない。
どんなに辛くても授業の質は笑顔でキープしなくてはならない。
気合いで乗り切って、帰宅したら玄関でパタリ…なんてのも日常茶飯事でした。
仕事内容はめちゃくちゃ楽しかったけど、30歳と言う年齢がチラつく頃になると「このまま一生続けるのは無理だな…」と思い始めました。

また、通院日の確保も大変です。私は授業のコマを調整して捻り出してましたが、一般企業だと、土曜通院とかでない限り、コンスタントに通院することはほぼ不可能でしょう。

2.障害を開示し(オープン)一般企業の障害者雇用枠で働く場合

私は一般企業の障害者雇用枠で5年働きました。

メリット
必要な配慮が受けられる
通院日が確保できる
「バレないか」と言う不安や罪悪感はない
デメリット
仕事内容が決まっている(ステップアップできない)
自分の障害の雇用実績が少ない場合、理解が乏しい場合がある
健常者の社員が受ける研修やセミナーを受けられないなどの不平等がある

まず、メリットから。
これはもう簡単なことですが、障害を開示してるので必要な配慮や通院は難なくクリア出来ます。
不安や罪悪感を抱くこともないですね。

では、デメリット。
それはどうしても「健常者枠」との不平等があると言うことです。
仕事に対して「簡単な仕事でお金もらえる、ラッキー♪」的なスタンスの人は、とても向いていると思います。デメリットはほぼ感じないと言って良いでしょう。

ただ、私は健常者の同僚が様々な研修を受けてるのに自分は受けられない、また、仕事で成果を出してるのにステップアップできないことがどうしてもどうしても我慢なりませんでした。

「障害とか関係なく実力勝負!」派の私には、デメリットの方が強く感じられるようになり、5年間もお世話になったのですが転職する事にしました。

3.障害を開示し(オープン)特例子会社で働く場合

特例子会社で働いてそろそろ2年になります。今分かる範囲でお話しします。

メリット
必要な配慮、通院日の確保以外にも様々な制度が充実していて安心して働ける
実力がある人は意外と仕事を任される
会社によってはステップアップも可能
障害理解は3パターンの中でピカイチ
デメリット
企業として未熟
仕事がデキる人もそうでない人も評価があまり変わらない
給料が安い

まずメリットから。
障害者を雇用することが目的の会社ですから、障害理解や制度はピカイチです。
社内にカウンセラーがいたり、産業医が常駐してるところもあります。
具合が悪くなった時もお休みや早退がしやすいです。

さて、デメリット。
今、自分が働いておきながらデメリットを書くのは非常に心苦しいのですが(笑)、
「障害者を雇用してなんぼ」の会社ですので、一般企業で働いた経験のある人には「こんなにユルくていいのか!?」と思うことも多々あります。

また、よく休む人と全然休まない人、仕事デキる人とそうでない人が混在していますが、一般企業のように評価でバシッと差が付くことはまずありません。
しかし仕事は一定量ありますので、「デキる人」の所に集中します。それでも、「デキる人」と「そうでない人」の評価にはあまり差がありません。
なぜなら、どちらも大切な「障害者手帳を持っている人」だからです。

今はやりたいことがやれているので仕事内容に不満はありませんが、全然評価されないのは正直不満です(笑)

まとめ
障害が軽度で、実力勝負したいなら1.がオススメ
ステップアップより安定を求めるなら2.がオススメ
障害が重めで制度がしっかりしている所が良いなら3.がオススメ

こんな感じですかね。何かの参考になれば幸いです。

……。

…これを見ると私は1.が向いてることになる!?(笑)

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