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2018年シーズンレポート②|負けは許されない藤枝戦。浦田樹の左足が描いた勝利への軌跡!!

静岡の鈍色の空に、北九州の歓声が響き渡った。
開幕2戦目で手にした勝ち点3。
それは、決して楽な戦いではなかった。
だからこそ、喜びもひとしおだった。

J3、第三節。
ギラヴァンツ北九州は今季初のアウェイ戦に挑んだ。
相手は藤枝MYFC。
前シーズンで一度も勝つことが出来なかった、相性だけで言うなら「良くない」相手だった。

とは言え、開幕ホームで琉球に敗れているギラヴァンツ北九州としては、このアウェイを落とすわけにはいかない。
そのプレッシャーは相当なものだったはずだ。

序盤はギラヴァンツ北九州のペース。
4分には村松ー井上とつないで右サイドを崩し、茂がドリブルで敵陣深くまで攻め込むと、落ち着いてファーサイドにクロス。
このボールを逆サイドを駆け上がった安藤がノートラップランニングボレーで決めて先制。
幸先の良いスタートを切った。

しかし、喜んだものつかの間、その後は流れは一変する。
藤枝がパスをつなぎながら北九州を押し込む時間帯が続く。
そのまま27分に縦パスからの崩しでワンツーからシャドーの大竹が裏に抜け出して同点ゴール。

スルーからのワンタッチでバイタルエリアへ。
非常に高いコンビネーションパスワークには為す術がなく、これは決めた相手を褒めるしかない。
出来ればそういった状況になる前に流れを取り戻したかった。

その後も藤枝のペースで進むが、2点目を許さなかったのは好材料。
去年のままなら、ここで粘りきれずに逆転を許していたかもしれない。

勝負は1−1のまま後半へ。

その後半開始直前、ロッカールームで森下監督の激が選手に飛んだらしい。

これは素晴らしいことだ。
モチベーションコントロールは全てのスポーツの基本。

もちろん、ベテラン選手にもなればそんな激を貰う前にメンタルを整えるのかもしれない。
でも、北九州はキャプテン川上を中心に、茂、浦田、前田といった若手が躍動すべきチーム。
そんな若い選手にとっては、監督の激というカンフル剤はよく効くだろう。
若さはそのまま、その選手の甘さとも言える。
でも、時としてそれは奮起や爆発力を呼び覚ます。

去年はそれが出来てなくて後半や終盤にズルズルやられた。
逆に言うと、中堅・ベテランの選手が多すぎて、監督の激が効かない。
もしくは監督自身に激を飛ばすというスキルが無かったのかもしれない。

そのあたりは憶測でしかないが、少なくとも今年の北九州は一味違う。
そう思わせてくれる後半戦だった。

前半にくらべて、ボールを支配する時間が増え、シュートチャンスもいくつかあった。
まぁ、シュートが枠に飛ばないのは問題外として…
前田のPA外からのミドルはキーパーのファインセーブに得点とはならなかったが、良いトライだったと思う。

押し込みながらもなかなか得点に繋がらない時間が続く。
課題の決定力不足がまたここでも勝ち点を遠ざけるのかと不安がよぎる。
だが、ここでもまた去年との違いを見せてくれた。

ポイントとなったのは再び茂。
81分に右サイドをドリブル突破。
藤枝DFがたまらずに手をかけてファールで止める。
場所はPAのわずかに手前。
右位置からのFKを得た。

そのFKで結果を示したのが浦田樹。
左足を振り抜くと、鋭く曲がるボールがゴール右隅に突き刺さった。
狙いすまされた、まるで中村俊輔を彷彿とさせるビューティフル・ゴールだった。

これで北九州が勝越し。
その後、再び藤枝の猛攻を受ける時間帯があったが、去年の轍を踏むことなく、逃げ切ってアウェイでの貴重な勝ち点3を手にした。

アウェイゲームでの今季初勝利はホントに素晴らしい。

そして、若手の躍動が目立ったのが特に素晴らしかった。

茂の右サイドの突破。
前田の積極的なシュート。
浦田の華麗なフリーキック。
川上の献身的なディフェンス。

このコラムで何度も言っているが、ギラヴァンツ北九州は若手がブレイクしない限りJ3優勝、J2復帰はあり得ない。
極端な言い方をするなら、20代前半の選手がどれだけ目立つか、それに尽きる。

そして、それをフォローするのがベテラン、中堅の選手の役目だ。
安藤の得点やアシストに代表されるように、今後は本山、平井、池元、村松あたりの経験豊富な選手がしっかりと下支えをしてくれると期待している。
その完成形が、森下監督の目指すトータルフットボールの形だろう。

そして、その森下監督も今回はチームコントロールという素晴らしい手腕を見せてくれた。
勝てば褒められ、負けたら叩かれるのは監督の宿命。
それでも、今後に期待させてくれる名監督ぶりは、ファン、サポーターに少しずつ知られていくことになるだろう。

さぁ、まずは一勝。
されど、一勝。

当然ながら、1つ勝っただけではJ3では優勝できない。
ここからいくつ勝ち星を積み上げられるか、それが重要だ。

勝って兜の緒を締めよ。

去年は結局5分の星をひっぱり過ぎたことで優勝戦線から脱落していった。
今年はそうはならないと信じている。
だからこそ、次節のホーム沼津戦は大事だ。

相手は連勝チーム。
ここで叩いてギラヴァンツ北九州が首位攻防の先陣を切るくらいの位置にいくこと。

期待を込めて、また今週末の試合を心待ちにしていたい。


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