身の丈に合った旅

年収ウン千万円の御身分ならともかく、想像以上に赤貧に喘ぐ「ゴミ分」なので、一口に旅といってもそんなに御大層な場所に行けるでもなく、泊まるでもない。

良くできた物で、華美で豪華なものよりカビ臭いくらい古めかしいものや伝統的なものが好きなタチなので、「ファーストクラスでセーシェル行って海上コテージ、ピンドンで朝までパーリナイ!」みたいのを見てもあまり羨ましく思えないのは助かっていると言えば助かっている。

旧中山道の鄙びた宿場町、大した名所は無いけど、本陣と脇本陣が当時のまま残されている…だとか、鉱石採掘で湧いたものの今となっては見る影もない半分過疎みたいになったところとか、そんな雰囲気のところがたまらなくツボなので、そりゃ「南国楽園パラダイス爆音EDMで踊るマイクロビキニとクルージングだぜエブリデイ」とかは、そもそもピンとこないのも当然だ。

例が極端ではあったけれども、人それぞれに「身の丈や身の程にあった」物があるからこの世は多様性に富み、面白く興味深いものになっているんだと思う。

一過性のものを愛する享楽主義もいいし、普遍的なものを愛する探究型趣味もまたいいのだろう。
このあたりは例によって「バランス」なんだろうけど、実際両方を兼ね備えた人と出くわした経験が少ないので、ひょっとしたら「両方さん」は、あまりいないのかも知れない。

いずれにしてもボクは「色調が少しトーン抑え目・グレーがかったくすんだもの」を愛おしく思うので、「バッキバキのビビッドな夏」よりも「ちょっと寂しげカラーの秋冬」が似合う観光地に足を運びたいなって、ここのところずっと夢想している。

この暑さと流行り病には早くどうにかなってほしいなと願うばかり。

GIO.

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