はじめ

　皆様、お久しぶりです。生きています。昨年は広島県に会社の出張で半年ほど滞在していました。故に、毎週末、広島市中区流川町にある通称、流川と呼ばれている歓楽街で遊んでいました。ここで関東とは異なる特異な点に気づいたのです。
　それは地方都市にもかかわらず、コンセプトカフェ（通称、コンカフェ。以後、コンカフェと呼称する）の店舗数が４０～５０と圧倒的に多いことです。私の地元である神奈川県横浜市におけるコンカフェの店舗数が１０程度であることからも自治体の人口に対する広島市のコンカフェ情勢が特異であることがわかると思います。ちなみに当該考察は私が広島の多くのコンカフェ嬢に聞き取りを行ったものをベースにしているため各人の私見が多く含まれていますのご了承ください。

広島市のコンカフェの特徴

　まず、広島市におけるコンカフェの特徴は４０～５０あると言われているコンカフェのうちほとんどが、戦前より人々に娯楽を提供してきた歓楽街である流川に集中していることです。それに加えて、そのほとんどが２０２１～２２年頃に開店したと言われています。つまり、今や、流川はコンカフェバブルと言われています。これには以下の要因が考えられます。

・コロナ禍によるスナックやキャバクラの廃業
→出店して２年未満のコンカフェの多くは、明らかに以前の店舗の内装をほとんど改装せずに引き継いでおり、いわゆる居ぬきの店舗が多い。そのため開業資金を廉価に抑えることができたと考えられる。また同時期はコロナ禍により流川の地価が下落したため賃料も安く抑えていると思われる。

・人件費を安く抑えることができる
→同様の職種であるガールズバーと比べ、時給を廉価に抑えることができる。

・新宿や秋葉原などにおけるコンカフェに対するポジティブなイメージ
→近年SNSなどでいわゆるキラキラコンカフェ嬢は人気であり、これに憧れる者や興味を示す者が多い。即ち、コンカフェで働きたい者もコンカフェに行ってみたい者の需要が一定程度期待できる。

流川のコンカフェ嬢の特徴

　流川のコンカフェ嬢の特徴は３つあります。１つ目は、関東のコンカフェに比べて圧倒的にJK即ち１８歳未満の割合が多いことです。店舗によってはコンカフェ嬢の半数以上がJKでした。これには広島県の最低賃金が時給９７０円でであるため時給１１００円程度に加え、バックが期待できるコンカフェは彼女たちにとって魅力的なアルバイト先と言えます。それに加えて、高校卒業後に広島県から就職や進学で大阪や東京に行く者も多いことから２０代前半の労働力の空白を埋める側面もあると思われます。
　２つ目は、関東に比べてコンカフェ嬢同士の地縁的結合及び学校の交友関係の影響が圧倒的に強いことです。具体的には同じ地元の異なる店舗のコンカフェ嬢同士で交流し、独立したり、同じ学校の同級生複数人を自身が勤務するコンカフェに勧誘し、放課後のような雰囲気のコンカフェが存在しています。これは同じコンカフェに属する者を重んじる関東のコンカフェとは対照的な状態と言えます。その一方で、学校において仲が悪い者が嫌いな同級生（コンカフェ嬢）の悪評を複数のコンカフェにおいて流布した例もあるため必ずしもポジティブな側面だけではありません。
　３つ目は、広島市内から通勤している者が少ないということです。具体的には、流川への移動に１時間以上かかる呉、大竹、東広島、江田島等比較的遠隔地から通勤しているコンカフェ嬢が多い傾向にあります。その理由として、家庭や学校になんとなく居場所がなく、同年代の仲間が居るコンカフェが彼女たちにとって極めて重要であることが考えられます。そのため、コンカフェで頻繁に寝泊まりしたり、非番の日もコンカフェで過ごす者もおり、コンカフェは彼女たちコンカフェ嬢にとって単なる職場ではなく、自己表現の場であり、仲間との大切な居場所でもあるのです。

流川のコンカフェの類型

ここでは流川のコンカフェの接客スタイルを私見に基づいて、カテゴライズさせていただきます。

コンセプト遵守型
　これは、当該コンカフェの世界観を忠実に守り、内装や接客の文言にこだわっている店舗が該当します。例えば、主要都市にコンカフェを展開する黒猫魔法メイドカフェ　ドン・キホーテ広島八丁堀店においては、店内が伝統的なアキバのメイドカフェのような内装に統一されており、乾杯の文言も「にゃんぱーい」のように世界観に沿ったものになっています。そのため、アキバのステレオタイプなコンカフェが好きな方にはオススメです。
例、Ruler、ミケカフェ広島店、絶対妄想研究所

個人裁量型
　これは主に個人経営のコンカフェが該当し、コンセプトを遵守しておらず、コンカフェ嬢個人の集客力や個性を武器にして、営業しています。当該店舗は人によって合う、合わないの差が激しいためステレオタイプなコンカフェを期待する方にはオススメできません。一方で、コンカフェ嬢の個性が最大限発揮されるため、みんなで楽しく酒を飲んで過ごしたい方にはおすすめです。
例、Moi、minx、バスターコール、

折衷型
　これは上記で述べたコンセプト遵守型と個人裁量型の両方の特性を併せ持つコンカフェです。そのため、内装や世界観にもこだわりつつ、コンカフェ嬢の個性も発揮されるため、非日常の空間で素敵なコンカフェ嬢と楽しい時間を過ごすことができます。
例、Lirlia、鬼モ十八、大衆メイド喫茶ロイヤル

おわりに

　コロナ禍で始まった流川のコンカフェバブルですが、令和５年１２月現在においても新規出店が少なくとも3店舗も確認されるなどバブル崩壊の兆候はみられません。そのため今後も流川では熾烈なコンカフェ競争が続くことが予想されます。その結果、流川のコンカフェは関東のコンカフェの慣習にとらわれず独自の発展を続けると思います。これには２つの理由が考えられます。
　１つ目は、隣接している山口県や岡山県のコンカフェはそれぞれ１０店舗未満であることに加え、広島県は山が多く交通の便が悪いため他県のコンカフェの影響を受けづらいことです。
　２つ目は広島県は耕作地が少ないため、江戸時代では県外への出稼ぎ、明治時代では日本一の海外への移民が積極的に行われるなど広島県民は新しいことにチャレンジするバイタリティーに溢れた県民性に起因していることが考えられます。
　最後に、私は広島のコンカフェに２５店舗行きましたが、どの店舗のコンカフェ嬢もフレンドリーでめちゃくちゃ可愛かったです。初見でも絶対に楽しいので広島に来た際は是非、コンカフェへのご帰宅をよろしくお願いいたします！！
稚拙な文章をここまで読んでくださり本当にありがとうございました！！