東野ナツメ

東京の某大学に在学中。専門は日本近現代史・・・のはずが、怪異に魅せられ取り憑かれ、いつ…

東野ナツメ

東京の某大学に在学中。専門は日本近現代史・・・のはずが、怪異に魅せられ取り憑かれ、いつの間にやらおばけのとりこ。昔話に都市伝説、日記随筆怪談集。果ては学者の論文まで。探し集めた怪異のネタは古今東西五〇〇〇件。

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動物界の”ラストサムライ” 偽汽車事件

明治元(1868)年9月、元号を「明治」と改めた日本では、政治・社会・文化などあらゆる面で大きな変革が行われた。かつての侍たちは刀を捨て、街路にはランプが灯り、馬車や人力車がガラガラと音を立てて行き交う―― かつて「江戸」と呼ばれた街は、「東京」という新しい都市へと変貌しつつあった。 こうした新しい時代の息吹はなにも都市部にのみもたらされたのではない。地方の村々、いや、さらにその奥、動物たちが暮らす野山の中にさえ、「文明開化」という西洋から来た魔物は轟音をたてて押し寄せていた

    • 妖怪と幽霊はどう違う?

      はじめに「妖怪と幽霊って何が違うの?」 この質問にあなたならどう答えるだろう? 「銀行預金と郵便貯金」の違いはすんなり答えられても、「妖怪と幽霊」の違いはそうはいかない。どっちも日常生活で直に接するものではないし、第一、現実社会というバケモノを相手に日々奮闘されている多くの大人にとって、「そんなのどうだっていい」というのが正直なところではないか。 しかし、身近な子どもにこんな質問をぶつけられた時の対処として、この問題についてちょっと考えてみよう。 それでも無意識に区別して

      • 「異類」な嫁たち

        「美人な嫁さん来ないかな~」 昔も今も独身男が抱く願望に変わりはない。 ましてや、SNSや婚活パーティーもなく、女性との出会いの場も今よりずっと限られていた昔、男達の結婚願望は今よりずっと切実だったに違いない。 今の若者が二次元の美少女キャラを「俺の嫁」として妄想を描くように、 日本の昔話では動物などの「異類」が「嫁」として独身男達の前に現れる。 こうした昔話を「異類婚姻譚」と呼ぶ。 しかし、その筋書きは必ずしも男にとって都合良くはいかないようで……。 今回は、そんなち

        • 【ざんねんな妖怪たち その1】唐から来た超イキリ天狗、まさかの秒速KO負け!

          「俺が全部一人でやってやるよ。無能なお前らは黙って見てろ」 こうした態度をとる人間に対して、私達はよく「あの人は天狗になっている」と囁き合う。自惚れの醜さに気づかず、鼻を高々と伸ばして他人を見下すその様子はまさに天狗そっくりだ。しかし、そのような人間はたいてい何かとんでもない失敗を犯して自慢の鼻をポッキリ折られるのが古代から今日に至るまでの定番となっている。 今回は、まさに“天狗になった”天狗が散々イキリ倒した末にボコボコにされるざんねんな妖怪エピソードを紹介したい。

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