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海外の大学の統計学部で学ぶ統計学(2)


前回の海外の大学の統計学部で学ぶ統計学(1)のつづき。

3年後期

”ノンパラメトリック統計的推定”
気が狂うほどたくさんの検定を覚える科目。下記はそれら検定の一部。
フィッシャーサイン検定(1サンプル、2サンプル)
ウィルコクソンサインランクテスト(1サンプル、2サンプル)
カイ二乗検定
フィッシャー独立検定
メディアン検定
Mann-Whitneyテスト
アンサリ・ブラッドリー検定(Ansari-bradlney検定)
ペイジ検定( Page test for ordered alternative)フリードマンテスト
クラスカル=ウォリス検定(Kruskal-Wallis test)
クラメールCramer coefficient
などなど。
多くのテストで文章問題から上記のような検定のどれが最適なものか判断し、検定を行い、解釈を答える方式で行った。
メインで利用したテキストブックはHollanderのNonparametric Statistical Methods。私は日本語書籍の44の例題で学ぶ統計的検定と推定の解き方を活用したが、全てを網羅しているわけではない。

"ベイズ統計"
ベイズ統計についても半年学ぶ。当時講師が、「他の統計科目とベイズ統計は違って、今後使わないだろう」と言っていたがその通りだった。使用したテキストはBeysian data analysis 。
授業概要は下記:
Elements of Bayesian probability inference; assessment of prior likelihood and posterior distributions; Bayesian estimation and hypothesis testing; predictive distribution and asymptotics; Bayesian Hierarchical Models; introduction to Empirical Bayes; use of statistical software.
ここでRを使い、計算を行う方法を学ぶ。


”回帰分析”
4年に進むためにこの回帰分析の授業は一番大事な授業として扱われていた。友人が作ったテスト対策を下記に紹介する。

これを作った友人には感謝。良い友人を持たずしてパスすることは困難笑

”Sampling design(標本計画?)”
BS Statistics では卒論の必要はなかったが、学年全体でSurveyを行うように義務付けられていました。4年時に行うSurveyのための現実世界で行うサンプリングについて学びました。
現在(2019年2月)大きな問題になっている”不正統計問題”について議論するにはこのSampling designの授業を受けたら良いのだと思います。サンプリングでエラーを起こす、”Selection bias”という授業の一番最初に出てくるエラーに該当するでしょう。
ランダムサンプリング、クラスターサンプリング、層化抽出法、サンプルサイズの導き方など学びます。

4年目

この時点で統計学に必要な知識が備わっているとみなされ、応用の分析に枝分かれします。選択科目で生存時間分析や、空間分析を選べるが半年の期間でかなりぎつぎつのスケジュールで行った。

”時系列分析”
ARモデル、MAモデルから始まり、ARIMAモデル、GARCHモデル。。。Classical methods; ARIMA models; Box-Jenkins method; unit root processes; intervention analysis; GARCH Models; regression with time series data。。。
Eviewsという解析ソフトウェアを使い学びます。
余談ですが、分散の不均一性の英語Heteroscedasticityは、英語が第二言語の我々には発音のハードルが高すぎる。

”探索的データ解析(EDA)”
何をしたかというと、与えられたデータを外れ値などの影響を減らして、真実に近い形で表現するか、どう見せるか、を学ぶ科目です。
記述統計の最初に習うボックスプロットやValue lettter(平均とか75パーセンタルとか)から日本では馴染みがないかもしれませんがResidual
記述統計を行う上でかなり大事な科目だと思います。

”実験計画法”
日本ではあまり書籍も発行されていない科目かもしれません。
実験の際に様々な要因の影響での偏りをなくす(偏りを打ち消すイメージ)ため、試験条件を与えてに厳密に実験ができるようデザインします。
統計の授業では時々日本人の名前が出てくるのですが、この実験計画法でも2名、フィッシュボーン図の石川肇氏と一部実施要因計画の谷口玄一博士の話を聞きました。

”多変量解析”
あまりにもメジャーな科目なのであえて割愛します。
利用した参考書は下記です
Johnson, Richard A. and Dean W. Wichern. Applied Multivariate Statistical Analysis, 6th edition. New Jersey: Prentice Hall, 2007.
Seber, G.A.F. Multivariate Observations. New Jersey: John Wiley & Sons, Inc., 2004.
Sharma, Subhash. Applied Multivariate Techniques. New York: John Wiley & Sons, Inc., 1996.
Tabunda, Ana Maria L. Applied Multivariate Analysis. Manila: Helenica Books, 2001.

”カテゴリカルデータ解析(Categorical data analysis)”
4年目の最後に学ぶ分野
Agrestiという方のCategorical Data Analysisに沿って学びました。
最終的にはロジスティックモデル、ロジットモデルを作るところまで行います。

まとめ


今回まとめた(大分雑ですが)統計学部のカリキュラムは、ASEAN Universities Networkよりinternational accreditationを受けたものです。多少違いはあれど、他の大学の統計学部でも学ぶ内容になっていると思われます。
統計学部で学ぶメリットは、統計学を体系的に学ぶことができることにあると思います。日本の場合どうしても専攻が第一にあり、必要に応じて統計学を学んでいくという点で異なっていると思います。進路についても確率論からアクチュアリへ、分析の応用からアナリストへと道も開けています。
ちょうど今、政府による統計不正という問題から、日本における統計学のレベルが注目されている今、海外に学びに出るのもアリかもしれません。

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