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物語のある意味・『向井坂良い子と長い呪いの歌』に寄せて

昨日までいた人がいなくなってしまう。
昨日までの当たり前が崩れ去ってしまう。
想像を超えた現実に、物語は何ができるのか。

3年前の2015年11月。卒業制作『聖女』の初日。パリで同時多発テロが起こりました。劇場も狙われたテロでした。

翌朝、パリでテロだよ、と言い合うキャストを横目に、わたしは、「パリがなんだ、テロがなんだ、目の前の舞台以上に大切なことなんて何一つ無いんだ」と盲目的に確信していました。あの時、わたしの世界はたった一つでした。わたしの書いた物語。それが世界の全てでした。

けれど、千秋楽の夜。わたしの家へ集まったキャストたちが、ふと部屋の壁を指して、言いました。

「パリだ。」

見ると、エッフェル塔でした。

その時、思い出しました。関西の片田舎、阪神タイガースと宝塚しかない街から、東京へやってきた日。埼玉のこの部屋で一人暮らしを始めた日。18才のわたしは、新しい生活への憧れと希望込めて、確かに、壁に、貼ったのです。エッフェル塔のウォールステッカーを。

パリは、4年間、わたしの部屋にありました。わたしが気がついていないだけで。
パリは急に、わたしのそばに在るようになりました。

どうにもならない現実に対して物語何ができるのか。
あの日から持ち続けた問いに、3年という時を経て、一つの提案として、こたえることができること。本当に幸せに思います。
今、わたしの目の前にいるすべての人と、
今、わたしの目の前にいないすべての人へ。

葭本未織

少女都市第7回公演
東京駆ける三公演 第2弾
『向井坂良い子と長い呪いの歌』

5/21(火) 20:00
5/24(金) 14:00/20:00
5/25(土) 13:00/18:00
5/26(日) 12:00/16:00

チケット
U25 3000円
一般 3500円

●振込・当日精算
http://ticket.corich.jp/apply/99431/

●クレジット
https://engeki.jp/pass/events/detail/576

シアターグリーンBASE THEATER
(池袋駅東口より徒歩6分)
〒171-0022 豊島区南池袋2-20-4

劇場でお待ちしています。

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