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温度によって味わいが変わる秘密

こんにちは、Gekkeikan Studioの研究開発担当です。
「Gekkeikan Studio no.3」は、飲む温度によって味や香りが大きく変わるという特長があります。
なぜ温度で味わいが変化するのでしょうか。
その秘密を少しだけお話しします。

日本酒は色々な温度で楽しめる飲み物

冷やして、常温で、温めて…色々な温度帯で楽しめるのが、日本酒の面白いところです。
最近少し寒くなってきたので熱燗でほっこり、はたまた、暖かい部屋でキンキンの冷酒をクイッと。なんだか気分も変わりそうですが、実は味わいも変化しているのです。
なぜ温度によって味の感じ方が変化するのか。それは、食べ物や飲み物の温度が、人の舌にある味覚受容体に影響し、甘味や酸味、苦味などの味成分の強さが違うように感じるからです。
キンキンに冷えたアイスクリームよりも、少し溶けたくらいの方が甘さを強く感じる、というのはこの理由です。
 
日本酒は、世界的にも珍しく、色々な温度で楽しめるお酒です。一般的には、商品ごとにおすすめの飲用温度が設定されている場合が多いですが、「Gekkeikan Studio no.3」は、色々な温度帯でそれぞれ違ったおいしさが味わえるのです!
その秘密は、お酒に含まれる成分にあります。
「Gekkeikan Studio no.3」は、酸味にこだわったお酒であることは、開発秘話でお伝えしました。

実はその酸味は、強さだけでなく、酸味成分の種類にもこだわっています。

日本酒の酸味成分って?

一口に酸味と言っても、日本酒に含まれる酸っぱい成分はたくさんあり、味わいの質も強さも異なります。
ここでは、日本酒に含まれる代表的な4種類の成分をご紹介します。
①   乳酸
日本酒をはじめ、乳製品やお漬物などの発酵食品に含まれる成分で、味わいはやや渋みがありますが、穏やかな酸味が口の中に長く残るといった特徴があります。酵母の発酵を助ける作用があり、醸造には欠かせない酸です。
②   コハク酸
他の酸味成分とは雰囲気の異なる味わいのコハク酸は、貝類やハマチに含まれます。そもそも貝類を食べて、強い酸味を感じることはありませんよね。実際にコハク酸をなめてみると、酸味以上に強い旨味が特徴的です。
③   リンゴ酸
日本酒以外の食品では、名前の通り果物のリンゴに含まれる成分です。シャキッとした爽やかな味わいが特徴です。
④   クエン酸
レモンに豊富に含まれ、熱中症対策にも効果があることで有名ではないでしょうか。味わいはリンゴ酸に似ていますが、口に入れた瞬間に酸っぱさを感じ、後味の切れもよいのが特徴です。
 
果物のパイナップルの酸味の正体は、リンゴ酸やクエン酸です。「Gekkeikan Studio no.3」には、4種類の酸味成分すべてが含まれていますが、本物のパイナップルの味わいに近づけるために、リンゴ酸やクエン酸が特に豊富に含まれるような工夫をしています
日本酒に含まれる代表的な4種類の酸味成分について、それぞれ異なる味わいを持つということをご紹介しました。実はもう一つ秘密があり、なんと温度によっても味わいが変化するのです。複雑ですよね。水にそれぞれの成分を溶かし、色々な温度で味見をしてみるとその違いがよく分かります。
乳酸やコハク酸は、温めると旨味が際立ち、まろやかさが増すという特徴を持ちます。リンゴ酸やクエン酸は、冷やすことでさらにキレのある軽快な酸味を楽しむことができ、温めると後味に少し苦味を感じるようになります。
「Gekkeikan Studio no.3」には、これらの酸味がバランスよく、たくさん含まれているため、飲用温度でいろいろな味わいを楽しむことができるのです。
この図は、「Gekkeikan Studio no.3」の味わいと温度の関係を表しています。
ここまで読んでくださった方には、この図の意味が少し分かっていただけたのではないでしょうか。

アルコール度数で香りが変わる秘密

最後に、温度とは少し別の観点から、お酒の香りの感じ方が変化する秘密について、ご紹介します。
ここでは、アルコール度数に着目してお話します。
月桂冠総合研究所では、お酒を飲んでいる時に感じる香りの研究もしています。

アルコール度数によって鼻から抜ける香気成分が変化するといった研究成果が、「Gekkeikan Studio no.3」にも活用されています。お酒の温度を変えただけでも、もちろん香りの変化は楽しめるのですが、冷やして飲む場合のおすすめが、ソーダ割です。


日本酒をソーダで割るとどうなるか?アルコール度数が下がります。
アルコール度数が下がるとどうなるか?鼻から抜ける香り成分のバランスが変わります。
鼻が詰まっていると食べ物の味を感じにくくなるという経験は、皆さん一度はあるのではないでしょうか。食事中に鼻から抜ける香りをレトロネーザルアロマといい、食べ物をおいしいと感じるための重要な要素です。
香りを感じる仕組みは複雑ですが、簡単に言うと、空気中に飛び出た香り成分が鼻の奥に引っ付いて、香りを感じるのです。
アルコール度数によって、空気中に飛び出しやすくなる成分、飛び出しにくくなる成分が変化し、その結果人が感じる香りが変わります。
日本酒には100種類以上の香り成分が含まれており、楽しみ方のコツを少し知っているだけで、味わいの幅は無限に広がります。
 
アルコール度数や温度を色々変えて、あなただけのとっておきの香りや味を楽しんでみませんか。

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